第25回 劉焉、賈龍に出会う
劉焉は雒県に入城した。
豪族と思われる者たちが勢ぞろいして、劉焉を迎える。
中央に一人、威風堂々とした男がいる。
この男が賈龍であろう、と劉焉は思った。その男が一歩前に出て言う。
「劉焉様。私は、こちらに控える豪族たちの筆頭をつとめさせて頂いています、賈龍と申します。以後、お見知りおきを。」
劉焉は言う。
「賈龔殿をはじめ、皆のご尽力により、この劉焉、州都である雒県に入れたこと、まず、御礼申し上げる。」
劉焉は、拝礼した。賈龍が言う。
「劉焉様、お待ちしておりました。私、賈龍をはじめとし、ここに居並ぶ豪族たちは、以後、劉焉様に忠誠を誓うこと、お約束申し上げます。何なりと、お申し付けくださいませ。」
「なぜ、私のためにそこまでしてくれるのか。」
「郤倹は刺史という立場を利用して、我々豪族や、その民から奪うことしかしませんでした。その悪政を匡すために、宗族であられるやんごとなき身分の劉焉様が、廃史立牧を唱え、この益州に入ることを自ら望まれたと聞き、我々は感謝の気持ちでいっぱいでございます。」
賈龍は更に続ける。
「そして、大儒である劉焉様のお力で、儒学の理想の郷として、この益州を再生していただけると信じております。馬相は我々を懐柔しようと手を打ってきましたが、奴が天子を称するなど笑止千万。討ち取った次第でございます。」
「わかり申した。この劉焉、心血を注いでこの益州の再生に力を尽くす所存。引き続き、皆さまのお力、この劉焉にお貸しくだされ。」
賈龍はじめ豪族たちは拝礼し、恭順の意を示した。
まず、この賈龍との出会いが、劉焉による益州統治の第一歩となったのである。




