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俺の周りは英雄職だらけなのに、俺だけ無職の冒険者  ~ 化け物じみた強さを持つ幼馴染たちの裏で俺は最強になるらしい ~  作者: 咲良喜玖
無職の再出発 大王の先生編

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第15話 英雄と無職 ②

 登録を終えたオレたちは、ひとまずギルドのテーブルで一段落した。

 四人が会話している間にオレがマスターから貰った本を読む。

 百ページくらいあった本を速読。

 これは俺のスキル『速読』だ。

 ジョブ『司書』の初期スキルである。

 このスキルは、本を読むのに便利で、オレが図書館のエミールさんという方と仲良くなった時に得たスキルである。

 

 「ルル、なんか分かったか?」 

 

 テーブルの上に置いてあるコップの水滴を拭いて、暇そうにしていたミヒャルが聞いてきた。

 

 ここで本から皆の方を向いたことで、オレは気付いた。

 三人は、オレのことを見ていて、レオンは外の景色を見ていたのだ。

 レオンの目線をなぞっていくと、女性のお尻である。


 屑である!!!!

 

 いくつになっても頭の中はピンクに彩られているのだ。



 ◇


 レオンを完全に無視して、三人に本の内容を説明した。


 「そうだな。基本、冒険者は一階級上のランクの依頼までだって。それが限度なんだってよ」

 「そうなんですね。というと、私たちは今がどの階級なんでしょうか?」

 

 エルミナが丁寧に聞いてきた。


 「ええっと。待ってくれ。冒険者になりたては……この白のカードだから。これが四級の証だってさ」

 「ふ~ん。なんも色もないもんな。初心者って感じだよな」


 ミヒャルが自分のカードを触った。

 

 「そうだな。この次が黄色。青色と、どんどん色が変化するらしいぞ」

 「へぇ~。色分けでやるんだな」


 ミヒャルが軽い返事をした。


 「ルル。一階級上と言うとどのようなランクまでなんですか?」

 「おお。そうだな。それ説明してないな。ええっと・・・」


 冒険者のクエストの難易度ランクは。


 四級―――Eランク

 三級―――Dランク

 二級―――Cランク

 準一級――BランクかAランク

 一級―――Aランク

 準特級――SランクかAランク

 特級―――それ以上


 こうなっており、モンスターランクたちもこれと一緒である。 

 


 「そうか。うちらはEランクかDランクの依頼を受けられるのか」

 「そうみたいだわ。まあ、実際に見てみようか。それじゃ、あそこの掲示板で選んでいくか!」

  

 ギルドの掲示板を指さした。


 「おお! いこう! ルル」


 ミヒャルがすぐに返事をして立ち上がった。

 今が暇だから、早く依頼を選びたい気持ちが前面に出ていた。


 ◇


 いまだに女性のお尻を追いかけているレオンは窓ガラスに鼻を付けている。

 ついでに鼻の下も伸びているので、そいつはそこに置き去りにして、オレたちは、受けたいクエストを探すために掲示板の前に行った。

  

 「ルル、これどうですか?」

 「ん?」


 小さな可愛らしい手のエルミナが、オレの袖を引っ張った。

 意外と強く、グッグッと引っ張られたので、少し驚いた。

 

 「ほら。これ、Eランクですよ。どうですか」


 オレを引っ張る手じゃない方で、彼女はクエストを指差した。

 

 採取クエスト『薬草二十本』

 難易度Eだ。

 初心者帯におススメ。

 基礎中の基礎のクエストだ。

 

 「おお。採取のクエストだな。でもな、これって、すぐに終わっちまうぞ」

 「……え?」

 「この薬草、マーハバルの隣のへール平原に生えてる薬草なんだ。歩いて三十分。そんで、そこらへんに生えているからあっという間に終わるぞ」

 「そうなのですか。ルルは、何故それを知ってるのですか?」

 「ああ。オレって、このバイトをしたことあるんだよね。だから知ってる」

 「ルルは凄いですね。尊敬します」


 目を輝かせてエルミナが、オレを褒めてくれた。

 うっ。その眼差しをされると、可愛すぎて見られない。

 出来たらオレのそばから離れてほしいと思う。

 なんでこんな美人がオレの隣に立っているんだ。

 つうか、なんでこんな美人が、オレの幼馴染なんだ。

 それよりも、あんなド田舎にいて、良いレベルの子じゃないんだぞ。


 「んじゃ! こいつは!」

 

 ミヒャルも張り出されたクエストを指さす。


 「どれどれ・・・ああ、これな。こいつはスライム討伐かよ。駄目だな」


 討伐クエスト『スライム十体』

 難易度Eだ。

 これもまた初心者帯におススメするようなクエストだ。


 「なんでよ。いいじゃんか。うちら戦った方がいいだろ」

 「だってよ。こんなもん。お前らなら個人で終わるわ。しかも、あっという間に終わっちまうし、それにお前らな。自分の実力、分かってんのか?」

 「知らんわ!」

 「ミーは馬鹿か。お前らはもうな。オレの予想では、Bランク帯もクリアできる実力者だと思うぞ。だから、お前らがスライム10体を引き受けちまえば、辺りのスライムがいなくなっちまって、お前らのせいで他の人たちがクエスト完了できないだろ? むしろな、その人たちがスライムを探す方が大変になっちまうわ」

 「んだよ。だって討伐クエストって、これしかないじゃん。他はつまんねえもん」


 ミヒャルはモンスターを狩りたかったらしい。

 口を尖らせていじけた。

 機嫌取りも面倒なので、放置する。


 「・・・ルル、なんでもいい・・・眠いぞ」

 「お前はそればっかだな。ったく、じゃあ、どれがいいかな。どうしよう。こいつらに合わせてだな」


 オレが難易度から見て、クエストを探す。

 最強の英雄職を保有する者たちが四人。

 たとえ、冒険者四級の新人だとしても、こいつらの実力は、上手く組み合えば、すでに一級の冒険者たちの集まりに届くかもしれない。

 そんな奴らが、Dランク帯までの依頼しか受けられないんだ。

 適度な難しさがなければ、こいつらが調子に乗ってしまうから、程よい感じのクエストが必要だ。


 とオレが色々な条件を考えて、クエストのバランスを見ていたら、隣にレオンがやって来た。

 こいつは一発でお目当てを見つけたのだ。

 こういう時だけ、頼りになる男だ。


 「こいつでいこうぜ! 俺たちはこれだ!」


 張り出されたクエストで、レオンが取った依頼書は、Dランクのハイキング観光客の護衛である。

 都市マーハバルから、北東に歩いて一時間の場所にあるミルフィー山。

 そこの山登りをするお客さんの護衛が依頼内容であった。


 「護衛任務か。まあ確かにパーティーならそれがいいかもな」


 最初の任務にするには難しい護衛任務。

 でも難易度的には、こいつらにちょうどいいかもしれない。


 「だろ! じゃ、俺がクエストを引き受けてくるわ。みんな、カードくれ」

 

 こうして、オレたちの初の任務が決まったのであった。

 レオンも最初の頃はリーダー的存在だった・・・。

 いや今でもそうなんだけど、中々信じられないのである。


 



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