表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の周りは英雄職だらけなのに、俺だけ無職の冒険者  ~ 化け物じみた強さを持つ幼馴染たちの裏で俺は最強になるらしい ~  作者: 咲良喜玖
ルルロア VS 解放軍

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

194/240

エピローグ 急転直下

 アルランの真実を腕組みしながら聞いていた。


 「なるほどな………駄目だな。そんな考えは真の解放じゃねえぞ」

 

 全部聞いても納得しなかった。


 「なに! これのどこが駄目だというのだ」


 アルランにも怒りがあった。


 「ナディアを殺す判断。娘を救う意味が違う所とな。あとはファン、イヴァン、ナディア。この三名の真実を暴かない所がまったく駄目!」

 「何を言っている。調べようがないのだ。彼女らが言わないのだからな」

 「ああ。だから、何かを残しているのではないかと調べるんだよ。あんたはまだそれをしてねえ。それにあんたは、周りを使ってねえ。周りにいる人間にもっと話を聞いて、もっと相談をして、みんなで前に進めばよかったんだ」


 こいつは昔のオレに似ている。


 「一人でやろうとしたことが悪い。あんたはそこが甘い」


 オレは怒っている。

 なぜ、彼らを調べないのか。

 彼らが何かを言えないのは分かる。

 なぜなら、そばにいるレミさんもオレに何かを教えてくれないのだ。

 でもオレから提示した時は何かを教えてくれる。

 ということは、自分からその何かを言えない制約があるんだと思う。

 例えばクルスのような制約がかかっているんだと思うんだ。

 肝心な部分で、彼らが絶対に教えてくれないのなら。

 そこを自分で調べないといけないんだよ。

 

 あと、三人以外のキーはアルクスだ。

 レミアレスとアルクス。

 ……あの会話にはその三人と一緒にいることがわかるし。

 もしかして、悪たれ。

 昔レミさんが言っていた悪たれとは女神様の事でいいんじゃないのか。

 イヴァンが言っていた。

 ジーバードでアルクスは何かをする。

 それは神の啓示の事じゃないのか。

 アルクスはこちらの世界の女神。

 レミアレスは神鳥で同等の存在だから悪たれと言える。

 これがオレの予想だ。

 今、レミさんがいねえのが残念だ。

 これを聞けば返事をもらえるのにさ。


 「そうだ。調べる。これをしなければならない。オレは冒険者。そういうのを調べるのには最適な人物だぜ。あんたは病。そして氷について。そんでオレは三人について調べる。これがベストだろ。あんたらはこの地で戦争なんてしないでいいんだ。それにそんなことしてんのが無駄だ。時間が惜しい」


 とにかく手分けして前に進むんだ。

 これがオレの結論。

 そしてオレの反省だ。

 何でも自分で背負い過ぎて、オレは逆にレオンたちには辛い思いをさせていたかもしれない。

 オレがあの時さ。

 普通に助けてくれって言ってたらさ。

 追放してくれなんてあいつに言わなかったらさ。

 もしかしたら、あいつらと一緒に前に進めていたかもしれないんだ。


 だからオレがあいつらを手放したんだ。

 レオがオレを手放したんじゃねえんだわ。

 目の前にある手を握らずに離してしまったんだよ。

 だから、アルランはオレに似ている。

 自分が犠牲になれば、それでいいと思っている大馬鹿野郎だ。

 何千年も、この地で人々を救っているのにさ。

 自己犠牲の塊だろ。こいつ!!!


 「ん? 何を言って」

 「オレはこの大陸の人々がジーバードと交流してくれるのを望んでいる。だからファイナの洗礼を解放する! こちらの状況が整ったらな」

 「ファイナの洗礼はじきに無くなるぞ。ナディアを殺したからな」

 「それはない。ファイナの洗礼は修復した」

 「何を言っている?」

 「ナディアは生きている。四代目がな」

 「・・・ん? いや、あの会合を襲撃したのだ。ユースウッド以外は殺したはず」

 「いいや。オレの町に、ナディアがいる。彼女はファイナの洗礼を修復させたから、向こう50年はファイナの洗礼は維持される」

 「「「 な!? 」」」」


 アルランも四天王の二人も驚いていた。

 ナディアの存在は教えていないからだ。


 「ナディアはオレが死んでも守る。当然フィリーも絶対に守る。そんでジークラッドの大陸の人々も氷の恐怖から守ることで、ジーバードも間接的に救う。これが一番いいな。オレはここに来て、欲張りになった! どんな事でも、なんでも叶えるんだ。だからこれが一番しっくりくる」


 そうだ。全部守って、全部で幸せになる。

 オレ、一人の犠牲とか。

 アルラン、一人の犠牲とか。

 そんなの許さねえ。

 オレは全部を守って、ハッピーエンドを目指すのさ。


 「あと、皆が自由じゃないのがいやだ。オレはナディアやフィリーが自由じゃないのも嫌だが、あんたが自由じゃないのも嫌だ」

 「私が自由じゃない? どういうことだ」


 アルランが睨む。


 「ああ、そうだ。昔と違って、今のあんただと。この場から動けないんだろ。氷の大地の病と氷の浸食を食い止めるためによ。自分を犠牲にして人々の為に一生懸命だ。ここを守って、更に大陸の為に秘術をかけているんだよな」

 「・・・そうだ」


 アルランの表情が柔らかくなった。


 「だろ。ならそれは縛られているのと一緒。何千年もな。そんなのはオレは好きじゃねえ。つうことであんたを縛るこの大地の氷を解決するために。根本の原因を知る人物を調べる。そのためには。やはりオレは大陸を旅することに決めた。これを最優先問題にする。それで、あんたはここで研究に勤しんでくれ。そうすれば新たな道が世界に訪れる・・・そうなると信じたい」


 アルランは、自分も世界に囚われていた一人であると気付いていなかったみたいだ。


 「あとは連合。あれが邪魔すぎる。この事態はジークラッドの民が全員で挑まないといけないのによ。いつまでもナディアの洗礼にこだわってるような連中はいかん。こっからはオレたちで、連合を解散させる方法を考えよう。戦争以外がいい。どうすればいいと思う。みんな!」

 「「「「・・・・・・」」」」


 皆が黙った。

 難しい問題だから黙るしかなかった。


 「オレは、両方の大陸を渡った男だ。この状況を知る人物としては大いに珍しいだろう。オレはいいとこどりをしたいのさ。向こうの技術で氷の大地を治せるかもしれないしさ。とにかく両大陸が行き来できるようになればな。結構面白い事になると思うんだ」


 世界中の人々が、協力するんだよ。

 世界が破滅に向かっているなら、なおさら全員で立ち向かうべきなんだ。


 「だけどそれには、ファイナの洗礼の正しい解除方法が必要で。あとは、この大陸の人々の意識が変わらないといけない。こちらの人がもっとヒュームに友好的にならないと、世界は協力関係にならないと思う。ジークラッドの連中はヒュームを馬鹿にし過ぎているから、もし行き来が可能になった場合に交流なんて出来ねえからな」


 リュカが答えてくれる。


 「それはそうだな。ルルの言う通りだ」

 「だろ。ヒュームと一緒に暮らしている。リュカだってそう思うんだ。長く生きている人の大半もそう思っているはずだ」

 「でも拙者らはヒュームと共存しているのだ。つまり、皆はヒュームを知らんからとも言える」

 「そうか。たしかにな。こっちの大陸の人々がオレたちをよく知らないってのもあるか」


 そもそもこちらの大陸での存在が少ないからな。

 でも完全に消滅しないで生きているってのはどういう事だ。

 そういやここを疑問に思ってなかった。


 「そういやヒュームって、リュカ以外にもどこかで生きてるのか?」

 「え、都市のどこかにはいるわよ。一人や二人は」


 疑問にアイヴィスが答える。でもこれは答えじゃない。


 「いや。それじゃあ、普通滅亡するだろ。男女が出会わないと子供が生まれねえ。なのにヒュームは生きている」

 「確かにそうだ。それを疑問に思っていなかった」

 

 ヴァイスが答えてくれた。


 「だよな。だから大陸のどっかにいるんだよ。そんでオレの予想は、たぶんガイロの森だと思う。あそこにある聖なる泉。そこにいけば、何かがわかる! ような気がする」

 「ガイロの森に聖なる泉か・・・私も思う。あの時、ガイロの森から光が生まれたからな」


 アルランが答えてくれた。

 彼の話からいってもそこに何かがあるのは確実。

 レミさんも言ってたし。

 ごめん。

 あの時は嘘つきだと思ってたわ。レミさん!!!


 「それじゃあ、解放軍を無駄な役目から解放しよう。そんで、こっちの軍はここから大陸を救助する軍になろうぜ。解放軍の名称は、大陸を解放だ。何かに縛られない、ずっと自由な大陸にするために立ち上がるんだよ」


 真の意味での解放軍だ。

 

 「自由か・・・それもいい・・・やってみるか」

 「ほんとか。アルラン。助かるぜ。あんたには盟主をやってもらわんとな」

 「・・・うむ。ん? そうだった。お前は私の娘をどうするつもりだ」

 「フィリーか。当然、治すぞ! 病を止めている状態じゃなくて、完璧に治そう。それはあんたが研究してくれよ。お父さんなんだろ。やってやれないことはないだろう。な!」

 「っふ! お前はイヴァンに似ているな。顔や姿は違うが・・・雰囲気がそっくりだ。懐かしい気分になる」


 アルランは穏やかにそう言った。

 

 「よし。私もお前に協力しよう。私は病と氷を。お前は三人の真相を。互いに調べ上げるとしようか。四天王はどうする。お前たちはもう自由とする。ただ、すまないが今はまだ軍としていてもらいたい。連合軍に黙ってやられるわけにはいかないからな」


 リュカから答えた。


 「拙者はもとより、ルルに協力するつもりだから、アルランにも協力するつもりだ」

 「私もぉ。ルルちゃんにも協力するけど、私はアルランの方も協力するわ。その氷について、私の魔力も使えそうだし」

 「俺も。ルルの指導を受けたいから協力する。俺には氷の研究は難しいから俺はルルの方だ」

 

 アルランは四天王の言葉に嬉しそうに笑った。

 

 「そうか。アイヴィス助かるな。助手をしてくれ。ではヴァイスとリュカは、この男の補佐をしろ。私たちは戦争を仕掛けはしない。だが、仕掛けられたら守るしかないからな。何かいい策が出るまでは。現状を維持しよう。それで今は軍を引こう」

 「ああ。そうだな。じゃあ、オレは旅の準備を・・・・」


 オレが意見を言いかけたその時・・・。


 扉の向こうから兵士が入ってきて、緊急の連絡が入る。


 「アルラン様。四天王の皆さん。連合軍に先に仕掛けられました。ガイルハイゼンが陥落。ジュズランへ進軍中とのこと。パスティーノへの攻撃も開始されようとしています。そして、ギランドヴァニア平原にも兵が向かっていて。そこでは戦いが起きているらしく。こちらのイナシスまでの道をも敵軍はこじ開こうとしています」


 なに。オレの町もだと!?


 丸く収まりそうだった事態は急変していく。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ