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第4話 ルルロア VS アレスロア三人衆

 平原中央。

 オレと向かい合うのはナディア、ユースウッド、そしてメロウだ。


 「メロウはずりいだろ。三体一はきついぞ」

 「そんなことないもん! あたしたちはね。これでも譲ってんの。あなた相手で二人なんて厳しいのよ」

 「そうだぞ。儂らだけだと、駄目だ。そんなこと言うのは酷いぞ。悪魔め!」

 「なんだよ。ユーさんまで、ナディアの味方か!」


 三人で喧嘩をしていた。

 二人は是が非でもメロウを入れたいらしい。


 【うむ。当たり前だな。私もそう思う。今のルルにはこれが効かないからな】


 メロウは自分の右の親指で自分の第三の目を指さした。


 「嘘だろ。あんたの目。特殊だろ」

 【やってみるか。よし、心淵(アビスハート)

 「ん?」


 体が動く。手足も楽に動く。

 準備運動を続けられるくらいだった。


 【ほら、効かんぞ。無理だわ】

 「あれ、なんでだ。最初に出会った時に、その技に対抗できなかったのに」

 【私の予想を言っていいか】

 「なんだ?」

 【おそらくルルは一度受けた技。知っている技。これらはルルには通用しないと思ってよさそうだ】

 「なに!?」

 【頭が処理していなくても、体がその対処法を知る。こんな感じだろう。今のルルは】

 「マジかよ。んなもんバケモンじゃん」

 

 オレがそう言うと三人のこめかみがピクピクと動いた。


 【だから・・・】

 「そう言ってんのよ」

 「儂らはな」


 嘆きに近い声で反論してきた。


 「おし。模擬戦やんぞ。来い!」


 いいから戦ってみればわかるんだ。

 やるぜ!


 「はぁ。仕方ないわね」

 「儂がいこう。先手だ」

 【うむ。ナディアは中距離。私が遠距離から砲台になる】

 「わかったわ。今回はあたしがバランスを取る!」


 三人は徐々に離れていき、戦いの準備を始めた。


 ◇


 「どうなってんのよ。あれ!」


 ナディアは嘆いていた。


 【うむ・・・まさか、あれほどの捌き方をするとは】


 メロウも同じくだ。


 驚く二人の前で、オレとユーさんが近距離戦闘を続ける。


 「そうだな。儂と戦いながら、これはちと異常だぞ」

 「いや、異常まではいかんって。これくらいは」

 「がははは。厳しいわい。儂の体、持つかの?」


 ユーさんのハンマーとオレの花嵐がぶつかる。

 正面での一撃は刃こぼれするかもしれないから厳しい。

 だからオレは、ハンマーの横を叩いてユーさんの攻撃の直撃だけは避ける。


 「この接近戦の攻防を続けておいてだな・・・あれはないだろ。あれは」


 ユーさんも嘆き始めた。

 その原因はあれである。

 オレが、メロウに遠距離攻撃をさせないために、火魔法で嵐のような怒涛の攻撃を仕掛けているからだ。

 『炎の渦(グラスフレイム)』を五カ所に配置してそれぞれをメロウに向けている。

 

 「ふっざけんじゃないわよ。光円の輪(アルベドルクス)

 【すまん。助かる。だが、このまま防御は任せるぞ】

 「ええ。メロウ任せてよ。でも一矢を報いてよね。ルルにさ」

 

 ナディアが光円の輪(アルベドルクス)で炎の渦を弾きながら、メロウを守る。

 左右から来る炎の渦の攻撃の為に、ナディアは光円の輪(アルベドルクス)を懸命に左右に移動させていた。


 「ああああ。もう。この魔法を左右に移動させるのは難しいのよ。ルル、手加減なさいって言ったでしょ」

 「手加減? 勝負に手加減はないな。ははは」

 「んんんん。もう! ムカつく! 忙しい!!!」


 ナディアがキレていた。


 【手加減などない。その通りだ・・・・いくぞ。ユースウッド一旦引け】


 両眼を閉じたメロウが第三の目をオレに向けた。


 【千糸針(サウザンドフォース)


 「なんだ? 何の魔法だ。初めて見るな」

 【ユースウッドいけ】

 「おう!重突進の先(ハンマーオブスレイ)


 ハンマーを手前に置いたユーさんの必殺の突進攻撃。

 重心の低さ。その前のめりの姿勢の攻撃から身をを守るには、こちらも低い姿勢に。

 

 オレは花嵐をしまって、全身で受け止めようと同じような姿勢に入った。

 その時。


 「いって。なんだ。火!? 風? 皮膚が焼けてるし、切れたぞ」


 種類豊富な魔法で、皮膚に攻撃を受けた。

 しかし、この傷を生ませる本体の攻撃が見えない。

 でも動くたびに細かく攻撃を受けて、小さな切り傷が出来あがる。


 【対処は出来ないだろう。両方はな!】

 「そうだな・・・どうすっか。動くと切れる。動かないと切れない。でもユーさんが迫ってくるってことか。メロウ。やはりあんたは有能だ。二人をカバーするとはな」

 

 おそらくこの攻撃。

 魔法名から察するに、そのまま糸でいいのだと思うな。

 目に見えない糸が俺の周りに配置されていて、それが魔法で巧妙に隠されている。

 それに糸には色んな属性が付与されているんだ。

 つうことは。


 「こいつを切るしかない。正室(性質)看破」


 大王のスキル『正室(性質)看破』

 元々は大王のそばにいる人の行動を見抜くスキル。

 使うタイミングは身内からの身の危険を感じた時。

 仲間に裏切られないように先回りをするスキルだ。


 「見えた。やっぱ糸だわな。しかも、こいつはかなりの数だ。細かい糸が俺の周りにだけ数百は見える。それが束になってるからまだ少なくなってるのか。ならば、こいつで斬る。桜花流 百花繚乱 桜流し」

 【むっ!? 魔法以外で対処してきた!?】


 オレの剣技で、糸が切れてハラハラと落ちる。

 その糸が無くなっているのが分かるのはオレとメロウだけ。

 だから、オレが動けるようになったことを知らないユーさんは、そのままオレに突っ込んでしまった。

  

 「ルル、くらえ!!!」

 「おうよ。ユーさん。ほいさ!」


 ハンマーを両手で受け止めた。


 「なに!?」

 「ユーさん、やっぱあんた強いよ。純粋パワーはオレの負けみたいだ。だから!」

 「・・ちっ。ルルめ。その動きは反則だ」


 オレはハンマーの下に潜り込んで、蹴り上げた。

 宙に舞うハンマーを見つめ、三人は両手を上げた。


 「まいった」

 「もう。駄目よ。疲れたぁ」

 【私も、あれを見抜かれると駄目だな】


 これで、オレの勝ちのようだ。


 「じゃ、みんなは降参ね。オレの勝ち!」


 最強クラスの三人に勝てるくらい。

 オレは強くなったらしい。

 こいつは本格的に、化け物になっちまったかもしれないな。

 今、普通にレオたちと戦ったら勝っちまうのかも。


 なんて図に乗らないように気を引き締めていかないと駄目だろうな。



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