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社会問題エッセイ

【一億総起業家】企業に搾取されない働き方【100円のお茶を5000円で販売】

作者: 中将

筆者:

 前回書かせていただいた「静かな退職」をテーマにしたエッセイhttps://ncode.syosetu.com/n6860jl/においては、


 現行の日本給料評価システムのせいで社員にやる気が出ない状況であり、「自分の頑張り=給料」が直結連動するためには個人事業主になるしかないという事をお伝えしました。


 という事で今回は個人事業主で起業するためにはどういうポイントを押さえる必要があるのかについて、見ていこうと思います。


 今日はセミナーっぽい内容なんですけどノリとしてはいつも通りに会話形式で話させていただきますね。



◇「分野」で儲かりそうということは「無い」



質問者:

 具体的に「儲かりそうな産業」を教えてくれるとかそう言う事なんでしょうか?



筆者:

 一つ押さえていただきたい重要なことがあるのですが、

 残念なことに「個人で誰もがやってボロ儲け」なんてものはありません。


 と言うのも資本主義経済と言うのは「パイの奪い合い」と言うシステムが構造的にあります。

 人間の持っている時間や食べられる量などはそれぞれ限られていますからね。

 (だから人口減少社会は問題なのですが)


 そのために、多くの人がプレイヤーとして一つのコンテンツに集中しすぎてしまうと価格を下げ合う競争になってしまい、「儲かる産業ではなくなる」と言う性質があるからです。


 そして同じ事柄ですと先に参入している人の方が有利に働きやすいです。


 ですから、世間でのビジネス書を実践してもサッパリ儲けることが出来ないのは、

「すでに誰かが実践して成功した後」のためにもう「取り尽くした鉱山や漁場」と言う状況だから公開しているという事なのです。


 ということで、これから僕のいう事をあくまでも構造的に手元にお金が残りやすい「方法論」です。


 どちらかというと「魚の釣り方」を教えるという感じなので、

 実際に「漁場」、「ルアー」、「餌」などに当たるモノはご自身の適正に合わせて探していただきたいという風に思います。



質問者:

 確かに資本主義はそう言う感じがありますね。

 

 でも筆者さんの方法が長期的に活用できるという感じで良いような気がしますね。



筆者:

 ただ、誰でも実践できるとは限らないですし、見極めも非常に重要ですので難度は高いですけどね。



質問者:

 筆者さんはコンサルタントなのにそれを実践している方が周りにあまりいないというのが悲しい話ですよね……。



◇「起業の3大原則」は絶対に抑える



筆者:

 ま、まぁ“コンサルタント”っていうのは分かりやすく表現しているだけでそれだけをやっているわけじゃないですから……。


 基本的に僕が思う3つの要素を持たなければ個人事業主(中小企業)として成功する可能性はゼロと言えます。(少なくとも売り上げは上がっていても手元には残りません)


・何かに特化(ニッチ需要)した高価値商品

・今までにない発想の組み合わせ 

・初期投資(固定費)が少ない・無料コンテンツを活用


 まずそれぞれ解説と分かりにくそうなところは具体例も踏まえてお話したいと思います。


 

◇価格が安いと大企業に100%負ける



質問者:

 価格が高いと買ってくれないのではないかと言う不安が付きまとうと思うのですが……。



筆者:

 モノをずらりと並べて買ってもらうと言ったコンテンツは個人ではちょっと厳しいと思います。


 なぜなら、大手で大量生産をして価格を下げている商品に対して勝てるはずがないんですね。

 低価格競争だとまず大企業のコンテンツには敗北します。


 唯一、薄利多売が許されるかな? と思えるのはインフルエンサーを「応援」する意味での少額の投げ銭や本やシャツを売ると言った活動でしょう。


 それでも「商品本体価格以上に」お金を支払ってもらえるような「応援したいと思わせるお得感」を提供していると思うんですよね。


 そのためにはピンポイントで購買意欲を刺激する必要があります。


 そのために2つ目の「これまでにない組み合わせ」が重要になってくるわけです。



◇「アッ!」と驚いたビジネス



質問者:

 よく「新規性」を出すためにそう言った独特な組み合わせが必要だっていうのは分かるんですけど――具体的にどういう形で「新規性」を出せばいいんでしょうか?



筆者:

 一般的に「売ること」にフォーカスされていると思うんです。

 確かにマーケティングによって需要を喚起することと言うのは大事なんですけど、

 それにしても「新たな発想」と言うのが大事になってくると思うんです。


 発想さえ独特ならば勝手に取材が入ってきて、宣伝してもらえているケースについて紹介していこうと思います。


 「マニアなツアー」と言う会社がありまして、

 その会社の提供しているツアーの内容が独特なんですね。


うそだらけの「浅草ツアー」(参加費1人2800円)と言うものがありまして、


 「ネトラボ」と言うネットニュース24年2月の記事を抜粋させてもらいますと、


『ツアーのポイントとして、フェイクニュースも多いなか、すべて嘘と分かっているので検証不要で安心して情報を受け取れる点が挙げられています。言われてみれば確かに……。


 そんな斬新な内容から、告知されるとメディアにも紹介され、申し込み多数で急きょ増便が決定。大幅に増便した後も300人近くが申し込んで3月分が満員になり、4月以降にさらなる枠が設定されました。』


 とヤフーでも記事として上がっていました。


 嘘ばかりを書き連ねた新聞である「虚構新聞」もそうなんですけど、

「それらしい嘘物語」ももっともらしく話すことが出来ればエンタメとして成立できるという事です。



質問者:

 確かに嘘の案内でツアーとして成立してしまうというのは驚きですね……。

 それも即完売するほど人気と言うのは興味も惹いているという事なんですね……。



筆者:

 「完全に嘘」というのが逆に安心感を与えるというのが何とも皮肉な話ですよね。


 更に僕視点で勝手にコンサルタントさせてもらいますと。


 これだけ人気があって色々な媒体でも紹介され、殺到しているという状況を鑑みるますと、もうちょっと値段を上げることや「プレミアムツアー」として上位単価のパックも作った方が良いと思いますけどね。


 ちなみに「マニアなツアー」ではその他にも

「変な飲み物を飲む会(参加費1人3000円)」

「銭湯の開店準備して一番風呂に入るツアー(参加費1人4520円)」


 など独特な企画を開催しており、それぞれそれなりに盛況の様子が伺えます。



質問者:

 どれも確かに着眼点が斬新ですね……。



筆者:

 たまたまマスコミに取り上げてもらえたという幸運もあると思いますけど、

 誰にでも思いつきそうでありながら、無かったコンテンツを提供しているという意味でとんでもないと思います。

 正直言って最初に見つけた時はかなり衝撃を受けましたね。


 次に紹介したいのはPRESIDENT Onlineの24年7月14日の記事であった

『タダ同然のお茶を「1杯5000円」で売り出し大逆転…佐賀・嬉野の茶農家が"薄利多売"をやめて起きたこと』


 と言う記事で


『嬉野市内を一望できる山の上の茶畑。その中に屋外茶室「天茶台」はある。担当してくれた茶農家の北野秀一さんから差し出されたのは、肥前吉田焼の白い茶器に注がれた煎茶。1杯5000円という。北野さんは「きたの茶園」の3代目。現在3.6ヘクタールの茶畑にて、農薬と化学肥料を一切使わない有機栽培を行う気鋭の生産者である。


 この日、筆者が体験していたのは「ティーツーリズム」と呼ばれる観光プログラムで、生産者が自らお茶3杯を振る舞い、参加者と対話するというもの。茶菓子がつくコースもあるが、参加料金は一人1万5000円(税別)なので、単純計算でお茶1杯につき5000円となるわけだ。


中略


 世界観を創出しようと考えた。具体的には、生産者自身が客の目の前でお茶を淹れること、茶器として使用するのはこだわりの肥前吉田焼、そして生産者は純白のコスチュームを着て統一感や品の良さを出すこと。


 準備期間わずか3カ月という突貫工事だったが、各自がクオリティを高めるために努力をした。こうしてオープンにこぎつけた嬉野茶寮は、蓋を開けてみると、3日間で320人ほどの客が集まり、約80万円の 売り上げを上げた。市外からの観光客がメインだったというが、値段よりも高級感や体験の希少性などに惹かれて来店していた。小原さんらの狙いは見事に的中した。』


 と、薄利多売をしていた1杯100円ぐらいの嬉野のお茶を、

1杯5千円まで付加価値を上げることに成功したのです。



質問者:

 お茶としては1杯5000円は凄いですね……。



◇「無料コンテンツ」を前面に活用する



筆者:

 ここで3つ目の成功条件である「初期投資が少ない」と言うところに着目していこうと思います。


 嬉野のお茶に関しては嬉野の市内を見渡せる場所でお茶をついでいることにポイントがあります。つまり「自然」という「無料コンテンツ」を使っています。


 「マニアなツアー」においても「浅草と言う街並み」の「無料コンテンツ」を活用しています。

 

 つまり、初期投資を少なくしつつ、商品の付加価値を上げていくためには公共的に解放されている施設やコンテンツ、自然を全面的に活用することが非常に大事になってきます。


 固定費がかかればかかるほど、売り上げが上がらない時に厳しくなってしまいます。

 逆に固定費がかからなければ、不況や病気などの行動制限に対しても事業存続可能性が上がります。



質問者:

 なるほど、自然や町並みは非常に大事ではありますけど、税金などで管理されている分「無料で開放」と言う形ではありますよね。



筆者:

 僕も「会社」という既に存在しているモノに対してのアプローチ、

「行政機関の税制などの知識」ですのである意味これに該当します。


 後有名なところではYOUTOUBEやSNSのお金を貰えるシステムに関しても、

 プラットフォームと言う公共的なサービスを「乗り回す」ことによってお金を得ているわけです。


 逆に仕入れて売るという産業に関しては社会構造的には必須なのですが、

 個人がやるには不向きであると言えます。

 仕入れの費用と保管費用がかかってしまうので必然的に費用が大きいからです。



質問者:

 なるほど、解放されているシステムを上手く活用することが出来れば投資少なく収入を得ることが出来るんですね……。



◇個人事業主が向いていない人



筆者:

 基本的に僕は個人事業主になって独立・企業をした方が皆さん手元にお金が残りやすく、幸せになるのではないか? と思って提案させていただいております。


 しかしながら、世の中にはどんな事柄でも向き不向きと言うものがあります。


 ここでは「個人事業主が向いていない人」として3つほど紹介していきたいと思います。


 まずは「企業にぶら下がり」の人です。

 基本的に売り上げを上げるにしても自分が責任を持たなくてはいけません。

 そのために、自分自身の行動に責任を持てる人、自己管理能力が無ければそもそも成立しません。


 また、規格外のことを考えなくてはいけないので「群れて行動する人」と言うのも向いていないと思います。



質問者:

 確かに「指示待ち人間」のような人だと企業に所属していた方がまだ良さそうですよね……。



筆者:

 次に「儲かっている時に使いすぎる人」です。


 儲かっているとついつい「税金を払いたくない」ばかりに車やら家やら経費にしにくい物を買ってしまう人がいるんですね。



質問者:

 車や家は確か全額経費に出来ないんでしたね……。



筆者:

 一定額以上のものは備品などとして計上しなくてはならず、

“減価償却“と言う方法を取っておりまして定率法という比較的早い償却方法でも即時に経費に出来ません。


 そのために「黒字なのに税金が払えないから借金をする」と言うかなり滑稽なことになってしまったりします。


 そのために、黒字で儲かっているにも関わらず、

 税金や会社負担の社会保険料のために銀行から借り入れる人や会社が存在しているんですね。(僕は事前に注意しているのにそれでもお金を残せない)


 設備投資のための借り入れならば回収の可能性がありますけど、

 税金で借り入れると返済は苦しくなります。


 ある程度のラインからは税金を払ったほうが手元には残るんですね。

 特に法人税の場合は払う金額の方が少なくなりますからね。


「必需品を前倒しする」ぐらいにしないと本当に大変なことになります。


 また、高額商品を交際費として無理に計上しても否認されたりして税務調査で追徴課税になったりしてしまうケースもあります。

 儲かっている場合においては税理士さんに頼めば大体どれぐらいの税金になるのか何が否認されるのか教えてくれますので、相談することをお勧めします。



質問者:

 個人事業主の方の場合ですと収入が就職されている方より安定していないような気もしますから儲かっている時に貯金できることは大事なのかもしれませんね……。



筆者:

 そうなんですよね。

 特に無料の公共プラットフォームに乗っかっていることが前提ですので、制度が変わってしまうと収入が減少する可能性があります。


 例えばYOUTUBERで言いますと、広告単価が下がったりするだけで再生回数がそのままでも収入減になります。


 そのために儲かっている時に使い過ぎないことが地味ですが大事になります。



◇「新規性」のためには「知識」が大事



質問者:

 でも最難関はやはり「組み合わせて新規性」だと思うんですけど、

 具体的にどうしたら思いつくんでしょうか……。



筆者:

 そうなんですよね。何も思いつかないままに個人事業主になるとすぐに行き詰ってしまいます。

 

 そのために新規性のあるコンテンツが思いつかないのであれば、

 個人事業主として創業するべきではないので、取り敢えず就職をしてから「静かな退職」をしておくべきでしょう。



質問者:

 やっぱりそうですよね……。



筆者:

 大体社会にあるコンテンツとしては、

 売り上げをさらに上げる方法、費用を下げる方法、社会に対して問題を解決する方法、癒し・娯楽コンテンツなど色々分けられると思うのです。


 やはり、それぞれの“知識“と言うのが大事だと思います。

 自分の得意なことや興味のあることから調べ抜き、そこから広げていくことが大事かなと思います。


 僕の仕事もいずれはAIに淘汰される可能性があると思っているので、

 他の仕事に就いても検討するという意味で色々な情報を仕入れまくっているという事です。



質問者:

 なるほど……今収入がある方でも常に情報を収集し続ける必要があるんですね。



筆者:

 僕はそんなに収入があるわけじゃないんですけど、

 固定費用が少ないんであんまり稼ぐ必要が無いので、

 こうして文章も書いていられるという事ですね(笑)。


 “勉強“だと思うとモチベーションが下がるところなんですけど、

 様々なことに興味があれば生きているだけで楽しいので色々とお得だと思います。


 ついでにビジネスになれば更にお得と言う感じで、情報を集めていただければと思います。


 こうなってくると一人一人興味や得意が変わってくるのでアプローチは違ってきます。

 個人事業主において「万能な成功法則」と言うのは現代社会においては無いのではないかと僕は思います。


 また、中長期的に働くことを前提とするなら仕事をやってて楽しいと思えることがベスト。やってて苦痛に思わないことならベターだと思います。



質問者:

 やっぱりやっていて苦痛だと嫌ですものね……。



筆者:

 僕も今の仕事は実は苦痛じゃない程度で、楽しくは無いんですけど淡々と続けられているという点で有利かなと思っていますね。


 という事でここまでご覧いただきありがとうございました。


 今回は僕が思う個人事業主の3大原則を押さえた上で、情報を集め続けることの重要性について語らせていただきました。


 普段は時事問題や政治・経済について個人的な視点で語っていますのでどうぞご覧ください。

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