2-4.再会を約す
「永遠に生きるとあなたはおっしゃったが、それは本当なのですか。どれくらい、そしてどのように暮らしておられるのですか。海の中にお住まいであれば、きっと僕たちのような地上の定命の者とは全く違う生活があるのだと思いますが」
ナウシスはこのようなことを尋ね、ウリシアその人――人と呼んで良ければ――のみに属することは、自分から聞こうとはしなかった。ナウシスの問いに彼女がどのように答えたかについては、老人が憚って口をつぐんだため私にも分からない。しかしナウシスの言うように、地上の人間とも、また海の魚や骨無しの蛸などとも違った暮らしぶりなのだという。ナウシスにも尊貴の存在を前にして、憚りというよりもためらいもあったが、好奇心か、あるいはウリシアと言葉を交わすことを望む気持ちが勝ったのだろう。
やがて、いくらか離れた河口の方からまた節の大きな歌の合唱や、手を叩く音が聞こえ始めると、ナウシスはウリシアの側を離れた。ウリシアは、ナウシスが別れを惜しんでいるのを見てとると、これが新たな嘆きの種にならぬよう、またここを訪れて会いたいと思っていると知らせれば、自分も来るだろうと言った。そしてそのためには、ただ呼びかけてくれれば十分だと教えた。
「心から呼んでいただければ、私は参ります。声が届くかを気になさる必要はございません。お気持ちを言葉で示していただければ、それで良いのです」
ウリシアは最後にこう言い残し、ナウシスが緊張した面持ちで頷くと、穏やかに、しかしはっきりと微笑み、腰掛けていた岩場から身を躍らせ、海面に飛び込んだ。暗い青色の鰭がその下に隠れると、わずかな波紋だけが残った。
ナウシスはしばし、呆然としてウリシアが消えた場所を見つめていた。小さな波が繰り返し打ち寄せるだけで、もはやどんな痕跡も消え失せていた。さっきまで一つの声だけが聞こえていたのに、今では波の音に包まれるようで、その変わりようが不思議だった。まるでその瞬間が、最初からありもしなかったように。しかしナウシスは、自分の手に残る暖かみやしっとりとして柔らかい感触を、はっきりと感じ取ることができた。