4-1.苦悩の果ての再会
ナウシスはウリシアの言葉を信じ、海岸に通うことをやめ、時間が過ぎるのを待った。しかし別離の時から何日かすると、早くも強く不安に駆られ塞ぎ込むようになってしまった。それは約束そのものについて、そして約束が果たされた後のことについて案じたからでもあり、約束された日を迎える前に自分は死ぬのではないかと思われたからでもあった。
しかしナウシスは、努めてそのような感情を隠そうとし、できるだけ何事もないかのように振る舞った。父アレテスは勤勉で利発な息子を誇らしく思い、母アルシノエは、ナウシスが必ずしも本心からそのようにしているのではないことを悟ってはいたが、自分の聞かせた予言のための葛藤の故だと考えた。
暑い日差しの中で水と戯れる夏が過ぎ、収穫に湧く秋が去り、冬を満たす休息と退屈の時間が経っていく間、ナウシスは一日たりともウリシアのことを忘れなかった。しかしやがていくらかの余裕ができていき、いったい彼女は再会したときに何をするのだろう、どのようなことになるのだろうとも考え始めた。とはいえ、別れの日に交わしたことの意味も知らぬ少年には、それを想像するのも無理であったろう。
春が来た。ナウシスにとっては待ち焦がれていた時節だったが、ウリシアの「一年経って」という言葉に忠実であろうとして、律儀にも別離の日から何日が経過したのかを数え、決して先走るようなことにはならないよう心に決めていた。かつてウリシアに贈った織物を作った時に残った糸に、三百六十五の結び目を作っておき、毎日寝床に入る前に、それを一つずつ解いていったのである。だんだんと結び目のない部分が長くなってくると、ナウシスはそれを一枚の布に編んでいった。それはもちろんウリシアのあずかり知らぬことではあったが、ナウシスには、そうやってその糸に触れている間は、彼女を身近に感じられるような気がしたのだった。そして最後の結び目がなくなった夜に、糸は端まで編み上げられた。
翌朝、暁の女神が褥から身を起こした頃にはもう、ナウシスは王宮を走り出て、海岸へ向かっていた。ちょうど一年ぶりに訪れた砂浜は、まるで最後に目にしてから寸時も経たなかったかのように、ナウシスには何も変わっておらず、記憶の中の光景と寸分違わないように思えた。そしてナウシスが呼びかけるまでもなく、あの岩場には、ウリシアの姿があった。