明日もしも死ぬのなら
明日もしも死ぬのなら。
明日死ぬのなら─────何をしたい?
そんな問いかけを子供の時聞かれた事がある。
よくある子供の問いかけ、答えが無いからこそ楽しい娯楽の質問だ。
自分はなんて答えたか?そんなこと覚えてない。
ご飯を食べる?親と過ごす?何もしない?
そんな選択肢がある中から良くも悪くも抽象的な答えを選ぶ。
そうだな、今の俺ならば……
明日もしも死ぬのなら─────今日死にたい。
──────────
死んだ。いや正確には負けた感じか?
普通はここで勝って、俺つえーを体現するもんだが、俺の現実はそう簡単にはさせてくれないらしい。
経験不足だろう。まず腹に1発、次に足に1発食らって、そこから首を掴まれて引きちぎられた。
痛かったな。意識というものは厄介で気絶する時は簡単だが、こう、死ぬ時は意外と意識が残っている。
血管のちぎれる音を聞かせてくれてありがとう。嬉しくもなんともないけどね。
【無様ですねーww 貴方って1人で戦って勝ったことあります?】
そんな時、声が聞こえる。周りを見た時からわかっていた。
ここは現実じゃない。白い部屋で何も無い、夢を現実化させたような部屋だ。
こんな所で聞く声なんてあいつしかない。
「久しぶりだな。全能神ムーン」
【そんなに久しぶりですかね?悲しいですシクシク。貴方の中で私はそんなに小さい存在なのですね】
なんか言ってるよ─────嫌いだ。本当に俺はこいつの事が嫌いなんだ。
何も無い、こいつの言葉には感情が無い。悲しんでいる筈なのに言葉に乗ってくるのは、何も感じない。
話していて気味が悪い。
【気味が悪いとは失礼ですね。だが貴方の言い分も理解できます、まぁそりゃそうでしょう。
貴方は牛や豚の感情を理解できますか?それと同じです、神も人間の感情をそんなに理解できないんですよ】
「……そうかい、、それでなぜ俺のところに来た?冷やかしにでも来たか?」
【少しぐらい脱線しては?】とムーンはおちゃらけていたが、そんな気分じゃ無い、俺は一刻も早く上位種を倒さなければ──────
【あぁ無理ですよ。あなたの力じゃどれだけやろうとあれには勝てません。それとも自分の力を過信しちゃいました?】
「───────は?」
【だってそうじゃないですか、洞窟のボス、屋敷のユーロ、魔王アリス。どれかひとつでもあなた一人で勝ちました?
上位種もひとりで勝てると思いました?フォールアウトがあればいけると?
武器を強くしただけで勝てるのはゲームだけ。
もう一度聞きます、貴方は────強くなったと勘違いしてますか?】
「────だまれ、だまれ!!そもそもお前が居るだろうが!神なんだから手伝えよ!腐王を倒すために協力しろよ!
なんか力くれよ!他の奴らはこんなにカッコ悪くなかった、、なぜ俺だけはこんなに弱いんだ、、」
ムーンはため息を着く。それは落胆の声、失望の瞳、呆れの態度だった。
俺も何も言えない、これは何も出来なくてただ親に泣きじゃくってるクソガキだ。
【私は前も言いました。この世界はこの世界に生きるものだけで未来を決めるのだと。
確かに、私が貴方に力を渡せば上位種どころか腐王も一撃でしょう。
─────それで何が変わりますか?結局私が力を貸さなければ自力で立つことが出来ない世界など滅んでも文句など言えるのでしょうか?
生命とは朝を見るもの。人々は”夜だから寝るのでは無い”のです”朝を迎える為に寝る”のですから】
……認めたくない、認めたくない─────だが認めるしかない。
俺は1度たりとも1人で戦った事など無いのだから。
スプラッタ王国ではユーロとナイフ。このふたりが今居たらどれだけ頼もしかったか。
だがいない者はいない、無いものは無いのだ。
何かを得たいのであれば何かを捨てる。等価交換だ。
俺が捨てられるものと言えば─────
「助言をください、ユーロ」
────プライドだけだった。プライドなんて持ってても腹なんて膨れないし、ましてや上位種に勝てる訳じゃない。
であればそうそうに捨てて良いはずだ。
【様】
─────ん?
【様は?】
──────え?
【ですからムーンじゃないですよね?ムーン様って言いましょうか?】
─────はぁ!ふざけんじゃねぇ!こちとらお願いしてんだろ!だから今すぐに!
【あぁ大変です、空間が崩れてきています!このままじゃクスノキはまた上位種の目の前にポンと放り出されてしまいます!】
「────知恵を下さい!お願いします、ムーン様!!!」
【フッ……フフフ!いいでしょう、知恵であれば手を貸した事にはならないでしょうからね!】
───────チョロいなこいつ。
【なんか言いました?】
いえ、説明をどうぞ!!
【……まぁいいでしょう。という訳でこれ!】
ムーンが指を鳴らすと、黒い影が現れた。影と言ってもぐにゃぐにゃ輪郭が動いて何も見えない、、輪郭が──────定まってきたな。アレ?コイツって、、、
【見覚えあるでしょう?あなたをボコボコにした魔王のリメイクですよ?
それと、そんな悠長に棒立ちしてて良いのですか?】
「───は?」
と、俺が言った時には黒い影はいつの間にか、目の前にいて、俺の腹をぶん殴る。
メキメキと音を鳴らして折れる骨。潰れた臓器。意外と感触ということはあるらしい。
「げほ!ムーンこれは一体、、」
【一体とは?私が素直に貴方に力を渡すとでも?そんなご都合主義を誰が見たいんですか?
安心してください、この空間には死という概念がありません!傷も一瞬で治ります!つまり『死にません』!
頑張って目の前のアリスを何十、何百と床に這いつくばって倒して下さい!
見事!倒すことが出来たら力を与えましょう!そして地上にも返してあげます。急いだ方がいいですよ?こうしている間にも現実の時間は進んでいるんですから】
────全く、とんだ荒治療だ。
だが嫌いじゃない。これでしか力を貰えられないのなら貰うまで。
悪いが、八つ当たりに付き合ってもらうぞ!!!
来い!魔王アリス!!
──────
「ぶえっくしょん!!」
くしゃみをするアリス。
「風邪か?」とグリシャは心配したが、、
「いや?なんかとんでもねぇ悪口を言われた気がする」
そう答えるアリスとぽかんとしているグリシャと少し笑っているラムダがそこにはいたのだった。
読んでいただき本当にありがとうございます!
ムーン「たまに思いますけど、この小説はロリ要素ほぼ無いですよね?」
クスノキ「そういうこと言わない。作者も気にしてるんだから」
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