ALー02 破壊の都
アリスは一人で歩いていた。
ラムダとは別行動をとり、一人マントを被って顔を隠し街通りを歩いている。
この街は治安が悪く1歩部屋から出れば凶器が落ちててもおかしくない。
毎日人が誰か消える、そんな場所だ。
【名を──────破都 アレキサンドライト】
その時、アリスの腕を誰かが引っ張る。そのまま路地裏に連れていかれた。
どうやら盗賊のようだ。1人は格好の的、まぁ連れていった人間が凡人であればの話だが、、、
「はは!金渡せ!身ぐるみもな!そうすれば死なずに───────あれ?俺の腕は?」
今日、この日この時間、3人組の強盗が死んだ。アレキサンドライトでは死体など珍しくない。
道を歩けば目にはいってしまうゴミのように落ちている。
むしろ金品を奪っていない死体は貴重で群がっていた。
アリスが自分でも(胸糞悪い)と思う街に来た理由は2つ。
1つ目は現状把握。
やはり、というか当然アリスの力は弱まっていた。称号の影響だろう。魔王アリスは廃れつつある。
依然であれば平気で壊せた山も今では蹴らないと破壊できない。
理由は簡単。
他の脅威としての王が何個も生まれているからだ。
力を取り戻すには王共を皆殺しにするしかない。口では簡単だがやるとなると準備が必要だ。
2つ目は人に会うこと。アリスの旧友だ。
「雨が降りそうだな。死んでなきゃいいがね」
アリスがドアを開けて入る。場所はとあるBAR、質素な場所だ。少しだけの酒と口に入れたくないツマミしかない。
それでもこの治安では憩いの場となっていた。誰も顔をあげない、アリスが入ってきても、ギシギシと床をきしめても、カウンター席に座っても誰もアリスの顔を見なかった。
「注文は?」
BARのマスターが喋る。アリスは特に決めていない。というか決める必要が無い、出すのは注文ではなく【合言葉】だ。
”知る由もない、赤く黒い残響の酒を隣の人に”
BARのマスターが反応する。「そうか、、」と目を閉じて少し沈黙した。
この合言葉を待っていたのか、拒絶したのかそれはもう分からない。
アリスの目の前にグラスを置いて大声を上げて叫ぶ、合言葉を聞いてしまったのならばやる事はひとつ
「お前ら!すまん今日でここは店仕舞いだ。あぁだが安心しろ、店から出る必要は無い。
まぁ、簡単に言うと──────死ね」
BARのマスターは両手にマシンガンを構えて連射する。一人一人確実に殺せるように、何発も弾を当てる。
鮮血が吹き出す。窓ガラスが割れる。悲鳴がこだまする。それでもマシンガンは止まらなかった。
「・・・こんな所か」
止まったのは弾が切れたから、BARの中は地獄になっていた。
中にあるのは、血の滴る音と酒を飲み「カラン!」と揺れる氷の音だけだった。
「久しぶりだな。
魔王───アリス・ホワイトラビット」
BARのマスターが1杯の酒をだす。先程アリスが飲んだ酒に継ぎ足す形になるが、それでもアリスは何も言わずただ舌をうならせながら飲んだ。
「相変わらず美味い酒を不味くしてる。
昔と変わらんな────怒王 グリシャ・アインリストワーズ」
「・・・久々に会ってそれか?」と言う怒王と「お互い様だろ」と言う魔王。
生きていた事を確認できた。それが魔王アリスにとっては良い収穫だったと言える。
2人は少し酒を飲んでから場所を変える。ここは少し煩いので周りを片付けてからだろう。
移動する誰も邪魔しない、あの場所で─────
読んでいただき本当にありがとうございます!
次回もALです。
苗字が出てきましたが覚えなくていいです。ただのこの世界にも苗字はちゃんとあります。ユーロやナイフにもあるのですが出し忘れていました。
因みに
ナイフ→マリン・イクサクシス
ユーロ→ユーロ・スプラッタアルバスドア
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