蹂躙の始まり
『パチン!』
クスノキが指を鳴らす。
そこからは蹂躙の始まりだった。
さらにフォールアウトから光が溢れ出した。
ゾンビ達の顔に汗が滲み出る。もう分かるのだ。”あれは自分達を殺す光だと”そう本能が警告している。
ゾンビ達も臨戦態勢に入るがもう遅い。先程まで彼らが生きていたのは、彼女がいなかったからだ。
後に『勇王』と呼ばれるクスノキ、その力が放たれる。
「私の友人に手を出さないで下さい」
───────
いきなり飛び出したクスノキを追って大空も農場に向かう。
前々から懸念はあった。国内からゾンビは湧くが、それでも国の外だから安全という訳では無い。
大空は何度もカウノに国内に移住するように勧めていた。
だがダメだった。何度説得しても「ここは離れられないの一点張り」
(もっと、強く説得しておけば……!)
大空は内心諦めている。少女一人で逃げ出せるほどゾンビは甘くない。
クスノキが先に走り出したが、アズマに不意打ちを受けた強さなら大して戦えないだろう、が分析の結果だった。
─────だが、その分析は一瞬で覆ることになる。
「!! これは風か!?なんだいきなり!」
大空に突風が襲う。吹き飛ばされない為に屈まなければならないほど大きい物だった。
それを起こした物を大空は分からない。ただひとつ分かるのはその風は目的地から吹いたという事だけだ。
大空は先を急ぐ。何があったか分からないが間に合う為に。
その時牧場では───────
「フォールアウト 妖精展開」
────たった一振だった。あの大空を吹き飛ばそうとしたあの突風はクスノキの一振で起きたのだ。
その時牧場は?という疑問があるが、驚く程に牧場は無風だった。
台風でも目だけは比較的平和な現象。
クスノキが起こした突風、何人も近寄らせない為か牧場には何も被害を起こさなかったのだ。
「まだ、やりますか?」
クスノキの言葉にゾンビは戦意を失っていく。
たった一振で3分の1が消滅した。だが、それでも諦めてはいない。
正面がダメなら下からだ。少しづつ下から這い上がっていくゾンビ。いきなり下から出てきて襲う作戦だ。
「────もしかして……気づいてないとでも思ってます?」
そう言ってクスノキは剣を下に突き立てる。そしてフォールアウトに命令を降す。
「フォールアウト 降敵照射」
その瞬間、剣先より光が地面に流れ出る。ゾンビを消滅させた虹色の光はアリの巣のように土に流れ込み、下のゾンビを一網打尽にした。
クスノキは剣を抜きゾンビを睨む。せっかく与えてあげたのにと──────
「私が時間を与えた。だがそれで貴方達は敵対行動をとりました。慈悲は与えません。速やかに全員消えなさい」
─────ふわっとクスノキが空へ浮かんでいく。剣をゾンビに向け少し悲しみの顔をしながら命令を降す。
「フォールアウト 涙消展開」
剣先より1粒の雨が落ちる。その水滴は地面で弾けとてつもない爆発を呼んだ。
虹色の光が牧場を包み込む。帳のようにある場所で止まり、ゾンビを1人も逃がさないように光を与え続けた。
フォールアウトは邪を滅ぼす力。カウノや動物には何の危害もない。
─────大空が到着した。そこにあったのは平和な牧場と剣を抜いたクスノキの姿があった。
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