大空へと落下する
これは大空目線です。
”野菜は自分で作ると美味しく感じる”
そういう言葉があると思う。実際俺も賛成だ。
野菜もとい全ての物体は自分で作るのと他人が作るのでは確実な程の愛着の差がある。
それは国でも同じこと。
俺はある時国を作った。名前は適当にエレシュキガル、好きなゲームの武器の名前だ。
最初は自分が住むために作った国だが、住む人が増えいつの間にか王になっていた。
王を名乗れと言われた時は正気か?と思ったが存外俺には国を指導する才能があったらしい。
────あの時までは、、
「国王様!腐王がこちらに来ています!」
腐王?なんだそれはと聞くと、どうやらあの魔王アリスと同格の存在らしい。
それが国に来ていると、なんかの冗談であって欲しかった。
だが現実は残酷で国は腐王の力に晒された。
俺が王宮から見たのは火がどこもかしこも襲う、地獄だった。
「これが俺の作った国なのか?」そう言わざるを得ない心だ。何百人となる人々が作った憩いの場はたった一つの圧倒的な力によって滅ぼされたのだ。
”まぁよくやった方じゃないか?”
そんな言葉が俺の頭をよぎる。だってそうだろ?日本にいた時は寝ていた俺が、異世界でこんな大きな国を作ったんだ。誰も怠惰なんて言えない。もう眠っていいはずだ。
────目を閉じる。だが寝れない。後悔や怒りがある訳じゃない。ただうるさくて眠れなかった。
「国王様を信じろ!!耐えるんだー!」
「民を避難だ!急げ!この国を守れ!」
────何故だ?何故そこまでして国を守る。ここ以外にも住める場所も逃げる場所もある筈なのに。それでも国を守ろうとしている。
そうなのか?そうであったと願っていいのか?
「民達よ。俺の国は美しいか?まだ死なせたくないか?まだ生きたいか?そう願うのならば!俺が道を切り開く!」
さっきも言った通り、後悔は無い。だが”やり残し”があったようだ。他のやつから見たら取るに足らない物かもしれない。
それでも目の前にある壊れた国で必死に働く蟻たちを見捨てたくは無かった。
────その後俺は少しだけ力を使った。別に使えばリスクがあるやつじゃない。
使おうとしていなかっただけだ。だが、そのおかげで腐王を隅に追いやることが出来た。
あれを殺すことは出来ん。するとすれば存在から消滅出来るやつじゃないと。
だが、奴も奴だ。腐王のプライドなのか知らんが、最悪の置き土産を送ってきやがった。
この国の人間なら誰しもが見た事あるゾンビ。生み出し操りもせずただ、撒き散らしたんだ。
嫌なもんなだよ。最後までしぶといやつはさ。
────そんな時、俺の耳にふたつの報告が入る。
1つ目に魔王アリス復活
2つ目にその魔王を斥けた幼女がこの国に向かっているとの事
好機だった。この国に来るのであれば、利用価値があるのであれば利用しない手はない。
少し賭けになるだろうが、このままいけばどうせこの国は滅ぶ。最後の運命を他人に任せるのも面白いと思った。
だから賭けてみようと思う。この国が滅ぶか生きるか。
何も知らない、本来戦わなくていい奴に、全てを背負わしてみよう。
それでダメだったら諦めるしかない。他人がダメであれば理由になるからな。
という事で──────
「俺の名は大空 新よろしくね」
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