転生者の呪い
第3章開幕です。この話はプロローグと思ってください。本格的には次から始まります。
クスノキは歩いている時女神との会話を思い出す。
少しだけ聞いたあの話を──────
「ひとつ聞きます」
【なんでしょうか?】
「転生者は選定を乗り越えたら元の世界に帰れるんですか?」
────女神は目をそらす。”まぁそりゃその質問来るよな”って顔してる。どうやら俺の予感は当たったらしい。
希望を持っておきたかったが、どうにもまぁ上手くいかないな。
【あー、えと。選定を乗り越えたとしても元の世界には帰れません。転生者の呪いからは解放されますがね】
・・・呪い?何それ、デバフでもついてるの?
【?知らなかったのですか?あなた屋敷で一回死んで生き返ったでしょう?】
生き返った……は?え?嘘だろ?あれが呪い?ユーロに殺されて少し前の時間に戻されたのが?
まさか、オオカミに食われて何度も生き返ったのも?あれも呪いなのか?
【ええ。転生者は《死ねません》死ねば少し前の時間に飛ばされて運命を回避させられます。永遠に死ねず、役目を全うさせるのが転生者の呪い────】
─────通称、生続の呪い(せいぞくののろい)
偶然ではなかった。あのときオオカミに食べられ死んだ時、この神が嫌がらせで生き返っているのかと思っていたが、まさかこれが呪いだったとはな。
どうりで・・・
【私に感謝してくださいよ?オオカミに食べられ続けて、呪いで死ぬことも出来ず、かと言って逃げることも出来ないあなたを助けたんですから】
「ちなみにひとつ聞きたいのですが?」
【なんですか?】
「私を見ていたのなら何故千回以上食べられた後に助けたんですか?」
女神は黙ったままだった。ちょっと「あはは」と声が聞こえたが、もうわかる。こいつわざとだ。
わざと俺が食われているのを見ていたんだ。
【弁明させてください】
ダメです
【簡単に言いますとね?私はあなたの心を見ていたんですよ。助けてもこの先よ転生者としてやって行けるのか?それを測るために心を鬼にして見守っていたんです】
……何言ってんだ?こいつ。スラスラと言葉を並べているが結局ただ見ていましたって事だろ?
【すいません。お菓子食べてたらいつの間にか、ね?】
ね?じゃない。もういいや、時間の無駄だ。あっ、あと聞き忘れてたけど腐都エレシュキガルって何があるの?なぜそこがおすすめなの?
【あそこは自分で見て欲しいんですが、国全体が特殊です。この国の歪さを見るのであればあの国以上に見本となる国はないでしょう】
なるほどね。俺の目的にも使えるかな?
【目的?あなた何か夢でもできたんですか?】
よくぞ聞いてくれた!!そうなんだよ。夢が出来たんだ!
【絶対めんどくさいこと私は聞いてしまいましたね。まぁ、聞いてあげましょう。聞くのも神の役目ですから】
俺の夢は─────
「私の夢は国を作ることです。国を作り、全ての生命が安心してくらせる理想郷を作りたいんです。魔王アリスを倒して平和な国を作ります」
【・・・まともな夢ですね。まさか、そんな大層な夢があなたの口から出てくるとは─────】
「そして!あわよくばちやほやされたい!この体になったんだから!合法になるはず!!」
【───本音が出ましたね。クソみたいな夢でしたね。絶対あとから言ったのが本命でしょ。はぁ、まぁ国を作るのには何も反対しません。あなたの人生です。好きにすればいい。ただ、あなた国を作ったことあるんですか?】
「マイ〇ラでいい国を作った実績があります」
【……経験無しということですか。まぁだったら尚更エレシュキガルがに行きなさい。そこにその知識もあるでしょうから。
あっ、あと最後にその国の長にムーンがよろしく言っといてくれと言っておいてください。手紙も渡しておきましょう。これで適当に流されることは無いでしょう】
それはありがたい!!正直その国の長にどう会うか悩んでいたがこれで大丈夫だ─────
───で、なんやかんやあり、今は道を歩いていますと。
てかマジで暇。スプラッタ王国って治安悪かったんだな。本当に何も起きない。盗賊すらもいない。
そういえばユーロから貰った飯があったな。いい頃合いだし食べるか。
「確かこのバッグのここに。あー、握り飯ですか。しょぼいと言いますが、まぁ仕方ありません。貧乏飯もたまに食えば美味しいんですから」
正直独り言を言うほどには暇だ。さてとちょうどいい丸太があるからここで食べるか。
「美味しいですね。意外と素朴なのが癖になります」
───景色が変わる。地面が草原からむき出しの土に変わる。周りの空気が霧に包まれる。何も無かった平原に墓が現れる。まるでマジックのようにクスノキの周りは一瞬で変わったしまった。
「ふ?あふぇ?こふなとほろでしふぁっへ?」
(訳:ん?あれ?こんなところだったっけ?)
読んでいただき本当にありがとうございます!
なんかいつの間にか怪しい場所に潜り込んでしまった。あるあるですね。
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