全てを知る者
国盗り編ラストです。
アリスが居なくなりスプラッタ王国は平和になった。
あの日の後すぐにユーロは立ち上がり新政府を設立すると住民に発表。
「もうこのような悲劇を起こさない」と住民に約束して人々も納得してくれたらしい。
マクリールは魔王アリスを復活させた罪でそのまま捕まってしまった。無期投獄は避けられないらしい。
最後にマクリールとユーロは仲直り出来たらしく、少し安心した。
ユーロにシロが死んだことを伝え、墓を作ってもらった。王宮も破壊されているのに優先的に作ってくれたことには感謝したい。
もう二度と会えない。墓の下に納めるものもないが、少しは報われてくれると嬉しい。
2日後だったか?自分の目的にたどり着けたのは。
「ここだよ。クスッチ、中に入って祈って、そしたら応答してくれるはず」
俺が来たのは神の間と言うスプラッタ王国の中でも最上級にトップシークレットな場所。本来王族でなければ立ち入れないが、もう王族はユーロ一人しかいない。だからOKしてくれた。
元々そのためにこの戦いに来たから、Noって言われたら無理やりにでもこじ開けてたかもしれない。
俺は祈る。少し癪だが、仕方が無い。会いに行こう、全てを知るあの女の所へ──────
【こんちには、久しぶりですね】
俺が次に目を開けた時、目の前には神がいた。ご丁寧に茶会の準備をしてくれている。
どうやら神に会えると言うのは本当だったらしい。案外信じてみるものだな。
「どうも、神様」
【あ、そうでしたね。私は神と名乗っていました。こうして面と向き合ったのですから真名を教えときます、私の名は全能神ムーン、ムーンと呼んでください】
……見た目はまじの神だ。青髪にドレスのような白い服を着ている。だがそれ以外神に見える特徴は無い。感じられるはずなのに特徴として捉えられない。言葉に言い合わせないむず痒い感覚があった。
【さて何から聞きたいですか?】
「全部」
【ですよね】
そりゃそうだ。俺はその為に来た。だが神も説明するのは面倒なので適当に俺が口をはさめながら進める。
まずこの世界はerrorWorldという物らしい。そもそもこの名前も縁起悪いよな。
【元々この世界はその名ではありません。ですが、繁栄する価値無しと判断された為errorWorldが付けられました】
・・・どういうこと?
【errorWorldとは略称です。この世界は星の数ほど存在しています。あなたが居た日本とこのerrorWorldの他にもたくさんの世界があるのです。
ですが、世界線は有限です、無造作に世界が生まれればいずれパンクする。なので切り取り、選別対象として選ばれた世界を神はerrorWorldと呼んでいます。
この世界ももう、捨てられる寸前なのです】
その捨てられる要因は?やっぱりあれ?
【察しの言いようで、理由は魔王アリスです。いずれアリスの手によって世界が滅ぶのであればもう消しちゃおうよ、それが神の意見になります。
浅はかですよね。見ていて吐き気がする。生命をなんだと思っているのか】
あんたはこのerrorWorldに反対なのか?
【当たり前じゃないですか。生命は生きてこそか価値がある。たとえ滅んだとしてもそれをそこで生きていない神が滅ぼすことなんてあっちゃいけない。
世界の生存も滅びもその世界に生きる者共で決定するべきです】
・・・驚いたな。まさか、あんたがそんなことを言うなんて、てっきり”汚らわしい人間なんて!私の鉄槌で殺しますわ!”とか言うかと。
【あなたの中の私ってそんななのですか?てかそれに見えているんですか?眼科行きます?】
はいはい、話進めて。
【・・・この世界は人間、魔族、転生者の三大種族で構成されています。転生者は数こそ少ないですが力があるので驚異として入っています。どっかの偉いやつは大体転生者かも知れません】
そんなゴキブリみたいに言わないでくれます?まぁでも分かった。この世界を救う、選定から逃れるためには魔王アリスを倒せばいいと?
【これがそんな簡単な話ではないんですよ】
・・・嫌な予感
【神はプライドが高いんですよ。自分が選定した世界がそれを覆したとしても、簡単に選定は剥がれません。
”確かに魔王アリスは倒したけどこんなに長い年月がかかったんだから選定されても文句言えないよね?”的な感じです】
なるほどね。腐ってんな。生きすぎてネジが錆びたんじゃない?
【否定ができないのが苦しいところです。ともかく貴方が世界を救いたのなら魔王アリスを完膚無きまでに叩きのめして消滅させるしかありません。そうすれば神も文句言えないでしょう】
なるほどね。てかさあんた全能神なんでしょ?なんとか選定を解除できんの?
【・・・さぁ!天啓は授けたぞ!行くが良い勇者よ!!あと次旅するのならあそこなどオススメですよ?──────です。】
おい!またか!都合が悪くなったらこうやって逃げるのか!!待て!待て!おーい!!
俺は目を開けた。現実でね。祈りは終わりか。まぁいい、あそこにいけと言うのなら行くべきだろうよ。あいつらにお別れを言うか。
「・・・クスッチ本当に行っちゃうの?私の恩人なんだからこの城に住んでもいいのに」
「ごめんなさい。どうしても行かなくては行けない場所が出来ました。私一人で行きます。いつか必ずまた会えますからその時に名物を食べさせてください」
わかった!とユーロは納得する。意外と早く返答したなと思ったら俺が旅の準備をしているのを後ろから見ていたらしい。
ユーロから贈り物で軍資金と通行書を貰った。この通行書があればどんな検問も素通りできるらしい。さすが王族何でもありだね。
・・・ユーロの護衛任せたよ?
「ええ、それはそれはもちろん任せてください、頭」
ユーロの傍にはナイフがいてくれるらしい。ユーロひとりじゃ政治は無理だろうからという理由だ。
なら安心だ。俺は安心して国を出れる。
「ありがとう!クスッチ!いつかお礼するよ!いつでもこの城に戻ってきていいからねー!!待ってるよ!!来なかったらこっちから行くからねー!!」
「お元気で!!頭!居なくなっても貴方のことを尊敬しています!!また会った時戦いましょう!!」
最後までユーロとナイフは手を振って見送ってくれた。いい物だね友情というものは。
これから来るやつが来なければの話だけども。ユーロとナイフももう見えない。
「・・・もういいですよ。出てきて」
「うーん、いやいい物だね。友情という物は、この【魔王】にも少し涙が出ているかもしれない」
出てねぇから安心しろ。なぁ魔王アリスよ。手を組む約束をしてからあの仕打ちはどういう事だ?
「ん?だってあそこまでボコボコにしなきゃ後々困るのは君だよ?むしろ感謝して欲しいよ。あれで俺との約束も継続しながら仲間と後腐れなく別れられたんだから」
俺とアリスは手を組んだ。とは言っても別に仲良くしようというものじゃない。
簡単に言うとこの世界の選定から逃れる為に、お互い最終決戦まで手出し禁止、仲良くやりましょうと言う事だ。
「クスノキ、次はどこに行くんだ?」
話し方がラフだ。これがアリスのオフモードらしい。
「次は──────に行きます」
「へぇ、あそこは、、確かに良いかもね。これ渡しとくよ、なんかあったらそれに話しかけて、そしたら俺に繋がるからさ。収穫あってもね。あと俺との約束をほかの人に話しちゃダメだよ?一気に君への信頼が地に落ちるからさ」
わかっているようで何よりだよ。さぁ帰れ。もうすぐ馬車が来るぞ。俺もさっさと行きたいのでな。
「そっか、送ってあげても良かったけどまぁ近いからね。バイバイ、次会うときはどうなっているか楽しみだよ」
おう、あばよ。
とアリスは消えた。馬車が来たので端に避けてそのまま道に進む。馬車に乗っても良かったが、俺は昔から乗り物に弱いんだ。今がどうかは分からんがね。
さぁ、剪定を覆す旅に出かけようか!とりあえずトイレ行こ。
第2章、国盗り編 ~完~
読んでいただき本当にありがとうございます!
もうちょい続きます。次回は幕間です。
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