魔王みたいな勇者と勇者みたいな魔王
あらすじ サタンがんばぇー
※アシュトニングはあれのオマージュです。まぁ何かとは言いませんがそっちも読んでくれると嬉しいです
遠くの街の地面が揺れる。遠くの湖の水面が揺れる。
神話のような戦いにより、世界中で影響が出る。
「へぇ、隕石を斬るか。やるじゃん」
パチパチと手を叩く魔王と睨む勇者
「知るか、お前に褒められても何も嬉しくない」
サタンとアリスはお互い睨み合い戦いを止める。だが直ぐにその戦いは再開される。
「そう言うなよ、俺は本当に褒めてるんだからさ!!」
アリスは大きく手を振り下げる。彼の後ろから多くの流れ星が降り注ぐ。
勿論アリスが強化しているので1発当たるだけでも国が滅ぶ一撃だ。
「・・・うるせぇな」
サタンが剣を上に向ける。そして地面に何十、いや何百という魔法術式が出来る。
「撃て」
その術式から白い槍が射出される。何本も連続で、サタンとアリスの砲撃は中央でぶつかる。
花火のように衝撃波が円状に何百と出来る。数は拮抗していてどちらにも相手の弾は届いていない。
「少し数を増やそうか」
アリスが人差し指を下に向けると降っていた流れ星が2倍以上に増える。
数の勝負はアリスが勝ち、1つの流れ星が地上に落ちる。
たった1発、たった1発で広大な森の一角に巨大なクレーターができる。
サタンの足元にも響く地鳴り。もはやセーブという言葉は無いに等しかった。
(出来ればこの後の戦闘でも援護する余力を残しておきたかったが仕方ない───)
【──砲台200台追加、撃て】
サタンの地面に更に砲台ができる。地面だけでは足りないので上空にも展開された。
先程まで押されていたサタンの戦線は少しづつ押し返して先程までとは変わり、戦況を有利に変えていた。
「ふむ───」
サタンの射出した槍が1発流れ星の雨を耐え、アリスに向かう。
アリスはそれを手で弾く。少し彼の顔にイラつきが出る。
槍が思ったより痛かったのではなく、こちらに届いたのが不服だった。
「───フッ、そうかそうか。俺の元に槍をか、、少しだけ本気を出してやろう。誇っていいよ?これを撃つのは君が初めてだ」
アリスが手を銃の形に、人差し指と中指の先に魔法の青い弾ができていく。先程まで落としていた流れ星が蒸発してその弾に注がれる。
流れ星は無限の弾だが如何せん威力が弱い。
だがこの弾は一撃で全てを破壊する。
『太陽よ 全てを飲み込む暗黒よ 聞け この世の理は無常なり!世界が俺を裁く、否!裁くのはこの俺だ!
無限の星 今ここに注がれ 世界を滅ぼす大罪の意思と成らん!
超級魔法 Unendlich und eine Kugel』
意味は無限であり一つの弾。先程まで青かった弾は赤くマグマのように燃えている。
「バキュン」
アリスはそう言ってその魔法を放つ。小さい弾。抱かその弾は無限の流れ星で出来たもの。太陽のような質量を持った小さい弾は運命のように地上に落ちていく。
勿論サタンもあの弾の正体がわかっている。だからそこ全力を出さなくてはいけないのだ。
「よし、行くか───」
2回ほど小さくジャンプして息を整え、目を開ける。あの弾が地上に落ちるまでに破壊しなくてはいけない。
厄介なミッションだがやるしかない。やらなければ自分の負けだ。
サタンは剣を構える。刃の向きをアリスに向けて先に巨大な魔法陣を作る。
アリスと同じように白い槍を全てその魔法陣に込める。溢れ出したエネルギーは幻覚ではあるが大きい刃へと姿を変える。
(まだだ、これじゃ足りない!もっと!もっと!!)
これでは足りないと思ったサタンは大地のエネルギーも使う。本来であればこれからの草木を生やすエネルギーを前借りで使わせてもらう。
後でユーロが死ぬほど疲れるだろうが、まぁそれはそれとして。
『月よ!我が世界を見よ!ここは楽園の終着点 自らを血肉として我は月下の古塔で敵を撃つ
高く上がれ 地獄の底まで轟く亀裂を産み、生命に恵を与えん!
超級魔法!Objekte zwischen Himmel und Sternen』
意味は空と星の間の物。剣先に出来た巨大な刃は原形がなくなり巨大な光線となりアリスの超級魔法に向かって上がっていく。
小さな弾と巨大な光線は中央で衝突する。言葉で見れば光線の圧勝だが、現実はそうはいかなかった。
(これだけ・・・これだけやっても足りないのか!!)
少しづつ赤い弾が光線を押し込んでいく。拮抗していたのは一瞬。実力の差が見え始めた。
実力と言うよりはコンディションの差と言うべきか。サタンには守るべきものが沢山あるが、アリスには無い。それがサタンの枷でありブーストであった。
「破壊するのが無理なら、逸らすか」
サタンは光線の向きを少し変える。手術のように少しづつ球を逸らし上に吹き飛ばした。高く高くその弾は上がっていく。
何もしなければ宇宙の果てまで飛んでいくその魔法だが、アリスから見れば少し面倒だった。
「あー、今神にバレるとめんどいんだよな。壊れろ」
アリスが手を握る。魔法は砕け巨大な爆発が天空で巻き起こる。そこにあった雲は全て蒸発し、高く飛んでいた鳥はやむなく落ちる。
だがそんなことなど見てないかのごとく、アリスはサタンに夢中だった。
「さすが!出来ないとわかった途端に弾を逸らすその思考!頭がいいのかプライドが無いのか分からないけどね」
サタンは少し笑う
「まぁそう言うな。俺の役目はおしまいだ。本来であれば俺がお前を殺す所だが、先客がどうやらお前にはいたらしい。であればそいつに任せるさ」
アリスは少し首を傾げる。
「ん?何を言っているんだ?そんな奴いないだろ。てかいたら俺が気づいているしそんな訳───」
その時山が割れる。ズズズと大きな音を立てながら。
割ったのは斬撃による衝撃波。それはアリスに向かって大きく跳ねる。
「あぁお前か。オオカミが死んだぐらいで何も出来ない奴が舞台に挙がってくんじゃねぇよ!!」
アリスは手で弾く。彼の手は合金でできているのだろうか?
そんな事はさておき、来たのはクスノキだ。
サタンはクスノキに向かう。
「ここはお前に任せていいな?」
クスノキは頷く。
「わかった。俺はもう1人を見張っとく。勝てよ」
サタンは消える。クスノキはくる前に鎧とフォールアウトを回収しておいた。フル装備でアリスに立ち向かう。
「聖剣フォールアウトか。あの女から聞いたことがあるよ。
何?それを持ってきたから対等って思ってる?だとしたら片腹痛いな。この俺のイラつきをどうやって鎮めてくれる?」
クスノキはアリスを睨む。
「知りませんよ。カルシウムでも取ってください。それにフォールアウトがあるから貴方の前に来たのではありません。てか貴方が私から逃げたのではなくて?」
アリスは少し笑う。目の前のゴミが分相応にも啖呵をきったのだから。
「言うじゃん ゴミ」
クスノキはアリスに向かってジャンプする。
「ゴミって言う方がゴミなんですよ?」
フォールアウトの輝きが戦場の空を更に光らせた。
読んでいただき本当にありがとうございます!
前の超級魔法はカタカナでした。
マクリールが言った超級魔法は異世界人なので地球の言葉ではありません。ですが2人は転生者なのでドイツ語です。
この世界の魔法の名前は全てドイツ語で出来ています。
固有魔法は別ですが。あれはその所有者の人生なので。
なぜドイツ語なのかは後々言うかもしれません。
さぁそしてクスノキ登場です。クライマックスに突入です!
あと何話続くのだろうか。
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