立ち上がれ
転生者仲間を見つけた!
男の金髪で軍服を着ています 少しこれがヒントになるかもしれない。
いや多分ならんな
侯隆有栖──────
見て一言言えと言われれば、絶対に性格的な意味で合わないということだな。
「どうした?俺が自己紹介したんだからお前も自己紹介するべきだ。なぁ【日本人】よ」
何故?俺が日本人だと?いや、今は名前を言うべきか。変な印象持たれてもそれはそれで面倒臭い。
店員がクレーマーに文句言わないのは、それ以上にそいつに謝りたくないからだ。
「楠 亜蓮 貴方と同じ日本人です。これで満足ですか?」
「フッ、まぁいい。それで何の用だ?俺は暇では無いのだが?」
座って肘ついてるだけで暇じゃないんですね。そのまま朽ちて欲しいけど、確信に迫るか。
「この上の国の全ての異変は貴方の仕業ですか?」
「否、それは違う。俺はこうすれば良いんじゃないか?と夢で言っただけだ。
結局どこに行こうと人間は変わらんな。少し目の前の蜜を見せるだけで直ぐに俺の言う通りに行動したよ────」
・・・お前の仕業じゃねぇか。
「───あぁ、それを見れば俺の仕業と言っても相違ないが、やったのは王女だ。
この国の異変など全くと言って興味無い!俺はこの空間から出れれば何でも良かったのだ」
・・・この空間から?封印されていたのか?ちょっと待て、お前はそれだけのためにあんな事したのか?
「・・・それだけの為に?」
その言葉を聞いて侯隆は少し顔にしわを寄せる。どうやら気に入らなかったらしい。知るか、そんな事。
「───口の利き方に気をつけろ、俺は久々の来客で少しだけ機嫌が良かっただけだ。
本来俺とお前は口を聞くことでさえ許されぬことだと理解せよ」
こいつ、日本人だよな?随分とかけ離れていないか?名前からしても現代の名前だが─────
「貴方、日本の何処の出身ですか?」
「さぁな、随分と昔のことで忘れてしまったよ。ただなんと言ったかな■■■の国とか言っていたかな?」
何て?聞こえなかった。綺麗にそこだけ聞こえなかった。フィルターが掛かっているかのように。
ただひとつ言えるのはこいつをここから出したら不味いということだ。
どうするか?殺すか?嫌、だが。
「・・・さっきから待っていたが、剣すら無いのか。
それが原因よ。だから────」
────大事な物を取りこぼすのだ!
その時そいつの横に1人の女?が現れた。フードを被っていて判別はできない。
だが、右手には剣。そして左手には─────
「あ、貴方その左手のは、、、」
そう言うしかなかった。手に持っていたのは銀色の毛髪をフサフサに生やした1本の足だった。
侯隆が笑う
「だから言ったであろう。大事なものを取りこぼすと。お前ほどの力を持ちながら何故ここで散歩をしている?
脳にしかと刻み込め。自分の力を過信して油断する物は死なん。
だがいつの間にかその横にいる大切な物が無くなっているぞ?」
何を言っている?殺したのは─────
「───殺したのはあなた達でしょうが!!!!」
「・・・つまらん。やっと吠えたかと思えば責任の投げやりか。死んだ者が浮かばんぞ。
自然界では当たり前だ。母親が居ない子供など強者の餌でしかない
神も神だ。何故このようなやつを転生者に選ぶのか。やっとここに到達した者がいたかと思えば」
侯隆はさっきからコロコロと顔の表情が変わる。先程まで哀れみの顔から一瞬で人を馬鹿にしたような顔になる。
むしゃくしゃするな。ただ正論でもある。俺がシロの傍に入れば死ななかった。未来を変えられたであろう事を。
そんな時侯隆からある疑問を投げかけられる
「時に貴様。転生者が何故この世界に来るのか知っているか?」
「知りませんよ。そんな事!」
侯隆は少し考える。そして直ぐに答えにした。
「嘘をついているかと思ったが、どうやら本当に知らんらしいな。
教えてやろう。転生者がここに来る意味は、俺を倒すためだ。
俺はこの世界でもうひとつの名を持っている───」
────魔王 アリス この世界を滅ぼす魔神の名をな。
魔王ね。だったら何だ?だからシロを殺しても仕方ないと?悪だから?
ふざけんな。お前を倒すんだろ?だったら!
「今ここであなたを殴ればいいだけです!」
俺は思いっきり地面を踏み込んで侯隆にぶん殴る。
シロを殺された恨みや、今俺の感情なども全て拳に乗っけて拳を打つ。
「良い判断だ。だが少し遅いな。それは、この女が来る前にやるべき行動だった」
フードの女が拳を受け止める。それも片手で。
だが、風圧は殺せずフードが頭から外れた。
───そこに居たのは、黒髪の長髪で日本人顔をした女性だった。
何も感じなかったと言われれば嘘になる。意味が分からない。ただ俺の本能が言っている
俺はこの女とどこかで会った事があると。
その瞬間俺の頭を謎の頭痛が襲う。もう少しで、もう少しで、思い出せるはずなのに。記憶にモヤが掛かって思い出せない。
「あな、たは、、」
侯隆はそれを見て少し顔を傾げる。
「おい、やつがお前をみたら苦しみ始めたぞ?どこかで会ったか?それとも知り合いか?」
その黒髪の女性は俺を見ている。上から睨み。まるでゴミを見ているかのような目で。
「さぁね。誰かと勘違いしているんじゃない?それよりも外に出るよ。
アイリーンが死んだ。そして、ヘラアーデルハイドが発動されたから外に出れる。この空間も崩壊するよ」
その報告に侯隆は重い腰を上げた。その報告は彼が封印されてから【数百年】待ち望んだ報告だったからだ。
「ほう!あの王女やったか!見た目によらず有能ではないか。
さて、ここから出たら一番最初に殺してやろう。
・・・やつをどこかに放り出してやれ。ここで死ぬにはつまらんからな。狼のところにでもな」
黒髪の女性は少しため息を着く。「ここで殺した方がいいんじゃない?」とは思ったが言えば殺されるのは自分だ。
剣を少し振り、魔法を唱える。
その瞬間俺の意識はブラックアウトした。
───次に俺が目を覚ましたのは、地下室だった。目覚めた理由は揺れでも音でもない。鼻をつんざくような鉄の匂いがしたからだ。
俺は少し歩く。その匂いの元へと。
そこにはもう肉の塊になった喋るシルバーウルフがいた。
俺は両足から崩れ落ちる。
なぜ死んでいる?彼女が何をした?弱者だったから?何も出来なかったから殺された?
それでいいのか?道端で踏むアリを見て何も感じない様に、弱者が強者に殺されるのは仕方ないと?
侯隆の様に受け入れろと?彼女は今日死ぬべきだったと?
違う─────
(違うはずだ。違うはずなのに、なんでこんなにも言葉にできない?
こんな最後なんて報われないじゃないか!!)
何故こんなにも俺は怒っている?1000回以上食べられた相手を殺されて、むしろ喜ぶべきだろう。
何故だ?何故こんなにも胸が痛いんだ?何故こんなにも涙が出るんだ?
「ご、主人、様・・・」
声が聞こえる。耳元で微かに今にも消え入りそうな声がする。
喉が破れ、掠れた声で俺を呼ぶ声がした。
「シロ!生きていたんですね!すぐに回復を!」
───してどうなる?どうせ生きられない
(うるさい)
───自分は回復をしようとしました。だからこの死は仕方ないと納得する気か?
(うるさい、うるさい)
───分かっているのだろう?彼女が死ぬのも、この国が滅ぶのも全てお前のせいだと
(うるさい!!!!!!!!!)
「泣か
ないで」
掠れる。口をパクパクさせながら必死に言葉を伝える。
「私は
あなたに会えて」
「幸せ
でした・・・」
そう言って白い獣は息を閉じる。
ほんとに身勝手だ。自分で生き返って、勝手についてきて勝手に死んじゃった。
意味がわからない、なぜ俺にお礼を言った?幸せ?間に合わなかったのに?
怒りの言葉なら理解出来たが、お礼を言う事は俺には理解できなかった。
それを理解できるまでにはまだ時間がかかる。
「シロ、私の力で天に送ります」
俺は手から浄化を放つ。キラキラと光が出てきてシロの体はチリとなって消えた。
2度目は無いらしい。少し期待をしていたが人生そんなに上手くは行かないものだ。
───少し感傷に浸りたいが、時間が無い。
悲しみの時間は終わりだ。
歩かなければ、彼女が私に呪いを残したのならそうするべきだ。
「泣かないで」
たった一言の呪い。その呪いでクスノキの心は大きく変わる。
今までは救える命は救うべきだと思っていた。だが違う。この世には救うべきでは無い命も存在する。
それが今もはびこり、人々に危害を加えるのなら
「殺すべきです」
思えばそうだ。狼に食べれた時自分は死んだんだ。殺すべきものは殺すべきだ。
泣くな。心臓の鼓動を早くしろ。足を動かせ!体を上げろ!こんな所で絶望している事など許されないのだから!!!
先程俺はシロの死を違うと言った。
何が違うのかまだ俺には分からない。だけど、絶対に違う。例え、死ぬべき人間も明日を生きる権利はあったはずだ。生きられなかったとしても、その死は必ず意味がある。意味の無い死などあってはならない、生命への冒涜だ。
違うと思うのであればその答えを俺自身が出さないと。
「侯隆!!!有栖!!!!」
俺は叫ぶ。大きな声がこだまする。さて行くぞ!大きな獅子がお前の喉を割きにな!!
その咆哮がこだまする時、上では超級魔法の魔法樹が消えていた。
その代わりに1つの巨大な存在と怯えまくるマクニールがいた。
「ご、ご機嫌麗しゅう、、魔王アリス様」
「・・・相変わらず腐っているなこの国は」
この国の惨劇はここから始まるのだった。
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