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永劫回帰は夢を見ない  作者: ユナ
第2章 国盗り編
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決着は雨の後

あらすじ ナイフ達はもう止まれない



最後におもろい情報があるよ



溶解のアイリーンと呼ばれてからどの位経っただろうか?私が戦場に立てば敵は残らず降伏。

例え立ち向かってもマグマで骨すらも残さない。

これだっただろうか?私が欲していた戦いは。

誰だっただろうか?私を見て最後まで剣を降っていたバカは。

だが、今はそんな事どうでもいい。やっと巡り会えたのだ。

手加減しなくていい相手を。固有魔法を使っても直ぐに死なないサンドバッグを。

意外と近くに居るものだ。私を殺せる可能性が他の国の軍隊でも、秘密組織のエージェントでも無く、近くに拠点を置くただの盗賊だったのだ。







───水が通路を埋め尽くす中、不釣り合いな剣の交わる音が聞こえる。

重い金属音が鳴る。剣のリズムは人それぞれ。だがそのリズムは相手に合わせているかのようなリズムで不協和音にはならず心地の良いリズムがあった。



「アイリーン!お前の負けだ!それじゃあ能力は使えない!降参しろ!」



「ぬかったか!?私が降伏するとでも?私の死に場所は温かいベットではない!冷たく優しい地面の下だ!!」



ナイフの牽制も聞かずにアイリーンは突進する。イノシシのように、龍のように、あらゆる物を破壊する勢いで真っ直ぐ走る。

ナイフは避けるので精一杯だ。反撃したいが剣を降ったその時にはもう居ない。時間が飛んだかのような感覚がある。


(おかしい。先程の倍ほどのスピードだ。力を隠していた?いや、だったらあの時の万全な時に使うはず。

ん?なんだアイツの体────)




「ふー!フー!!」




─────アイリーンの体から湯気が出ている。剣からでは無く体全体から蒸気機関のように煙が出ている。

さてここで簡単な体の仕組みのお勉強だ。

ウォーミングアップという物がある。本来の運動より前に体を動かし体を温める作業だ。

体が温まれば動くという訳では無い。正確には体が温まり血流が加速して運動能力が上がるのだ。

つまり、血流を早くすればする程に運動能力は飛躍的に上昇していく。

湯気が出るほどに体を温めれば尚更だ。アイリーンの足元の水が沸騰している。

それを見てナイフは恐怖を覚える。




「・・・馬鹿げてる。そんななのか?お前が忠誠を誓う奴は、そんなに命をかけるほどの奴なのか?

お前の命が散るのを悲しんでくれるやつなのか!?

お前もわかってるはずだ!その状態は長く続かない。続ければ血管が破裂して死ぬぞ!」




その叫びでアイリーンの蒸気は増える。皮膚が少し黒くなる。

それほどの怒りを抱えるほどに今のナイフの発言は許せなかった。



「黙れ!!貴様に女王陛下の何がわかる!感じたことはあるか?自分の指示ひとつで国が滅ぶかもしれない!そんなプレッシャーを日々背負ってあの方は歩いている。

女王陛下は変わってしまった。あれ(・・)と契約してから、以前と同じような笑顔を見せなくなってしまった!

あれ程!再会を望んでいた!生き別れの姉を嫌悪するようになってしまった!!!

私に何が出来る?そうさ何も出来ない!だからユーロ様を行かしたのだ!

あの姉妹の喧嘩は姉妹が終わらせる!私に何も言うべきことは無い!!

私の役目は、戦場で散ること!あのお方があんな力に頼らなくても、笑顔を見せて!生きれるように!私の名を轟かせるのだ!!!!」




少しづつ、少しづつアイリーンの顔が黒くなっていく。限界が近いのだ。元々固有魔法の所為で寿命が縮んでいた。

誤魔化していたが、それももう限界に近い。アイリーンはここで勝利しても敗北してもここで死ぬ。

それは決まっている運命だ。



(・・・何が戦場で死ぬ事だ。私があの時もっと強くお止めしてればこんなことにはならなかったはずなのに。

民は知っているのか?女王陛下は毎日吐きそうな顔をしていることを。ごめんなさいってずっと謝っていることを。

いつか自分討伐して、新たな王を探していることを。

私だけだったのだろうか────)





─────あの姉妹が幸せになって欲しいと願っているのは。




アイリーンの目に何かが付く。汗か水だろうとアイリーンは納得する。

だが本来は違う。水は触れる前に蒸発して汗を出す器官はもう壊れている。

それは涙だった。だが、アイリーンはそれに気づかない。

涙を流す理由がないと思って居るからだ。最後まで気づかなかったようだ。

彼女が女王を妹のように愛していたということを。





───ナイフは何も言わずに剣を構える。これ以上の言葉は不要だろうと見切りをつけた。

本来であれば勝負は1発でついていた。剣で切らずにマグマを集めてぶつければ1発なんだから。

それでも剣を使って戦った。その理由は─────




「行くぞ!騎士アイリーン!辞世の句は読んだか!?未練を置いていくんじゃねぇぞ!!!」




「来い!ナイフ!!私の最後にして最初の好敵手よ!!チケットは持ったか!?ならば走れ!我が元に!!」





ナイフはアイリーンに向かって走る。足元でひとつの魔法を発動させながら、少しづつ水に掛けづつける。

正面からは無理。それはナイフの本能が告げている。ならば搦手で?ふざけんな!盗賊にそんな頭有るわけねぇだろ!!




「お手並み拝見だ!」




アイリーンが口を開く。少し光り、そして光線が出てくる。

いわゆる口からビームと言うものだ。壁に当たれば壁が熔け、水に当たれば蒸発している。

当たればそこから真っ二つだ。



「相変わらずの理不尽だな!コノヤロウ!」



ナイフは持ち前の反射神経でスレスレを見て避けている。髪が当たりジュ!という音を立てて消えた。

うわ!と思いながらも避けていく。だがこのままではジリ貧だった。

避けれることは避けれるが、このままで行けばハゲになること間違いなしだった。

名誉の負傷なんてもんで納得できるものじゃない。明日からカツラ人生は受け入れられるものじゃない。



(嫌だぞ!このままハゲになるのだけは!部下に笑われたらたまったもんじゃない!

だが、まだ早い。もう少しだ。もう少し────)




アイリーンの光線が止まり、口から火の玉をだす。

だが、その玉はナイフのスレスレを逸れてあたる。今の攻撃を持ってナイフの疑惑は確信に変わる。



(コイツ、やっぱり加減(・・)してるな?さっきの光線も少し早く複雑にすれば勝負は着いていたはずだ。

そうか、もう終わりたいんだなお前も。だったら終わらそう。準備は整った。

さぁ!一か八かのかけだ。この現象が起こるかも、その後俺が生きているかも!)





最後の仕上げをする。ナイフの未来にはひとつ足りない。暑い暑い爆弾が。

丁度いいのが、目の前にいるので誘き寄せることにした。




「アイリーン!どうした?そんなもんじゃ俺は殺せねぇぞ!?お前が来い!チェックメイトしてやるよ!!」




もうアイリーンに理性は残っていない。本能のままに走る獣だ。その挑発に乗る。

アイリーンは高く飛び飛び蹴りのようにナイフに突進する。

身一つでナイフは避ける。もちろんアイリーンもわかっている。追撃をするはずだった。



「お前の負けだ。冷たい水に超高温が落ちたらどうなると思う?」




アイリーンは今を持って着水した。




「水は爆発的に気化をして周囲の物を吹き飛ばす。文字通り爆発してな。

その時起きる現象をこう呼ぶ───────」




─────水蒸気爆発とな





アイリーンが着水した瞬間爆発した。アイリーンもナイフも吹き飛ぶ。地上の街も揺れる程に大きな衝撃となる。

ナイフはずっと足から冷凍魔法を使っていた。魔法陣を使い少しづつ水の温度を下げていたのだ。凍るか凍らないかのスレスレを狙って。

ただ、これは本来の爆発と違い衝撃こそ凄まじいが、それが致命傷になるかと言われると違う。

ナイフの賭けはここからだ─────





「プハ!!」



流れている水から1人が出てくる。アイリーンだ。すこし体が冷めて理性を取り戻した。

周りを見ると誰もいない。ただ後ろに激流があるだけだった。




「私はまた生きのびてしまったのか?」





アイリーンは絶望した。初めて自分を殺せるかもしれない好敵手に出会ったのに─────





「───んなわけねぇだろ?言ったろ?お前の負けだって。なぁアイリーン」





アイリーンは振り返る。その時にはもう遅い。ナイフはアイリーンの目の前に位置して、1本のコンパクトナイフを使いアイリーンの喉を大きく裂いた。




「げポっ!!」




アイリーンは血を口から吹き出して倒れる。勝負ありだ。もうアイリーンに喉を治す力はない。




「フ、フ、なぜお前も、水に入っていたのだ?私の攻撃を交わして、安全な場所に入ればよかったのだ」




「喉笛を裂いたのにまだ生きてんのか。タフだな。

たかんな事したら、またお前は警戒してこのちゃんすもねぇだろが。

てか、お前の質問に答えたんだから、俺の質問にも答えろ。てめぇ加減してたろ」




アイリーンは小さく首を縦に振る。




「当たり前だ。私がユーロ様の友人を殺すはずが無いだろう?お前のおかげか?ユーロ様の笑顔を取り戻してくれたこと感謝する。

じつの娘では無いと言われた時の顔をいまだに悪夢としてみる。

あの時私にもっと力があれば、あの二人は幸せだっただろうに」




「俺じゃねぇよ────」




アイリーンは震えながらナイフの方に首を傾ける。




「最近俺の目を覚ましてくれた奴がいてな。ユーロの笑顔もそいつのお陰だ。

いきなり現れていきなり俺をボコボコにしやがった。全く頭にくるぜ、あんな幼女なのに中身はゴリラと来たもんだからな。

だから安心して眠りな。お前の悩みの種は頭が何とかしてくれる。あばよアイリーン」





「フ、若造が舐めた口を聞く、な。だが悪く、ない。女王のこと、頼んだぞ、ナイフ、いや本名はマリン(・・・)だったが、、、」





アイリーンは最後にそう言って息を引き取った。

その顔はさっきの憤怒など欠片も感じない優しい笑顔だった。

だが正反対の顔をしているナイフがいた。



「はぁ、まだ俺の本名を覚えている奴がいたか。100点越えはキツイよな。

まぁ()はバレてもいいんだが、頭達にバレるめんどいんだよ。全く────」





ナイフはびちょ濡れになった服を脱ぐ。その体は胸に大きな山ができていた。

男として振舞ってきたが、体は誤魔化せないのだ。



ナイフ「本名 マリン」 性別 女性





「うわ!サラシもボロボロじゃん!どうしよ!!」




読んでいただき本当にありがとうございます!



ナイフVSアイリーンは終結です。

いやーナイフが女性ということを書きたくて1話の時からウズウズしてました。




星を増やしてくれるとありがたいです。




面白かったと思ったらブックマーク!




感想やレビューもお待ちしております!




星ももちろん大歓迎!




具体的には☆☆☆☆☆を★★★★★にね。




そうするとロリのやる気が上がります。

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