ナイフVSアイリーン(3)
あらすじ 特になし
(は、はは、笑えねぇよ。どうなってんだ?何故だ?奴のマグマには触れなかった。
つまり、マグマは関係なかったのか?そんなはずは無い。
一体何故────)
その時ナイフは感じる。今までにはなかった感覚。
マグマの熱で感じていなかったが少しづつ空気が冷えている。
原因はもちろん目の前の女だ。ナイフはアイリーンの固有魔法に関して致命的な間違いをしていた。
いや、そう思うしか無かったのだろう。
「どうしたナイフ。そんなに落ち込むな。きちんと届いたさ。
だがお前は勘違いをしている。私の固有魔法はマグマを生み出すものでは無い。触れたものを溶かす能力だ。
それは【空気】も変わらない。酸素も冷やせば液体として溶ける。当然だろ?」
ナイフのザ・レッドは届いていた。だが、1つ前のザ・レッドを使った時の違和感はあった。
マグマに相殺されたとは言っていたが、そう言っても固有魔法だ。少しぐらい傷を与えてもおかしくない。
アイリーンはもうひとつの保険を作っていた。
ナイフは見落としていた。マグマしか、物質しか溶かせないと思い込んでいたのだ。
(───酸素を液体酸素としてバリアにしたってのか?無茶苦茶すぎる。そりゃあ誰もこの国で王に逆らわねぇわけだ。
マグマを封じたところで、冷たいバリアがあるんだもの)
「フフフ、フハハハハ!!!!」
ナイフの絶望を煽るかのように、アイリーンが大声で笑う。
今までの騎士としての顔は失われ、本格的にサディストの裏の顔が出てきていた。
「ん?いや何、いつ見てもその絶望の顔は良いなと思ってな。
人間は進化していく生き物だ。文明としても、生命としてもだ。
だが、心だけは変わらぬ。何時までも弱虫のままだ。
希望の次は何を折る?足か?腕か?それともお前の部下か?」
ナイフは歯軋りをする。己の力の無さにではなく。理不尽すぎる相手の能力にだ。
それを仕方ない。世界だからと、納得出来る程ナイフは大人では無かった。
ザ・レッドを使えるのはあと1回。それ以上使えば本当に腕が使い物にならなくなる。
切り札はあと1枚。それで魔王を倒さなくては行けない。
「ん?やはり、お前の顔どこかで・・・お前もしかして、100点越えの少年か?」
そしてアイリーンが気づくいたのだナイフの正体に。
普通の人間なら100点越えを、ギフトと言うがナイフからすればこれのせいで、全ての平穏な生活を奪われたデバフだった。
「100点越え?何の話だ?」
ナイフはもう誤魔化すしか無かった。
「いや?その態度がそれを証明しているぞ?いやはやでかくなった物だな。
あの時は私も小さい騎士見習いだったがお前の噂は常々聞いていたよ。
お前のせいで、私は親に散々暴力を振るわれていたんだからな!!
個人的な恨みがあったか。投降すれば部下にしてやろうと思っていたが、ここで私のマグマによって水になるがいい!!」
アイリーンのマグマの量が爆発的に増えた。熱波でナイフは吹き飛ばされそうになる。
周りの壁はヒビが入り、周りの水から湯気が出ている。ナイフは目を開けられなれなかった。
(これはまずい! 地下じゃなきゃこんな事には、せめて今地上で降っている雨があればマグマを冷やせるんだが、、雨?水?待てたしか今の季節は、思い出せ! さっきの地図のあの場所を! あそこに行けば! シロには迷惑をかけるかもしれんが、仕方ねぇ!!)
ナイフは後ろに振り向き走る。敵に背を向けて情けない姿を見せようとも走るしか無かった。
逆転の目はそこにしかないのだから────
「どうした?100点越え!! お前の最後はそれか?無様に的に背を向けて走るのか? 情けなくは無いのか! 」
所詮は盗賊か、と思いながらもアイリーンは少し違和感を覚える。先程まで1度も逃げる素振りを見せなかった男がいきなり逃げ始めたのだから。
戦意を失い逃げるのならいい、だがそんなすぐに折れるのならもうとっくに逃げているはずだ。
(逃げている? いや? まさか向かっているのか? 何処に? いや待てあの先には、ユーロ様と別れてる時に渡していたのが地図であれば奴はこの地下の構造を知っている!
不味い!あの先にには【あれ】がある!!)
アイリーンの走る速度が加速する。その対応がナイフの期待を高める。
スプラッタ王国は日本で言う梅雨に値する季節だ。
そしたそれが終われば乾季に移行する。つまり水を貯めておかなければいけないのだ。
ナイフにとって幸運はその場所だけは柔らかい素材出てきていた事。
アイリーンにとって不幸は、その場所が以外にも近かった事。
「その壁だ! ザ・レッド! 」
ナイフは手を振り下ろす、その手から放たれる斬撃は真っ直ぐそして確実にあの場所に向かっていた。
そう、このスプラッタ王国の水を司る【貯水槽】に
「やめろぉぉ!!!!」
アイリーンの声も虚しく、ザ・レッドは貯水槽に直撃した。
そこから出てくるのは大量の水。2人は激流に流され50m以上移動した。上では雨が絶え間なく降っている。つまり水は止まることは無い。
勢いは弱まり、2人は立てる様になる。
だが先程までと違い足元にはせせらぎの川が流れている。
アイリーンはマグマを生み出すがすぐに石になる。
「チッ!」と舌打ちをする。能力が封じられた。
だがそれは相手も同じこと、ナイフはもうザ・レッドを使えない。つまりここからは固有魔法に頼らないガチンコ勝負というものだ。
「100点越えが! この私をここまでイライラさせるとは、丸焼きにしてやろう! 」
「参ったな。水で少しは頭が冷えるかと思っていたが、どうやら元々煮えていたらしい。状況が見えないのか?
お前の負けだ。溶解のアイリーン!!」
2人は自分の武器を持ち、磁石のように引き合い戦いを再開するのだった。
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