盗賊にとっての宝
あらすじ 地下でピンチ
スプラッタ王国 騎士団通称(神滅のアギト)現騎士団長 アイリーン 別名────
(その別名が本当だったらやべぇな。あっちにはアイリーンと部下が1名。数は少ないがまやかしだ。
こいつらが本気になればこの国なんて何時でも滅ぼせるぞ。化け物め!
だが、なぜこんな奴らが女王の懐に?)
「────どうした?口はあるのだろう?こっちが自己紹介したんだ。そっちもするべきでは無いか?
あぁ。それとも、挑戦と受けるべきかな?!!!」
アイリーンの目から殺気が流れ出る。先程まで穏やかな視線が激流となって襲いかかる。
ビリビリと肌を通して伝わる迫力。これが彼女の強さの照明だった。
ナイフは久しく冷や汗をかいた。
(うっわ!まじでやべぇな!勝てる気がしねぇ。どうする?部下を逃げさせたいが、あの別名が本当なら逃げる場所がねぇ。・・・詰みか?)
状況か悪い要因は2つ。
一つ・・・立地が悪すぎる。
この水路は特別製で数年に1度スプラッタ王国では、超巨大な大雨が降る。なのでその激流に耐えられるよにコンクリートより硬いものでできている。
多少の戦闘では傷などひとつもつかない。
だがそれは一般人の話、アイリーンはそんなもの盾にもならない。
二つ・・・アイリーンの後ろにいる人間
さっきから顔も出さない奴がいる。顔は色々な情報がある。
正直に女性か男性かでも結構戦い方が変わるのだ。
骨格からでも察せるが、ブカブカのマントを着ていてほぼ分からない。
分が悪いなんてもんじゃない。相手の作戦勝ちだ。
(頭には悪いがこれは・・・)
「─────久しぶりだね。アイリーン」
「これはユーロ王女様でしたか。いえ、元王女様ですか?何をしているんです?こんな所で家族ごっこですか?」
(─────まず最初にユーロの逆鱗に触れる。これがこの国に住む住人の通過儀礼なのか?ってぐらい煽ってくるな・・・)
ナイフが白い目でで見てると、アイリーンがさらに続ける。
「暇ですね。貴方のことは保護してくださいと女王様は言っていました。大人しく投降して下さい。
しないのなら痛い目を見てもらいます。大丈夫です、右腕と左腕どっちが必要ですか?」
「やる気満々じゃん。引くわ」
(うん、俺も引く)
ナイフはやっぱこの国狂人しか居ねぇな。と思いつつ少し感謝をした。何故って?思いついたからだ。とは言ってもこれは最悪の策だ。盗賊にとって一番大事な宝を捨てる事になる。
それでもこの策を実行する。
「────なぁアイリーンよ、聞きたいことがある」
「盗賊如きに名前を呼び捨てにされるのは、如何せんイラつくがまぁいい。何だ?」
「盗賊にとって1番大切な宝ってなんだと思う?」
「さぁな、プライドか?それとも女か?」
「自分の命だよ!!」
──────ポフン!!!
ナイフは手に持っていた煙玉を地面に2個投げて、煙幕を張る。
地下だからと言うのが幸いか煙は一気に充満してアイリーン達の目を奪う。
「────小癪な」
だがこれはもちろん味方の目を奪う。ユーロはいきなり煙幕が現れて前も後ろも分からない。
だが、ガン!!と顔に何かが当たる。
「痛い!!何!?」
ユーロがそれを持つと、ここから王城への地図だった。
「ユーロ行け!!部下を連れて王城を目指せ!城には頭がいる。そこまで走るんだ!!この煙幕がいつまで続くかわからん!!」
「・・・良いの?」
「うるせぇ、さっさと行け」
ユーロは一つコクンと頷いて部下を連れ、地下を脱出した。
だがそんな事をさせるような敵では無い。
「────させると思いますか?ユーロ様」
「!!??」
さっきまで遥か遠くに居たアイリーンがいつの間にか目の前に居た。
もう剣は手に握られている。やる気満々だ。
「右腕でいいでしょう。切れた理由は・・・まぁ、なんかあったでなんとかなるでしょうし」
アイリーンの剣がユーロの肩目掛けて振り下ろされる。絶体絶命だ。
だが、まだ運命の女神は彼女を見捨てないらしい。
「ユーロ!!行け!!!」
ナイフがユーロの目の前で立ち塞がる。背中を押してユーロは地下を出ることが出来た。
顔の見えない奴が後を追うために走るが─────
「貴方の相手は私です!!!」
それをシロが阻止した。彼女もナイフと同じく地下に残ったのだ。
「いいのか?地上の方がまだ生き残れるかも知れないぞ?」
「あなたがそれを言います?」
フフっと笑いとナイフは目線をアイリーンに戻す。
状況は一変した。今地下にいるのはアイリーンとよく分からないやつが1人。
こちら側はナイフとシロの2人体勢だ。もう勝負がどちらに行くかは分からない。
(さっきは部下を巻き込んでしまうから出来なかったが、これなら─────)
「拙い。これなら倒せるとでも思いました?まだ、盗賊全員で特攻して来てくれれば楽だったのですが。
随分とプライドがないんですね?」
「あ?言ったろ?盗賊にとって1番大切な宝は自分の命だ。死にたくねぇからお前を殺す。それだけの事だ」
アイリーンの手に力が入る。そのまま剣を地面に突き刺した。
少しづつ、少しづつ地面が溶けていく。【ボシュー!】と湯気を出しながら。
酸で溶かしているのではい、純粋な温度で状態変化を起こしている。
「いい加減にしろ。盗賊風情が。固有魔法を使えるからと天狗になっているようだが、貴様のような奴はこの広い世界にごまんといる。
固有魔法にも優劣がある。貴様のよく切れる包丁がいかに矮小なのかを教えてやろう。身の程知らずだったと体に刻み込ませてやる」
────地面が熔けていく。マグマとなって赤くなっていく。水路にあった水も蒸発を始めている。
その剣の名は【イフリート】かつて炎で世界の半分を焼いたと言われている龍の骨から作った剣である。
その温度の高さとあらゆるものを溶かし、蹂躙していく姿から彼女はいつの前にか別名で呼ばれるようになっていた。
(うわマジか。固有魔法の規模が違う。才能の差ってやつかな?それにその姿この名にピッタリだよ。
現騎士団長 アイリーン 別名─────)
「さぁ、始めようか!蹂躙を!!もう名は聞かん!その醜悪なる体を溶かして清めるがいい!!」
「────溶解のアイリーン。このスプラッタ王国最強の騎士である」
読んでいただき本当にありがとうございます!
溶解ってかっこいいよね。1度書いてみたかった。
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