雨の日
あらすじ 錆びたk、ゴホンゴホン、フォールアウトを手に入れた!!
今日は晴れの日だ。鳥も鳴いて、風がおはようと耳元を通り抜けていく。
スプラッタ王国でも平和な時間が続く。あの化け物に殺されるのは夜の時間なので、昼は比較的平和なのだ。
今日も人々は自分の仕事をこなしている。
1人の子供が家から出てくる。朝ということでポストを開き郵便物を確認する。
今、この国では手紙が流行っており、この子供も少し離れた所に住んでいる親友と手紙を交換している。
─────ポストを開けた。
中に親友の手紙は入っていなかった。ただ代わりのものが一つだけ。
「ママ!パパ!なんか入ってた!王様からだって!」
コーヒーを飲んでいた父が固まる。遅れて母がそこの机に置いておいてと、娘に指示をして娘はその机の椅子に座った。父の反対側だ。
ちょうど朝ごはんを食べようとしている時だった。
王からの小包だ。開けない訳には行かない。
ただこの夫婦には開けるには少し躊躇う理由があった。
父は椅子から立ち上がり母の元へ向かう──────
「大丈夫なのか?俺達がこの国から逃亡しようとしているのがバレたのか?」
「いえ、誰にも言っていないので大丈夫だと思います。手伝ってくれた組織にも十分なお金を渡しましたし」
少し討論した後、
夫婦は考えすぎという結論に至り、笑顔を取り戻す。
子供はキラキラをした目をして小包を見ている。
考えすぎだからこそ、早めに空けてホッとしたい。そう思い、父と母は机に集合した。
「開けるぞ?」
─────父は唾を飲む。国がどこかで情報を嗅ぎ付けて始末しに来たのではないか?とその不安が心の隅に染み付いている。
だが、仕方が無いのだ。このまま、この国にいれば1年後3人が生きている確率は無いに乏しい。
もう家族の内3人が死んでいるのだから。
ええい!ままよ!!と父は目を閉じて箱を開ける。何も無かった。開けた時のトラップなどは。それどころか甘い香りが鼻をくすぶる。
父が恐る恐る目を開けると─────
「うわぁ!ケーキだァ!!!」
娘が喜んでいる。中に入っていたのはケーキ。しかもロウソクの火がついたままの術式が付いた特別性。
父は身体中から汗が出る。焦りからではなく、苦しみからの解放のため。
逃亡しようとしている者共にケーキ、しかも術式を付けた高いものなど送らないはずだ。
父は汗を拭う。母もそれを見てキッチンに戻る。
「ねぇ!パパ!ロウソクの火消していい?」
「あぁいいよ」
子供にとって、ロウソクの火を消すのはとても楽しい行為だ。火が消えるのが面白いのだ。
子供は思いっきり息を吸って、口から風をおくりロウソクの火を消す──────
【ピッ!】
『ドガァァン!!!』
その音と共にケーキが爆発した。轟音がなり、衝撃が3人を襲う。即死だった。
そしてその爆発は家をも吹き飛ばし、他の家にも被害を与える。
「な!なんだ!?家がいきなり爆発したぞ!!!」
「に!逃げろ!!ガラスが降ってくるぞぉぉ!!!」
住民たちは悲鳴をあげて逃げ惑う。この日の事は住民から王宮に告げられて、正式に魔法の暴発と結論づけられた。
まぁ勿論そんな事は無い。爆発したのは魔法では無くケーキなのだから。
だがそれを知っているのは、王宮の中でも2人だけ。
「マクリール様、逃亡しようとしていたヤツらを排除しました」
「ご苦労さま。今日の家には彼等にしましょう。食べれる場所があるといいんだけどね?アイリーン」
今日の王室は静かだった。いるのは王女と騎士団長のふたりだけ。
騎士団長の名前はアイリーン・バスタード
そして騎士団長は片膝をつき、王女に忠誠を誓っていた。今彼女は責められている。弁明が必要だ。
「申し訳ありません、術式の爆発が思いのほか大きく、他の家にも被害を──────」
「あぁ、他の家の被害とかはどうでもいいです。どうせ、いらないもので作った穀潰し共なんですから。
それよりも今回の食事であの方が満足されなかったらどうするつもりですか?」
アイリーンの顔は暗かった。ピンクの髪でポニーテールで纏めており、現代風の服を着ている。
鎧を着ていないのは彼女の戦闘スタイルでは邪魔だからだ。
ここからは少し思考が必要だ。少し回答を間違えれば死ぬ事になる。
だが先に話したのはマクリールだった。
「どうしたの?黙っちゃって。では質問を変えましょうか?もし満足されなかったら、あなたの親しい人の誰を渡しますか?」
これは選択だった。マクリールは分かっている。あの焦げている死体では満足しないと。
だがら切り捨てろと言っているのだ。自分で無く、他の命を自ら捧げろと。
もちろんケーキはマクリールが用意したもの。術式も彼女のもの。つまり本来の責任は彼女にある。
だがそれを追求するほどアイリーンも馬鹿ではない。
「マクリール様。少しお時間をください、あの方に渡すにしても礼儀を教えなくては行けないので」
(真面目すぎてからかいがいが無いなコイツ)
「それはそうね。1日時間を与えましょう。それまでに考えなさい。私を待たせないようにね?良いわね?」
はい、とアイリーンは深くお辞儀をしたあと部屋を出ていく。マクリールはそれを見送り外を見る。
外は異様に暗くなっており、雨が降る兆候だった。
いや、兆候ではない。もう既に降っているのだから。
その雨は大雨となり、人々を家に入らせた。
直ぐに路地も雨で水浸しになり、無人となってしまった。
──────そんな路地を1人走っている人物がいる。顔はマントで隠れており見ることは無い。住人達は窓を締切っており、見るものは一人もいない。
そしてその人物は辺りを見渡し、マンホールから地下に入る。
そのまま慣れた手つきで下の降りて、誰もいないことを確認して、そのまま歩く。
ある場所で止まる。そこは地下の中でも比較的大きい部屋だった。
魔法 『念話』
そう呟き誰かと会話している。少しづつこの国の歯車は動き出している。無くなっていたピースが埋まり、本来の美しさを取り戻そうとしているのだ。
「こちら、ポイントΔ《デルタ》として良い場所を見つけました。はい、はい、そうです地下ですね。はい、ではお待ちしてます。ナイフさん」
国盗りが始まる。
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