空は青色だ
あらすじ。特にない。
クスノキとユーロの剣が交わる。その衝撃は壁を揺らし、天井を揺らし、そして、上の家を揺らす。
「おや、盛り上がってますね。私も行動するとしますか」
1人紅茶を飲んでいたアップルがそこにいた。椅子に深く座り、子供のように足2本でプラプラしていた。
「ただこの戦闘は予定には無かったはず、アドリブ?いや。何かあったのでしょうか?」
【──コンコン】
ドアが鳴る。アップルが入れという前にそいつは部屋に入った。メイドの服を着た。ただの小さい女性が。
「アップル様、紅茶をお運びしました」
「申し訳ありません、私は自分で入れてしまいました。その紅茶はあなたがお飲みください」
メイドはため息を着く。少しだけ聞こえないように。それは失望のため息ではなく。決行のため息だった。
「では砂糖は?まぁ、砂糖と言うには硬いかもしれませんが」
メイドのクレープはナイフをアップルに向かって投げる。アップルはそれを顔を少し動かして交し、向こうの壁にナイフが刺さる。
「どういうおつもりですか?クレープ」
「今でも私をメイドと思ってる?だとしたら笑うね。あたしは──────」
「死の森の盗賊No.2ですよね。本名フォーク」
クレープは目を開く。自分が名乗る前に言うことを全部言われたのだ。わかっていた。自分が刺客だと言うこと。それでいて、自分を泳がせていたのだ。
「なぜ分かっていたのに、何も言わなかった?追放なんて簡単だったはずだろうに」
「別に特に理由は。この家が怨まれていてるのは、重々承知しています。ただ誰からの刺客か知りたかったからとでも言いましょうか。
それで?誰からの刺客なんですか?」
「言うと思うか?」
クレープが、不敵に笑う。余裕を見せている。余裕なんて無いはずなのに。
「でしょうね。まぁいいです。大方検討はつきますし。
さて無駄話はここまでで、ここに来たということは、私の本性も知っているのでしょう?おや?あの男は居ないのですか?知り合いのはずでは?」
クレープはナイフを置いてきた。騙して部屋に入れ鍵をかけた。たとえ開けてもすぐには出られないよう突っ張り棒をつけて。
これは自分の戦いだ。ストロベリーやライムを守れなかった。自分の報いだ。たとえ相打ちになっても──
「───お前を殺す。それが私の最後の仕事だ」
「愚かですね。全く愚かだ。この部屋に入った時点で勝負はついていると言うのに。」
アップルが軽く足を鳴らす。その瞬間床の魔法陣が作動する。
────するはずだった。
【バキィン!】
その魔法陣は粉々に砕け散る。これがクレープの余裕に繋がっている。
「無策で来ると思うか?アップル。お前の負けだ」
クレープは自身の仕事道具を出しそのまま突進する。今までの憤怒を乗せて。
そこで初めてアップルは剣を持った。ただ鞘からは抜かない。まだ、抜くべき時では無いからだ。
「面倒ですね。全く運命というものは」
ここでも、2人の戦闘が始まっている。
「このさっさと死ね!クソチビが!!」
「貴方に言われたくありません」
やっている事は喧嘩しながら悪口を言っているだけ。子供のような喧嘩だ。ただ、使っているのはチャンバラではなく真剣だ。
交わる度に金属音が鳴る。火花が飛び散る。叫びが出る。
ダンスのように、2人の舞はスピードをましていく。
「────なぁ、お前さ。なんで空が青色だと思う?」
戦闘中にも関わらずユーロが話しかけくる。
「は?何ですか?理論的なことを聞いています?」
この間にも2人は殺しあっている。だが会話はまるで、お茶会のようだ。
「違う違う。理論ではなく理性の話だ。現実ではなく幻想の話だ。なぜ空が青色でなくてはダメだと思う?」
(何を言っているんだ?こいつは?)とクスノキは思う。当然だ。
聞いているのは普通の会話。しかも親と子のような純粋な会話だ。
クスノキは返す必要は無いと思いながらも、問いに答える。答えなければいけない気がした。
「青色でなくては行けない理由ですか。とく理由は無いのでは?
てか、そんな事にいちいち理由をつけていたら、生きにくいですよ?」
「お前本当に子供か?大人びた思考だな。まぁいい。俺の答えは、青色の理由は上を見せるためだ」
「・・・・・・何に?」
「何でもだ。万物、生物。全てにおいて、上を見させるために空は青色だ。
上を見て、また頑張ろうと思わせてくれるとても良い理由だと思う。」
(自画自賛かよ)とクスノキは思うが口に出す前に、ユーロが続ける。
「じゃあ、もしこの娘が最低最悪の嘘つきだったらどうする?人を騙し続けるクズだとしたらどう思う?」
「・・・・だから、そんなの貴方の幻想─────」
クスノキは少し思考を庇う。
「いや!!!そんなことは無いはずだ。お前も思っているだろう?死の森で?この娘と?偶然にも出会う?そんなおとぎ話があると思うか!?お前らは嵌められたんだよ!この屋敷での出来事は全てこの娘の計画だ!」
もちろんそんなことは無い。全てはこれの戯言だ。だが、それでも、少しの疑念が生まれればそこから信頼は瓦解していく。例え友達だとしても。
「はぁ、ですから?────」
まぁ、疑念が生まれればの話だが。
「は?え?き!聞こえなかったのか!?全てはこの娘の計画だと言っているだ!許せるのか!?」
予想外の返答にそれも少し動揺した。
「まぁ、仕方ないんじゃないですか?そもそも彼女そんな性格じゃないんだし。パリピなんて皮の外だけですから。中身なんてどす黒い腹を持っている汚い女ですよ」
(クスッチ、、言い過ぎ)
それの中でユーロが落ち込んでいる。だが、それでもクスノキは止めない。
「それに、彼女はいつもグダグダして、すぐにサボって、全く恥ずかしいですよ。ホワイトベアーの時も直ぐに捕まって?私たちに助けられて?恥ずかしくないんですか?
この屋敷でもトリックは甘いですし、それに───」
「い!い!すぎだーーー!!!!クスッチ!怒ったぞ!!!!」
いきなりユーロの人格が入れ替わる。それは先程まで剣を振っていた、愉快犯ではなく、純粋でテンションの高いユーロだった。
「貴様!どうやって表に!!くそ!沈まれぃ!!」
クスノキはただ適当に悪口を言っていたのではない。確認したのだ。ユーロがまだ生きていると。
という事はなく、ただ普通に悪口を言っていたのだが。まぁ、【終わり良ければ全てよし】クスノキが1番好きな言葉だ。
「生きていましたね?であればやる気も出てきます。そろそろ終わらせましょうか?まずはあなたをその体から出します。
貴方がそこに住むには家賃が高すぎますよ?」
「やってみろ!小娘が!!!」
(遅い!アップルは何をしているのだ!!早くこちらに救援を!!)
残念だが、その願いが届くことは無い。それは2人によって阻まれている。いや、今はもう1人だが。
「遅かったですね。ナイフさん」
扉の先にナイフがいる。ドアノブを開けて中に入る。そこには床、壁、天井に至るまで血がこびり付いていた。
その部屋で立っているのはナイフとアップル。そして倒れているのは、もう動かない、人形のような女が1人。
「クレープはとても良い腕前でした。ですが相手が悪かったですね。私ではなければ勝っていたでしょう」
ナイフの目線の先には、既に命のないクレープがそこに居た。腹を刺されて、血を吹き出しながら。
ナイフはそれを見て、歯ぎしりする。
「俺達は盗賊だ。仲間の死なんて日常だ。ただな。その夢を引き継ぐのも俺達盗賊なんだよ!!」
「夢とは?辺境に行って農園でも開きます?」
「お前を殺す事だ」
「なるほど分かりやすい。」
こうして、上の屋敷でも、戦闘が始まった。
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