天才と化け物は紙一重
あらすじ 屋敷編が長い。
主観 最初ナイフ 後クスノキ
───死ね
それが親から言われた最初の言葉だった。どうやら俺は望まれて生まれた訳では無いらしい。つまり邪魔者だ。なのに、どうしてか完成品よりも性能が良かった。
俺には2人の兄がいる。まぁ、ほぼ変わらないんだが、それでも兄は兄だった。
尊敬している。と言えば嘘になる。
卑下している。と言えば首を振る。
正味どうでもよかった。兄が優れていようが、自分が劣っていようが、ただ生きれればよかった。
末っ子として生まれた俺は意外とでかい家に住んでいた。
豪邸と言われるとうーん?となってしまうが庭もあり、大きい自分だけの部屋がある。まぁ、生きる上で苦労はしなさそうだった。
親も俺を汚点だと思っていたらしく、表に出るな。家から出るな。と言われていて好都合。
たが、運命の歯車は俺を強制的に巻き込んでいく。
「ま、魔力値+が54、-が64 100点越えです」
世の中の言葉で言うと、俺は天才だったらしい。魔力が100を越えていた。
魔力は+と-で出来ている。
一般的にそのふたつを合わせて100が理想値だ。それ以上は成長しない。100という壁があるからだ。
ただ俺にはそれが無い。100を越してしまっている。つまり、魔力の成長が永遠と起こる。
100年に一度と言われている100越えの化け物がまさかの俺だった。
「────ふざけんなよ」
それが俺の本音だった。
そこから何が始まったと思う?体罰だ。
「てめぇ!出来損ないのくせに!なんの裏技使いやがった!!」
「言え!邪魔なんだよ!!一族の汚点が!!」
死ぬほど罵声と暴力を兄2人から与えられた。いらない。過剰な物は例え良いものでも害悪となる。それが最初から害悪なら尚更だ。
兄は2人とも魔力値合計100。普通に見て優秀だった。目の前に化け物がいなければ。
俺の運命の歯車は少しづつ回り始めた。回らなくていいのに大きいギギギギと、音を鳴らして世界を巻き込んでいく。
100年二一度ということで祭り上げられ王城に来た。横を見ても前を見ても貴族ばっかり。
「こんな子が?機械の間違いでは?」
「シッ!聴こえるぞ!」
聞こえてるっつーの。目が嫌だ。みんな品定めをしている。そんなにいいか?このいわく付きの物件が、魂を入れ替えられるのなら、変えてやりたいよ。
「貴方が、天才児■■■てすか?」
また来たよ。もういいって、何がそんなにいいんだ?そんなに媚びを売りたいか?俺はすぐに振り向いた。そこで俺の手は止まる。目の前にいたのは、目を潰れる程の光だからだ。そう思わせるほど純粋だったからだ。
「あぁ!私ったら!挨拶をする時は自分から挨拶でしたね。私の名はユーロ。このスプラッタ王国の第3王女です。よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
何も言えなかった。それ以外。俺よりも魔力は優れていないのに、女なのに。それでも自分では勝てないと、思わせる程のカリスマだった。
いやー初めて見たね。本物の化け物ってのを。
そして、この日の夜から俺の人生は本格的に狂いだした。
「この!バカ息子が!!王女と会ったんだから!もっとアピールをするべきだった!!そうすれば俺がこの国の実権を握れていたかもしれないのに!!使えないクズが!!」
父は大変お怒りだった。そりゃそのはず、自分の秘密兵器の天才児が王宮に行って、何も収穫なしに帰ってきたのだから。
足で蹴られて、顔を持ち上げられ、叩きつけられた。
そんな事をされていたうちに俺は────
「はぁ、はぁ、えっ?父上?」
─────父を殺していた。
何故?と言われると分からない。いつの間にか父を殺していた。手に残っているのは暖かい血の残り香だけ。
父は顔面ボコボコの体には切り傷が多くある。床には血塗れのハサミが2つ。名前を言われた。ナイフとその時自分の名前を初めて知った。
ここで良い点と悪い点が1個づつ生まれた。
悪い事は、もう表では生きていけないこと。俺は少しだけ後悔の念に襲われた。ここでの暮らしは悪くなかった。ベットがあり、暖かい食事があり、とても環境が良かった。それを手放さければいけないのかと思った。
良い点は──────
「まぁ、やってしまったものは仕方ない。ついでに家族全員殺るか」
─────俺が意外とポジティブだったこと。
人を殺しては行けない。何故か?当たり前のことだから?違う。
人を殺してしまえば、もうストッパーが効かないからだ。1度やればもう、良心なんか存在しない殺し続けるのだ。
俺はその気持ちのまま、兄2人と、母とメイド達全員を殺した。
そのまま流れ着くように死の森に逃げた。そしてそのまま盗賊をやりだし、法でさえ捌けない存在になった。
後悔しているか?と言われれば後悔していない。
才能のあるやつが闇落ちなんてよくある事だろ?
長い事盗賊をやっていて、なんか変なやつらがこの森に来た。小さい子供と狼と顔が見えないやつ。
ここからが俺の!新時代だぁぁああなにこいつ!!
何だこのクソチビ!クソ強ぇ!てかあの狼シルバーウルフだろ!?なんでいるの!?襲う前は何かよく分からなかったが。
えええぇ!!何その光!?仲間達が!全員良い奴に!?俺は?いや俺は変わってねぇな?
─────はいここ注目ポイント。実は俺は改心していません。浄化効きませんでした。
じゃあなんで一緒にいるのって?あんな化け物を見て逆らえる!?
拠点一撃よ!?剣の一振で!魔法とかならわかるけどさ!たった一撃!プライドも粉々になりますわ。
決め手になったのはテンペスト一撃だった時だね。
(あっ!この人逆らっちゃいけない人だ!)
って、改めて思ったね。まぁ、諦めた訳では無いよ?2%ぐらい、反骨精神はあります。
───という事で主観を頭にお返ししまーす。
*
ストロベリーの部屋か。随分と散らかっているな。前見た時はもうちょい整理されていた気がしたが。
クレープにお願いしてみよう。このタンスを開けて欲しいと。
「変態」
まだ、理由言ってないんだよ。このタンスに秘密の鍵が眠っているかもしれないから開けてくれってお願いしようとしたの!
「変態」
てめぇ!何を言ってそう返すつもりだったろ!!
「まぁいいわ。私も気になっていたの。ストロベリーは意地でもこのタンスの中は見せてくれなかったから。少し待ってなさい。鍵が空いてないからピッキングするわ」
針金を出した。針金でやる奴いるんだ。少し暇か。ナイフと話そう。
「ナイフ。貴方はいつユーロが犯人だと分かったんですか?」
「最初に気づいたのは、この屋敷から居なくなった時ですね。最初はサボってるのかと思っていましたがね。貴方には言い忘れていましたが、この依頼はユーロさんが持ってきたんです。そこが違和感の始まりでしたね」
「頭が良いんですね」
「何、頭ほどじゃありませんよ」
は?俺の頭の何処が────
「頭があの時、クレープを問い詰めた時。俺は後ろから見ていましたがあれには驚きました。ああやって大声で言うことで、ユーロさんの余裕を誘ったんですよね?だから俺もスムーズに動くことが出来た。流石ですよ」
・・・・・・何を言っているんだ?こいつは?俺がそんな意図があると思ってんの?ねぇわ。一挙一動に意味がある訳ねぇだろ?あれほんとに犯人だと思ってたし。てか、黒歴史だから、掘り下げるな。
「他にも──────」
あぁやめろ!!
「────アンタ達!無駄話はそこまで!開いたわよ」
クレープが話題を水に流してくれた。ナイス!!ナイフは渋々な顔してるけど気にしない。一生してろ。
さーて中身は?え?
「これは?」
あれだよね?ナイフ
「これが隠したかったもの?」
そう思う?クレープ?
タンスの中には一つだけの何の変哲もない日記が入っていた。
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