ダストボックス第2層攻略作戦(終1)~退場者~
誤算だった。これから起こる戦いの全てが誤算。
例えばだ。
【相手がバットで殴りかかってくると思ったら、拳で殴ってきた】
これは誤算ではない。答えを間違えた訳ではなく、途中式を間違えた。
ではこれを誤算に変換すると?
【相手がバットで殴りかかってくると思ったら、相手がバット本体だった】
今回の戦いは、そんな感じ…要は、急がば回れって奴だっただけ。
話を戻そう。
今回俺たちが挑んだのは、第2層エリアボス。
マーキュリー曰く、「それほど難しくない」との事。まぁ第2層だしそんなもんだろ。あと6層もあるんだから。ここで負けてたら…ね。
そう思ってたんだけど…。
「無理無理無理!!」
うぉ! 今頭かすったぞ! 何が「あのボスは雑魚だから、大丈夫ですよw」だ。マーキュリーが1番逃げてるじゃねぇか!
「マーキュリー話と違いますよ!? 雑魚じゃないんですか!? この魚!」
「…あれー? 稚魚だったはずなんですが…おかしいなー?」
ボスの特徴を一言でいえば、巨大魚。ピラニアを東京タワーぐらいデカくした…のサイズ。
だが、性能がピラニアであれば、倒すのにそこまで支障はない。
問題はその【鱗】と【移動性能】だ。
まず鱗。
なぜか、こちらの攻撃を全部弾きます!
当たり前のようにバリアをしないでくれませんかね? インフレが起こるにしても早すぎる!
しかもあの鱗、特殊な性質か知らんが、【地面を泳げる】というとんでも機能付き。お陰で、攻撃は当たらないし、当たっても弾かれるのコンボだ。
そして移動性能。
これについてはシンプル! 早すぎる。動きが。
物理法則って知ってるか? 大きいものは、重力や、空気抵抗で、遅くなるんだよ。
なのにこの魚と来たら、大きいのに普通の回遊魚と同じぐらい、早い。
では体重が軽いのか? という疑問は打ち砕かれ、尾びれのしっぽの振りは、受け止めれば腕がずっと痺れる衝撃。
つまり、こいつは第2層で戦うような奴じゃねぇだろぉぉぉ!
フィールドは、ただ白い空間。身を隠す場所も無ければ、壁には足場もないシンプルだ。
だからこそ、やつの機動力が顕著に出るんだがね!
まぁ、やるしか無い。攻略してみますか!
【第2層エリアボス
「界遊魚ピラニア・キメラシャーク」】
「ハヤサカそっちに行きました!」
「わかってる!」
そしてこの魚は頭がいい。三人まとめてでは無く、ちりじりにして、各個撃破が楽だとわかっている。
本当に魚か? と疑ってしまうレベルの個体だ。
さてどうする? ハヤサカが食われてしまうな。このままでは…いや、食われても吐き出してくれるかも? オエッて。
今ハヤサカが必死に口の牙を避けている。…あと五分ぐらい何とかなりそうだな。
マーキュリーは…
「稚魚のはずでしたけどねー?」
あーだめだ。あいつ過去の失敗を脳内でドキュメンタリーにして、勝手に頭の中で放送して、勝手に悲劇のヒロインぶるタイプのやつだ。
あぁいうのは、「過去から学ぶ」とか言っておきながら、それを生かす本番で全く動けない。
何故なら、ドキュメンタリーにする時に、脳内で補正をかけるからだ。フィルターを閉じろってんだ。
「聞こえてますからね!」
あっ、やべ。心の中が見えるんだっけ?
じゃあ仕方ない。それを壊す程の衝撃を見せてあげますか!
さぁ行くぞ、プロメテウス!!
「白刀法! イザナギ!」
ただの抜剣。居合切りと言うのかね?
シンプルながら、その速度は音速を超え、剣の先からソニックブームが巻き起こる。
それは、魚など意図も容易く切り裂くかまいたちとなり、一刀両断した。
空中を飛び上がっていた魚は、そのまま半分になり、瞳孔は広がり、心音は停止し敗北となる。
――はずだった。
「意外とあっけないものでしたね」
「えぇ。稚魚のはずでしたが、それでも余裕に勝てたのなら良かったです」
「…まだ言ってるんですか? ハヤサカあなたも何か言ってあげて――あれ?」
横を見るとマーキュリー。
だが、1番の暴れん坊であるハヤサカが何故か居ない。
先程まで戦っていたはずの、仲間が一人消えた。衝撃はそれだけではない。その後の放送が俺たちの目を丸くする。
【ハヤサカ エリアボスにより敗北。残り二人です。頑張って下さい】
戦いはまだ終わっていなかった。
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