ダストボックス第1層攻略作戦(1)
8層ある刑務所の一つ一つにいる看守長こと「エリアボス」。それは、マーキュリー曰く【強い】との事。実際、彼女がどんな戦い方をするのか分からないが、負けているという事実がある。であれば――
(固有魔法を使えば、勝てる確率は高いだろう…だが99%勝てるとしても、残り1%を残したくない。ゲームじゃ99%はちょっと信用出来ないからな)
その為にも、ここの囚人達と仲良くなって一緒にエリアボスの討伐に赴きたい。まずはその第1歩だ。
対面にいる牢の人に話しかけてみよう!!
「すいませーん!」
「あぁ!? うっせぇぞコノヤロウ!」
……コワイ。
【ダストボックス 22時】
刑務所内での初コンタクト。……大失敗でした。さてとどうしようかね? 声的に、人が嫌いと言うよりかは――
「寝る時間だぞ! てめぇ、何大声で叫んでんだ! あぁ!? 明日の刑務に支障きたすつもりか!?」
うるさい。どちらと言えばそちらの方がうるさくねぇか? ほら、
「うるせぇぞ! ハヤカサ! 癇癪を起こしてんじゃねぇよ!」
「はぁ!? 他の牢の奴は黙ってろ! 新人の教育中だァ!」
あーあ、大変だ。至る所から折を殴る音と、大声の騒音か耳に響く。テンションが上がった二次会みたいなテンションだ。
おーいどうすんだ、この混乱。俺のせいかー? みんな目が血走っている声だ。ドーピングしてんのか? こいつら。
「話すだけ無駄ですよ。とりあえず、落ち着くまでそっとしておきましょう。それと、次の交渉は……私がやります」
「……あ、はい。すいませんした」
少し、マーキュリーが怖いと終わった今日この頃であった。
【1時間後】
流石に落ち着いた。てか、全員が大騒ぎに飽きて寝だしだ頃、そーっと前の牢を覗いてみる。せめて寝ている顔だけでも見ておきたい……んだが。
「てめぇ、まだ寝てねぇのか? 新入りといえど、刑務に容赦はねぇぞ?」
まぁ起きてますよね。そのドスの効いた声から、ベテランという事は分かるが、第1層と言うのが、少しダサい気もする。だが、この態度じゃ交渉は無理そう――
「クスノキ、私がやりましょう。お久しぶりですですねハヤカサ」
マーキュリーの声に、向かいの牢のドスの効いた声から、おおらかな笑い声が部屋全体に響き渡る。
「……まて、待て待て待て、その声! マーキュリーかてめぇ!? 帰ってきたか! 1度脱獄したのに馬鹿なヘマしてでもしたか!?」
「別に? ただ、少し事情があって、帰ってきただけです。話を聞きますか?」
「…………いいぜ。てめぇの顔に免じて、話だけは聞いてやるよ。全員寝静まった頃だろうからよ」
どうやら、事前交渉は成立したらしい。随分と、面倒くさそうなやつが向かいに来てしまったらしい。
……あっ、思い出した。なんか雰囲気似てると思ったら、モルトか。懐かしいー。元気にしてっかな。あいつ。
◆◆◆◆
「それで? 何しに来た? マーキュリー」
「目的は第8層に降りる為です」
誰もが寝静まった夜、死神ですら瞼を閉じる真夜中。二人だけの会話が繰り広げられる。
男は、慎重に考えながら発言し、女はそれを知っているからこそ余裕を持って対応する。
「……第8層……か。随分とユーモアな思考をしているらしい。脱獄してきたやつが捕まって、さらにその理由が「脱獄したいから」だと? 頭がボケたか? てめぇ」
「事情が変わったんですよ、それに私達は脱獄する為に第8層に行く訳じゃありません。第8層にいる仲間を助けるためです」
話し合いが続いていく。そして俺は飽きていく。第8層に行けばハクアを救えると思っていたが、意外とめんどくさいのか? もしかして。
「なので、ハヤカサ――」
「んだよ」
「貴方も、第8層に来て下さい」
「は?」
は? え? 嘘でしょ? 第1の仲間こいつ? マーキュリーさん。確かに第1村人は大切だけど、こいつはちょっと――
「クスノキもいいですよね?」
え?俺?
「いや、えぇーと。まぁ……うん」
「なんだガキ、てめぇ不満か?」
なんかいきなりメンチ切られたんだけど。嫌なんだよね、仲悪くした所で意味無いのに、優劣つけたがるやつ。
「だって貴方、仲間になったら「俺様が最強だ!」とか言って、物理無効の魔獣に素手ていくタイプでしょ?」
「なんでそんな具体的な拒絶反応なんだよ!! もうちょい落ちついてるわ! それに――」
「大丈夫です。クスノキ、彼の力は私が保証します」
「てめぇら、話聞けやコラ!!!」
音がない刑務所に、ひとつの怒号が隅々まで響き渡り、我慢の限界を超えた奴らが「うるせぇ!」って続々と起きてきたのは……言うまでも無い。そしてそれは朝まで続いたという。
「眠れませんでしたね。クスノキ」
「誰のせいだと!?」
【最初の子分……ハヤカサを手に入れた。テレレレッテテーン!】
読んでいただき本当にありがとうございます!
星を増やしてくれるとありがたいです。
面白かったと思ったらブックマーク!
感想やレビューもお待ちしております!
星ももちろん大歓迎!
具体的には広告下の☆☆☆☆☆を★★★★★にね。
そうするとロリのやる気が上がります。




