夕焼けゾーン
【始まりの100年】
「…殺風景だな。本当に」
ある者は言った。世界は終わるには100年は長すぎると。全盛期のアリスやサタン。その他化け物共が、跋扈する世界。
例えば、隕石が落ちたとしよう。その時、ある程度の文明が亡びる。そしてそれが起きた。どうなったと思う?
――隕石は、星に直撃する前に、粉砕されたんだ。イカれてるよ。だってそうだろ? 災害と言われる、星の怒りでさえ吹き飛ばされるんだから。
「――そう思わない? 妹ちゃん」
「……」
ブレインの地下深く。刑務所の最下層。
牢に繋がれている女性と、それを見る男一人づつ。
1人は、ボロボロの服で息もたえたえ。一人は、スーツを着ている余裕そうな人間だ。
「――電王」
男の正体は、このブレインでの最高権力者。
「はは、君に名前を言われると、照れちゃうね。そういえばさ、君のお姉ちゃん。ブレインに来ているんだってね。データにして君の脳内に送ってあげようか?」
その瞬間、女は牢に向かって蹴りあげる。ここは現実では無い。不可能は不可能だ。この檻に脱出不可能というデータがある以上、どんな事をしようと壊れることは無い。
だがそれでも、彼女は何度も檻を蹴りあげる。
「おー、怖。狂犬だねー。流石アリスを復活させたこの世の敵! やる事なす事、全部破壊しなきゃ気が済まないのかね?」
彼女は、ガラスの破片のようや視線で電王を睨む。
「……姉に手を出してみろ。お前の喉元を引きちぎってやる」
電王は、それを鼻で笑って躱す。
「…女の子がそういうことを、言うもんじゃないよ。まぁ、楽しみにしているよ。処刑のその日まで、君の威勢がもつかどうかをね」
電王がワープした時、彼女の頭がぐわんと垂れる。どうやら、力が抜けた様だ。
血が滴る。拷問でも口を割らなかった。【アリスの復活方法】という難題。それを知っている可能性がある当人こそ、1番知らない問題だ。
だからこそ、彼女はある秘密を守り通す。それは、アリスと夢で会った時の会話。ある契約、それを――
「……お姉ちゃん。なんで来ちゃったの?」
――彼女が口にできるのは、たった一人だけ。
◇◇◇◇
「へぇ、これが入国証ですか」
「あぁ軽いだろ?」
俺達は、朝起きて入国証を取得した。
持った感じマジでスマホ。ただ、スマホと違ってボタンがなかったり、空中に文字が現れたりなど、スマホの完成系みたいな感じだった。
因みに俺のは、黒色。
ハクアが白。
一緒に同行して、入国証をくれたアクセサ曰く、どうやら、計画に乗るにしても、乗らないにしても、これを持って無いと後々苦労するという事だ。
でも、昨日は――
「なんで昨日はくれなかったんですかね?」
「基本的に、入国証の受付は24時間やっているんだが…まぁ、ストライキでもあったのだろうよ」
だろうよ。じゃない気がするけど…まぁ貰えたからいいか。
今日は、夕焼けゾーンに行く予定だ。正味、まだブレインについて何も知らないし、少しは楽しみたい。
なので、今日は旅行だ。
アクセサは言う、
「夕焼けゾーンは、少し特殊な所でね。本来現地民しか入れない所なんだ」
「現地民しか、ですか?」
「そう。夕焼けゾーンは、現地民特化の場所でね。ブレインは日常的に旅行客が訪れる。正直休める場所が無いんだよ」
アクセサは、ため息をつきながら説明してくれた。
ユーロとハクアも、そこに行っていいの? という顔をしているが、アクセサは続ける。
「――まぁでも、完全規制されている訳じゃない。夕焼けが好きな人もいるだろうしね。
ただ、現地民以外が夕焼けゾーンに行く時は、必ず現地民と一緒に行動しなければいけない。見られたらゴミ箱行きだからな?」
うわーヤダ。行きたくねぇー。てかなんでそこ行かなくちゃあかんの? 快晴ゾーンで遊ぼうよ。
「クスっち」
「何ですか?」
「夕焼けゾーンには、ナイトプールがあるんだってさ!」
「すぐ行きましょう!」
意気投合する2人と、それを見てため息をつく2人だった。
((この2人は…))
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