落ちた穴の先
余談ですが、この小説が50万字を超えました。目に見えると誇らしいですが、一向に上手くなりませんね。
吹き抜ける風が、心地よい気分を生み出す。
日差しもちょうど良く、空は1面の青。緑の匂いが落ち着きを与えるまさに調和。
ここは――
「ユーロ。これが【快晴ゾーン】ですか」
「そうだぜぃ。ブレインは、国の中に色々なコロニーがあるのさ。
快晴、大雨、火山に氷河、このブレインがデータの世界だからこそ出来る、特権なんだぜぃ」
「へぇ…凄い! アルピスとはまた違う景色だね! 師匠にも見せたかったなぁ…」
三者三様のリアクションを撮る中、俺達は快晴ゾーンに到着した。先程の入口から、それ程遠く無かったのが幸いだ。てか、ブレインの床が自動で動くのが驚きだった。
今回の俺の目的は、入国証を手に入れる事。正直電話できるのは有難い。位置情報…も、なんか怖いけど便利だろう。ゲームは、まぁ二の次だな。
さて、じゃあ善は急げか。早速入国証を取りに――
「すいませーん。アイスクリーム3つくださーい」
「私はチョコでー」
…なんであの二人は、目を離した隙に一瞬で脱線する? 全くあの二人は――
「二人とも…入国証はどうする――」
「聞いたか? アクセサが、昨日……だって」
「まじかよー」
何だ? 今一瞬通り過ぎた二人組が、アクセサの話を言っていた気がするが、何を――
「クスっち!」
「うわ! びっくりした!」
「えぇー。そんなぼーっとしてちゃダメだよ。はいアイスクリーム、ココナッツ味」
「…ありがとうございます」
…いい話題だろ。もしかしたら、アクセサがバグを殺したのが表彰されていたのかもしれない。そうだ。きっとそうだよな。納得しよう。今は、
「ユーロ。入国証はどうするんですか?」
「あー。これ食べ終わったら行こ。急ぐものでも無いよ。入国証は手続きさえ終わってれば、直ぐに貰えるんだからさ」
◇◇◇◇
【本日の入国証の配布は終了致しました】
「…ユーロ?」
「……あれー」
「貰えないじゃないですかァァ!!」
俺たち三人は、アイスクリームを食べた後色々な場所を周りながら、入国証を貰える場所に着いた。
と、思ったらこれ。意外と楽しみにしていたんだけどなー。電話も、ゲームもやりたかったんですがね。
…てか、
「ユーロ、ハクア。気づいていますか?」
「うん」
「何が?」
「見られてるな。これは」
ガッツリ視線を感じる。別に、私も金髪だし目立つのは重々承知だが、これは悪い意味の目立ちな気がする。まぁ、なんと言うか、いい気はしない。
という訳で、俺達3人はブレインのホテルに移動して休息をとることにする。
「夜ゾーンもあるんですね。便利な事ですね」
「うん。ここは、色々なホテルがあって睡眠ゾーンとも言えるね」
「成程。ハクアは?」
「今、ビュッフェがあるって聞いたら、すっ飛んで行ったよ」
「成程…なら」
「うん。話が出来るね」
いいチャンスだ。ここで、情報を整理しておこう。
「ユーロ、どこまでが偶然だと思いますか?」
「…どうだろうね。いきなりバグに出くわしたのは、偶然と思いたいな。アクセサが現着したのが些か速すぎる気もするけど…」
「それ言ったら、平行線でしょう」
「そうだね。…1つ、私も聞きたい事があるんだ」
まぁ、十中八九あれだろうけど、聞きますよ。いきなり過ぎたよね。あれは流石に。
諦めた目をするクスノキに、ユーロは確信を持って問う。
「アルミシアって、あのアルミシアちゃん?」
「…ちゃん。って、貴方アルミシアを知っているんですか? 」
「…うん。子供の時、あの子に会ったことがある。もう随分会ってないけど、元気なら良かったよ。お転婆だったなぁ」
「それは、貴方には言われたくないと思いますよ」
「――ただいまー! クスノキ、ユーロさん! ビュッフェ美味しかったよ! 一緒に行こ!」
「「…はいはい」」
そうして俺達は、半ば強制的に連れていかれ、飯を食べたあとそのまま眠りにつく。
でも、
(眠れないよなぁ……)
横の二人のいびきがでかいのもあるが、何か嫌な予感がする。ブレインは、楽しい旅になると思っていたが、随分ときな臭いな。
豪華な天井を見ながら、ベットに体を預けて、眠気が迎えに来るのを待つ。寝付きはいいほうなんだがなー。羊とか数えるか?
「~~~!!!!」
何だ? 今、外から何か、
クスノキは、寝ている二人を置いてきて声が聞こえる場所に、こっそり行く。
真夜中、冷たい風が勇者を震えさせる。じりじりと、歩く時。少しづつ声は鮮明に聞こえ始め、それは悲鳴だと徐々に分かっていく。
そして、その悲鳴を聞いても何も起きない国に、クスノキは表現の仕様のない動悸が襲う。
「お助け下さい!! ゴミ箱行きには、なりたくありません!! まだ、私は――!!!」
(ゴミ箱行き? どういう)
「説明したろ? この国では全てが犯罪行為だ。例えそれが【アイスクリームの無断販売】だとしてもな」
その時クスノキは、悲鳴をあげている人間がアイスクリームを売っていた店主だと認識した。
そして会話から、恐らくあの店主はアイスクリームの無断販売をしていたと。
クスノキの目には、店主はこれから地獄に行くかのような震えと、鳥肌が見えた。そこから、店主の末路が予想される。
「まぁいいや。とりあえずお前のゴミ箱は、どうしても決定しているんだし受け入れろ」
「……あぁ。変わってしまった、ブレインは。いつからこんな地獄に……」
「おっと? 俺達の前でブレインの文句か? また罪が重くなったぞ?」
店主を取り締まっていたやつは、1度指を鳴らす。すると店主の下にいきなり大穴ができ、水のように店主は吸い込まれていく。
「アァァァ!!!!!!! たずげてぇぇ!!!!」
そして、徐々に穴からは店主の声が聞こえなくなっていく。国には静寂が訪れ、そして、
「良し、落ちたな。任務終了。撤退する」
(随分と、大胆に行動するな。俺もここにいるとまずい――やべ、石蹴っちまった!!!)
「ん? 音…? 誰かいんのか? いたら、お前もゴミ箱行きたぞーー?」
ここで、偶然にも音を聞き逃す事はなく、そいつは真っ直ぐに俺の方向に向かってくる。
どうする? 戦うか? いや、ここで戦えば、ユーロやハクアがどうなるか…かといって、逃げる場所等――詰みか?
その時、
「こっち! 早く!」
クスノキは、後ろから現れた穴に吸い込まれる。その速度は一瞬であり、流石にこれには――
「ここか!? ……って、居ねぇな。逃げた形跡も無し。気の所為か。全く、面倒なこった」
クスノキは、穴に吸い込まれた後、口を手で塞がれ何も喋れずにいた。
暗闇から一瞬で明かりがつけられ、それで目が萎む。
「むぐー!!」
「あぁ、もううるさいのです! せっかくこっちが助けてやったのに!! ほら、今喋れるようにしてやるのです!」
「――ぷは! いきなり何を――って、アルミシア!?」
「…やっと気づいたのですか? 勇者さん」
感動の再会は、大穴の下で行われた。
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