ブレインへようこそ
文明レベルは国ごとに違います。廃墟のような国もあれば、未来都市もあります。まぁ、ムーンの世界なのであまり考え無い方がいいと思います。
「えっと…ここがブレインですか?」
「そうだぜ。行こう、クスッチ!」
……あれ? 俺がおかしいのか?
なんか、目の前を見ても…ここがブレイン?
クスノキが見たのは、1面草原の中の一筋の柱。石柱と言ってもいい。
問題はそれしかない事だ。見た限り1本の柱以外は、1面の草。
吹き抜ける風が草の匂いと、青空を強調させるそんな日だった。だが、それとは裏腹にクスノキの心は不安で満ちている。
「あのー。ブレインなんですか? ここ」
「だからそうだって言ってるじゃん。とりあえず行こ?」
えぇー。ほんとに? どう見たって柱しかないけどー。
てか、ハクアは何? なんで何も喋らない――
「これが…ブレイン。思ったのと…違う」
こっち側か。そりゃそうだ。日本より文明が進んでいると思ったらこれ。まぁ、エレシュキガルと同じ世界なら、ありえないと思っていたけどね。
さてと、どうするべき――
「おーい。早く来てー」
はいはい、お姫様が呼んでいるので、放心しているハクアを引きづって行きましょうねー。
とは言っても、俺もハクアと同じで意味がわかってないんだけど、道間違えたエンドとかないかな?
「それで? ユーロ。ブレインはここなんですか?」
「やっと来たね。うーん、その答えは正解では無いかな。ここはブレインの入口と言うだけだよ」
「――入口?」
すると、ユーロは柱に手をかざす。すると――
【ようこそ。入国証をかざして下さい。すぐにワープが始まります】
――ユーロは、服から1枚の板を出す。…スマホみたいなの来たな。
一応聞いておこう。スマホじゃないと思うけど。
「ユーロそれは?」
「これは、ブレインの入国証だよ。ブレインの中じゃ通話もできる便利なやつでね」
――スマホやん
「それに、位置情報とかもすぐにわかるし」
――スマホじゃん
「ゲームとかもできるよ」
――スマホじゃねぇか!
「……便利ですねー」
「でしょー」
ユーロはスマ――入国証を柱にかざすと、音声が聞こえ、
【認証確認。ユーロ様、ブレインにお帰りなさい。ワープしますか?】
と、聞こえユーロは慌て出す。
「うわ、ちょっと待って! 二人とも手を繋いで! 早く!」
ユーロの声で、俺達は手を繋いだ。いや何、全く状況が分から無いんだが――
【ワープ開始します。ようこそブレインへ】
――何が…起こ、
◇◇◇◇◇
【ようこそ! ブレインへ! 全てが叶う夢の国へようこそ!】
クスノキ達が、次に目を開けると見えたのは立派な未来都市。ポリゴンのような四角い素材でできた国。
人間とも、魔獣とも違う機械のような生命体が、人間をサポートする世界。
周りの景色も、夜もあれば晴れもある。雨も曇りも雷すらある。
基本的には白で構成されている壁だが、ポリゴンの鳥や魚が沢山泳いでいる。そして極めつけは――
(あれは…車?)
空を走る車のような存在。他にも色々な空を飛ぶ車がある。
正に、インターネットの世界。文字通りの仮想空間だ。
ユーロは話す。
「ここはね。電王が自ら作ったもうひとつの世界。
あの柱に触ったでしょ? あれが、私たちとこの世界を繋ぐポータルで、私達は【アバター】と呼ばれるこの世界専用の住人になったんだ。
それこそが【仮想空間電脳スペース統一国 ブレイン】だよ」
「…それは凄いですね」
「まぁ、もうひとつの名は後ででいいか(ボソッ)」
「? 何か言いました?」
「何も?」
…何か言った気がするが、、まぁいいか。さてと、なんか凄い世界に来ちまったな。ホワイトハウスも結構近未来的だが、これはもう未来に手を伸ばしている。というか、日本でさえ夢見た景色だろコレ。
これを、出来ちまう電王がすごいんだろうな。味方だと良いけど、そうはいかないんだろうね。なんかそんな気がする。
あれ? てかハクアは?
…てか、さっき迄は人が大勢居たのに、どこに行ったんだ?
「ユーロ。ハクアさんはどこに?」
「ん? あぁあっちに――」
見ると、
「どうも! ブレインは楽しいですか!?」
「……くぁ」
ハクアは既に、ブレインを受け入れインタビューをしている。印象を聞くのはいい。コミ障じゃないのも良い。問題なのは聞く相手だ。
「ユーロ。なんですか? あの黒いの」
「……さぁ? でもなんかやばい気が――」
「……っ!! ハクア!!」
「ふぇ?」とハクアが聞いた相手は、マリモが真っ黒になって人型になった感じ。明らかに人間じゃない。しかも――あれ、生きてない! 何かよく分からない概念的存在だ! つまり――敵だ!!
「ハクア逃げなさ(間に合わないかっ! 仕方ない!)――固有魔法! 発動!」
勇者生誕を発動し、一気に化け物に近づき吹き飛ばす。はずだった。だが――
「クスっち!」
「…マジですか? これ、死王すら吹き飛ばしたのに、よろめくすらないんですか!?」
化け物は全く無傷。いや寧ろこちらが傷ついている!? 嘘でしょ? これって結構無双する能力の筈じゃ…
化け物は、表情を変えず拳を握る。どうする? なんで一瞬でこんなトラブルに!
「バグを発見! 対処を始める!」
その時、遠くから化け物の顔を目掛けて、何か魔法のような弾が当たる。
遠くから化け物の顔を当てるのも大したものだが、問題はそこじゃない。
「グゥぉぉ!!! 」
「……効いてる」
足音が聞こえる。ダッシュでこちらに走り、大きくジャンプして、一気に化け物の顔に接近する。
そして――
「駆除開始」
何発? いや、何十発と、化け物の顔に拳銃で撃ち抜く。最初は抵抗していた化け物も直ぐに動かなくなってしまった。つまりは、あの化け物は殺せたということ。固有魔法…通用しなくなるの早かったなぁ。
「…さてと、大丈ですか? 客人よ」
「…(警察かなにかか?)…えぇ、大丈夫です。助けて頂きありがとうございまし――」
「ありがとうございました! 私の名はハクアです! 拳銃かっこよかったです!!」
おい、ハクア俺にはお礼無しか? まぁ、なんか傍から見たら凄いダサそうだったから、会話に出さず忘れてくれるのならいいのだが――
「君も、凄かったよ。生身でバグと戦うとは、勇敢で何よりだ」
お前が会話に出すんかい。てか見てたのなら、もっと早く助けに来てくれればいいのに…それはそれか。
では――
「私の名はクスノキです。貴方は?」
「ん? あぁ。私はブレイン治安維持部隊 通称「プログラマー」のアクセサだ。よろしく頼む」
俺たちが最初に出会ったのは、凛とした委員長のようなポニーテールの女性警察官。服は水色の軍事服のようなもの。そして、大きな拳銃。
…ブレインは、楽しい旅になると思っていたが、どうなんだろうか。
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