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永劫回帰は夢を見ない  作者: ユナ
涙花赤銅編

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247/277

少し朧気な白い記憶

ホワイトハウス


揺れる景色、暗い海を人口灯の明るい船が進む。

風はなく、星すら照らさない新月。

白髪が揺れる。船の上の風でなびく。だが、船の先端に座る彼は、強風でも揺れることは無い。


「……死王」



彼の顔は見えない。だが、背中からは少しの哀愁が見える。誰もいない場所だからこそ、出せる感情もあるのだ。


「お隣よろしいですか?」

「…お嬢様」


白王は、振り返り自身の主を見る。

思えば不思議だ。あの時、何もすることがなかった自分に、手を差し伸べたのは、同じく自分と同じタイプだったと言うことを。


「終わりましたわ。アルピスで、死王は消滅した」

「そうですか。彼も、やっと死ねたのでしょう」

「…思いに老けて?」

「いえ、私にはそのような資格はありません」

「いつも思いますが、本当に不器用ですわね。白王…いえ――」


これから出る言葉を白王は止めない。止めたところで言うのが主であり、それを受け止めるのもまた彼なのだから。


「――元、生王(しょうおう)様?」

「…お嬢様にはかなわないですな。…焦燥に浸る等、私にはその権利がない。本来であれば、私が彼を冥土に向かわせなければいけなかったのです」

「…本当に、不器用ですわね」


アルギュワが、髪を触る。そこから香る柑橘の匂いに、少し笑う白王。

彼女が「?」 という顔をすると、「いえ…」と少し誤魔化す彼。その笑顔は優しかった。

因みに、


「死王とは、親しかったのです?」

「…どうでしょうね。お互い生きているのは知っていましたが、それぐらいの関係です。昔の彼は、優しかったんですよ。死は死でも、慈しむ死だった。

だが、あの日、狂王に唆されて変わってしまった。今でも、夢にみます」

「そして、それすら操ったディスガイアという男。いえ、邪王…」


そう、全ては邪王に行き着く。彼らは知っている。全ての黒幕を――この先に起こる全ての舞台、それを見せずカーテンコールを下ろそうとしている者を。


新月すら明るく見えるほど、彼らの未来は暗い。このまま行けば必ず邪王の勝ち。

クスノキ達に勝ち目など無い。魔王や月王がいても、五分あるかどうか。

だからこそ――


「お嬢様。この船は」

「えぇ、予定通りテイキョクに向かっています。香織の命令もありますが、()()()も気になりますので。

ですが、戦力に不安がありますね。モルトなども居ますが、クスノキがいれば…」

「――来ますよ」

「え?」


アルギュワは、白王を見る。彼の顔はこちらを向いて、確信に至る表情でこちらを見ている。


「来ますよ、彼女はテイキョクに」

「根拠は?」

「…似ているのですよ。すごく」

「似ている? 誰に?」

「もちろん、勇者サタンにです。彼と旅をした時は、それはもう波乱の旅でした。彼が行くところ全てに問題が起き、もはやあれが問題を起こしているのでは…と思っていました」


アルギュワから見た白王の目は、凄く悲しそうだった。

揺れる髪も、髭も、服すらも軽やかに動くのに、その表情だけは決して動かない。慈愛が届く表情だった。


「楽しい旅でしたよ…」

「そして、死王を討伐したのですね」

「えぇ。仲間でしたから」

「仲間?」

「言っておりませんでしたか? 魔王アリスを封印した時の勇者サタンの仲間は、私と死王でした」

「え…ええぇ!!!???」


開いた口が塞がらないアルギュワを見て、白王は高らかに笑う。久しぶりに、少し面白いものを見れたようだ。

船は動く。彼らの戦いの地へ、クスノキ達と更に後の話に明かりをつけるために。


「…因みに本当ですの?」

「どうでしょうね」

「またはぐらかす…いい性格でありませんわよ?」

「でしょうね。ですから、私は――」


――勇者を見捨ててしまったのですよ。


読んでいただき本当にありがとうございます!


白王 サタン 死王の旅も、書きたいなと心の隅で思ってます。


星を増やしてくれるとありがたいです。


面白かったと思ったらブックマーク!


感想やレビューもお待ちしております!


星ももちろん大歓迎!


具体的には広告下の☆☆☆☆☆を★★★★★にね。


そうするとロリのやる気が上がります。

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