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永劫回帰は夢を見ない  作者: ユナ
涙花赤銅編

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242/277

勇者VS死王(終・上)

死王と俺の最後の戦いが始まった。

アルピスの未来、そして俺達の未来、それを決着させるには余りに不相応な戦い。

結局の所――


「死王!」

「勇者!!」


――殴り合いだ!


死王の顔面が歪む。両方とも固有魔法を全力で使っている。消耗など考えている暇などない。

俺の腹にも拳が入る。骨が軋むようた。雷光のような衝撃と、口から出る血の感触には慣れたくない。

そう思いながらも、下の反転を見る。


これが死王の反転か。随分と――


「はぁ…はぁ 随分と貴方の反転は禍々しいですね」

「そりゃ、死王だからな…ゲボ」


闇の中だった。その中に少しだけ光る鍾乳洞のような石と、黒い水の流れる何本もある滝。それしかない地獄にふさわしい反転。

俺が見た事あるのはアリスやアルギュワの二人だが、あの二人は反転に明確なイメージがあった。

だが、この反転は、まるで子供がクレヨンで書いたラクガキのように滅茶苦茶だ。

少し目を離すと、いつの間にか死王は大きく笑いこちらを見ている。


「いいのか? よそ見なんかして」

「どういう――」

()から来るぞ?」


下…!!?

見ると、俺の足元だけが、沼地のようにぬかるみになっており、すぐさま飛び上がると沼地から大きな蛇のアギトが出現し、捕食の動きをとっていた。

もしも俺が、そのまま下に入れば食われて終わりだっただろう。

だが、下から来ることさえわかっていれば、と言うということは……下から?

その反応を見て、死王は上を指す。


「やっとわかったか? ここは俺の反転。どこからでも襲ってくるぞ!」


周りを見渡す。

そこから何十? いや何百という巨大な蛇が、一気に俺を襲ってくる。

別に噛まれる事は、警戒していない。だが、これが死王の固有反転という事。

固有魔法と固有反転は、密接に関係している。もし、あの蛇の能力をこの蛇達が使えたら…仕方ない。


【固有魔法 ハローワールド発動】


一瞬で蛇を全て吹き飛ばす。自分で思うが、どういう原理なんだこれ。おりゃ! ってやってるだけなんだがね。


「はは! 気合いだけで俺の蛇を消し飛ばすか! 相変わらず滅茶苦茶だな!」

「貴方に言われたくありません!」


俺と死王はぶつかり、両手で相手のそれぞれの手を掴み、頭をぶつける。

その力は拮抗しており、どちらも引くことは無い。勇者と死王、引いたら負けなのだから。


「もういい、お前が何故ここまで進化したのかは、忘れてやる。今は…この戦いに集中するとしようじゃないか!」

「…そりゃどうも。でも、何故あなたはここまで戦いを求めるんですか! まるで、誰かに()()()()()()みたいに!」

「良い読解力だ…その通りだよ。俺は、ラスボスなんだからな。倒されるのが本望だ。

…ただまだ死ねない。()()()の答えを聞くまでは…」

「答え? 何の話――」


死王は、体を軽く回転させて俺の腹に蹴りを入れる。深く入ったのはいい。だが、この滝の中に入るわけには行かない! ここはマジでやばい気がする!

「ッ…!」と俺が間一髪で避けると、死王は追撃を入れる訳でも無く、語り始めた。


「なぁ、クスノキ。死ぬと生きるの違いはなんだと思う?」

「…意味的な話ですか?」

「馬鹿言え。根本的にだ。人間はいつか死ぬ。

ただ、もしなんの希望もなく、ただ生きるのに必要な時間以外を、ほぼ全て寝て過ごすやつは、生きていると言えるか?」

「それでも、生きているんじゃないですか? 人間は生きているんです。昨日まで、あなたの言っていた生きながら死んでいるとしても、明日から変えられるのが生きているの特権です」


そうだ。人間は脆い。死なんて目の前にしたら、きっとすぐに諦めてしまう。だから、俺みたいにみんな下を向いて前を向かない。

それでも、前を向く奴がいる。それは死が怖くない馬鹿じゃない。死を拒絶する愚か者じゃない。

死を踏み越えようとする挑戦者(勇者)なんだ。だから、俺は――死王お前に、


「そろそろ王手です。死王。ペテルギウス抜刀!!」


勝たなきゃいけない。人間がこれからも、前を向けると、死を目の前にしても下を向かないと証明するんだ。今ここで!


「いきますよ。死王」

「来い、勇者…」


俺はペテルギウス。死王は蛇から作り出した紫色の剣。

それを持って、二人は激突する。その先の結末とは…


反転が崩壊する。

読んでいただき本当にありがとうございます!


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