絶望と絶望
アルピス編ほぼ書き終わりました。
体崩拳、浄化と衝撃を合わせた俺の攻撃手段でも、最大級の技。
当たった場所から、浄化の光が血管を通り、内部に浸透しながら、死王を攻撃する。
死王は、「ア…ガが」と、口から煙を吐き、今にも倒れそうになっている。
頼む、倒れろ! 倒れろ! 倒れろぉ!!!
「ア…ガハ…た――倒れるかぁ!!」
やっぱりダメだったか! まずい、攻撃が!
避けられな――
「…いっ!」
「クスノキ!」
クスノキは大きく吹き飛び、残ったのは、死王とアルフレッドの二人。だが、攻撃も無意味ではなかったようで。
「死…死ぬかと思ったぞ。だが、俺は死の具現、そう簡単に死なせては貰えないんだ。悪いな!」
腹を抑え、血を吹き出しながら、それでも余裕があるように笑う死王、
(なぜだ、何が足りない! 何故ここまで差があるんだ!)
そう絶望しているアルフレッドは、それでも剣をかまえる。
勝てるとは思ってない。増援が来るとも思っていない。
ただ、一つだけ。自分がここで倒れれば、全てが終わるとわかっているからだ。
「終わりだな。死ね、アルピスの罪人共!」
「ウ…ァァァァ!!」
◇◇◇◇
その時、エドはある場所に向かっていた。
その場所はアルピスの地下深く。名を排泄室。
心臓で言えば、静脈にあたる場所。使い終わった水を捨てる為の施設だ。
そこで、死王に関するあることを調べる為に、ニャークルと別れ事実を確認している。
思えば、ある違和感がある。
それは――
【罪を裁いたのは誰なのか?】
罪と呼ばれるからには、何か間違えたはず。
エドは、死王を生み出した事、それがアルピスの原罪だとも思っていたが、それはアルピスが出来るより前のこと。時系列が矛盾する。
であれば、この罪とは何なのか?
そして、ついに発見する。このスイッチだ。
「……!」
エドはスイッチを思いっきり叩き割る。
分かっていた。それがどんな結末を生むのかを。
はっきりと言って、これは悪手。最悪に近い手だ。
自らを生贄として、それでもある物をここから出さなくてはいけない。
ずっと見ていた。アルピスの最初から最後まで。死王はサタンによって封印された…というのは間違い。
サタンによって封印されたのは、二人だ。
だからこそ、死王は先に封印から解かれた。そして、あたかも自分は、既に封印が解かれ、自由の身になっていると誤認させた。
それは、
「さっさと出て来い。狂王アルレリト!」
べちゃ…。と何かが落ちた。近くにあったカプセル状の何かから、粘液の塊が。
紫色、まるで生き物のように鼓動するそれは、ガスを吐き出しながら、大きく膨れ上がっていく。
「ア…アア!」
少しづつ声が出る。
膨れ上がったそれは、ついに顔が生まれ手が生うまれ、足が生まれ、そして完成した。
この世のものとは思えない、醜い姿をした災厄が。
「フシュー…フシュー」
「醜いな。随分と」
「貴様…か。スイッチを押したのは!」
エドが見たスイッチは、強制加速分裂停止装置。
つまり、アルレリトは未完成の状態で顕現した。
彼が最初に生み出したのは分身体。自分と同じであるが、スケールがアリと恐竜レベルの、お遊びの様なもの。
ただ、イレギュラーが起きた。分体が、謀反を起こしムーンと戦い魂ごと消滅させられた。
そしてムーンの力は、そのままアルレリト本体を蝕み、顕現が死王より遅れてしまう。
そして現在がここだ。
自業自得とはいえ、この扱いに狂王も怒りのようだ。
「貴様…何故ひざまつかない! 俺は、狂王アルレリトだぞ!」
「…悪いな。残念だが俺は、お前のような醜いモンスターは知らねぇよ。ここがお前の墓場だ。上にはいけない、野望も達成できない。
お前の生きた証、全て消去して水の底に沈めてやるよ」
「やってみろ! 転生者ごときがァァ!!」
◇◇◇
あれ? 俺はどうした?
なぜ俺は目を閉じている? …あぁそうか。死王に吹き飛ばされたんだっけ?
いてて、瓦礫から出て、周りを見る。どうやら結構遠くまで吹き飛ばされたらしい。
どうしようかね。体崩拳すら通じなかった。どうしろと? でもいい、何とかアルフレッドの所まで――
ドサッ…
あれ? なんで俺は壁に寄っかかって動けないんだ?
あれ?
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