勇者&騎士VS死王(3)~希望は打ち砕くもの~
「行くぞクスノキ! 足を引っ張るなよ!!」
「そっちこそ!」
俺とアルフレッドは、息を合わせ死王に突撃する。
ここしかない。ここで、俺一人ではなくアルフレッドが動ける今、死王を殺さなければ奴を討伐するチャンスは二度と訪れない。ここしかないんだ! 覚悟を決めろ!!
「こい! チャレンジャー共!!」
死王は手を叩き、防御の構えをとる。
この二人を相手に油断をする程奴は馬鹿じゃない。
アルフレッドは、そのまま突進。俺は高く飛び上空から奴を攻める。
最初に剣を交えたのは、アルフレッドVS死王。五秒のうちに何十回と、拳と剣が交わり火花が散る。
そして俺が遅れて到着。当然死王は上から来る俺の攻撃に対応しなければいけない。
その隙に、アルフレッドは死王の腹を大きく蹴る。
「白刃流! 秋風!」
吹き飛んだ死王に、追撃という形でさらに斬撃が当たる。
だが、死王は大きく吹き飛びはしたものの、倒れもせず余裕の表情をしていた。
「いいね、だがまだ足りない!」
刹那、俺の横を簡単にすり抜け、アルフレッドに気づくまもなく、腹パンを入れる死王。
やっぱりそうだ。こいつさっき迄も…いや今も全く全力じゃない! まるで子供と試合している親のように、こっちが限界を超えたらほんの少しギアを上げてやがる。
つまりまだ、舐められているんだ。ふざけんなよ!
「アルフレッド!」
「一々心配するな! 前を向け!」
そう言いながら、口から血を吐くアルフレッド。
起き上がるのも時間がかかっている…彼が何処まで動けるか分からない。だからこそ、ここで攻めないと!
だが…どうすれば、あれを崩すには…何をクリアすればいい? あの程度の傷で攻めるなら、一ヶ月ぐらいかかるぞ!
だが、やるしかない。そう思った矢先、死王の動きが止まる。
「追い詰められているぞ、勇者」
「え?」
「固有魔法を使うときでは無いか?」
俺は目をそらす。ホワイトハウスでの修行も固有魔法を発動させるには至らなかった。つまりまだ使えない、これが俺の全力だ。
それを死王は表情だけで理解し、口を開ける。
「そうか…使えないか。では…手本を見せてやろう」
死王は、指2本を口に当て掠れるような声で呟く。
【固有魔法…死王権限 発動】
◇◇◇◇
何が起きた…? 気づいたら倒れていた。体を起こそうにも動かない。…そうだあれは――
「来るぞ! クスノキ!」
死王が固有魔法を発動すると、彼の体から紫色の大きな鎖のような蛇が現れる。二匹、いや四匹。どれも意志を持ちいまにも襲いかかって来そうだった。
「さて、避けろよ。これに噛まれたらどうなるか、わかるだろ?」
死王は指を弾く。それが合図となり蛇は俺たちを襲ってくる。
ただ、
(遅い、これなら避けられ――)
大したスピードでは無かった。大蛇の動きでも、予測できない訳ではなく、かすったが避けられ…え?
「う、あがぁぁぁぁ!!! 痛いいたぁぁ!!」
ほんの少しかすっただけのはずなのに、触れた場所に太めの竹を刺されているレベルの痛みが発生する。
マジで痛い、見た限り血も出てないし精神的な攻撃か!
「正解だ。お前が触れたのは、刺殺の蛇か? ハズレを引いたなぁ…」
死王の固有魔法は四つの属性を持つ蛇を呼ぶ。
焼死の蛇。
刺殺の蛇
毒殺の蛇
粉砕の蛇
それぞれの蛇に、噛まれなくても触れるだけで司る痛みが襲う。
実際に起きている訳では無いが、その痛みは人を死なせるには十分なショックであり、死王にふさわしい能力である。
そして、これの更なる面倒な点は。
「秋風!」
俺の斬撃が蛇によって阻まれる。…やっぱり物理耐性がある! 盾にもなる触れたら終わりの蛇とかありかよ! 反則にも程があるだろ!
アルフレッドも蛇の対応に追われている。って、こっちにも来たか!
「避け…うわ、当たったァ…熱っつい!!」
焼死かこれは! 肌にマグマを当てられている様に熱い、てか溶ける! こんなのずっと耐えられない、だが――
「勇者、お前は目が死なんな」
「そうですか? 味方がいますからね」
「あの騎士か? 奴もそろそろ限界に達するだろう。希望は打ち砕くものだ。変に持たない方がいい」
「違いますよ。私の味方は彼だけじゃありません」
その言葉に死王の目がピクっと動く。
そうですよね。耐えるって誓いましたから。そっちは任せましたよ…エド!
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