勇者VS死王(2)~敵意~
「では始めましょうか クスノキ様」
「ちょっと待ってください」
時は戻り、ホワイトハウスでアルピスに向かっている途中。あと二日で到着するので、結構時間があった。
そして俺は、焦っても時間が加速する訳でもないので、どこかカジノで遊び軍資金でも稼ごうかなと思った矢先、
「少し時間を貰っても?」
と、アルギュワが話しかけて来た。嫌な予感がしたが、まぁ予定も無いので頷いて、ある場所に案内された。
たどり着いた場所は、豆腐のような部屋。扉以外一つもオブジェクトが無く、あとは四角い白い壁で全てがおおわれている。
「ここは?」
「懲罰室ですわ」
「ちょ!?」
アルギュワは、それを淡々と言ってなにか準備を進めている。
まさか、ここで俺を殺して証拠隠滅を図る気か?
その時、後ろから静かに、だが確かに足音かなり俺は後ろを振り向く。
「白王さん…」
「ご安心下さい、クスノキ様。お嬢様の言葉が足りないのはいつものことでございます。我々は貴方に特訓をさせる為に、ここに及びいたしました」
「成程…良かった。……ん? 特訓?」
「特訓です」
いつものように、髭も髪も真っ白の白王はスーツには似合わない、剣を抜き俺と対峙する。
その目は既に戦闘体制であり、俺の意見などはなから聞いちゃいない。
「ちょっと待ってください! 特訓ってなんのですか!?」
「おや、これは野暮な事を。これからあなたは死王と戦います。ですが、今のままでは直ぐに死ぬでしょう。なので、勝つのではなく、せめてスタートラインに立てるレベルには仕上げます。いいですね?」
「ちょ! まっ!!」
白王が剣を刺してきて、俺が間一髪で避ける。それの繰り返し、反撃などできるはずもなく、避けるしか無かった。
それを見て、アルギュワは紅茶を飲んで椅子に座っている。なんともぶん殴りたくなるものだ。
◇◇◇◇
と、これが俺の白刃流の正体。本来なら剣術なんて、2日間で習得できるものではなく、出来たとしても付け焼き刃だろう。
だが、流石にあれだけ喰らえば形にはなる様で、一発小さな傷が死王に入ったことで、斬った事よりも、俺の2日間は無駄じゃなかった…、の方の気持ちの笑みが大きい。
死王は、腹にできた小さい傷をなぞり、こちらを睨む。
「懐かしい太刀だ。昔勇者と並び俺を封印したもの。その剣だ。生王よ」
「…生王? 私が剣を教えて貰ったのは白王ですが?」
「そうか、今はそう名乗っているんだな」
「何の話ですか?」
「いや、こっちの話さ!」
既に死王の足は、俺の顔の横スレスレにあり、背中を曲げて避ける。風圧で吹き飛びそうだったが、何とか耐えて、後ろに下がる。
そうだ、傷がついたからなんだ? 相手は、死王だぞ。白王も言っていた、これでスタートラインだ。ここから、あいつを攻略しなくてはいけない。
「白刃流 秋風!」
フォールアウトを下から掬う様に、剣をずらすと白い波の様な斬撃が死王にあたる。
死王は避け無かった。斬撃が早いとかそういう問題ではなく、避けれるのに避け無かったのだ。
死王は、手を十字にして斬撃を受ける。煙で覆われていた腕は当たった場所からはけていき、そこから少しの血が流れる。
だが、その血はすぐに止まり、煙もまた腕に巻かれていく。
正直無理ゲー。だってこれ、大樹にカミソリで攻撃しているようなものだ。いつか刃が折れるか、心が折れる。だからこそ、何かしなくてはいけないのだが、、、
(秋風…結構白刃流でも、斬撃の強さは大きい方なんだよなー。それであれですか…)
その時、俺と死王の間に割り込む奴がいた。いきなりの出現に俺の足は止まるが、死王はそのままそいつに突進し、拳を当てる。
だが、それで奴は吹き飛ばず、持っていた剣で反撃する程だ。
こんなこと出来る奴は、こいつしかいない。反撃できたのは、さっき迄戦っていたからだもんな。
「怪我はもういいんですか? アルフレッドさん」
「あぁ、何とかな。万全とはいかないが、君がアルピスの為に戦っているんだ。本来守るべき俺が寝ている訳にはいかない」
「そうですか…なら、遠慮なく」
こうして、俺とアルフレッドは横にならんで死王に構える。
それを見て、好奇心の塊のような目をする死王に一つ問う。
「2対1で卑怯とか言いませんよね?」
「…言わないさ。ただ、なるからには楽しませろよ? かかってこい若造共、化け物の力を見せてやろう」
こうして、また戦いが始まった。
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