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永劫回帰は夢を見ない  作者: ユナ
黄金変容編

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222/277

序章への一歩

一ヶ月書いてなかっただと!?

話し合い始まった。

でも特にそこまで苦戦はしない。ペテルギウスに関しては、直ぐに終わりそうだ。

だけど最初に確認しなければいけないことがある。それはあのうるさいオオカミのことだ。


「オオカミ? あぁモルトの事ね」


「えぇ。彼も私達の仲間なので、出来れば同じことをして欲しいですね。あと彼はどこに?」


「彼なら今、涙王がしかけた爆弾を解除しているわ。まぁ。もう終わったけど、涙王からの傷があって、彼とは会えないわね。

でも安心して、ちゃんと傷がいえたら彼にも同じ事をしてあげるから」


俺は頷くしかない。おそらく全てが本当。涙王の気配は感じていた。だが、なんかいつの間にか消えていた。あいつの目的はなんなんだろうな、考えるだけ無駄だろうけど、敵で…いいんだよな?

そんな俺を何も喋らず待つ彼女。


「あぁ、すいません」

「別に待ってないわよ? ただ、不思議ね。貴方はあっち側だと思っていたけど」


あっち側? 何の話だ? 何も分からないが、ひとつ分かるとすればディスガイア関係だろう。恐らく台風の目はあいつであり、陣営があると?


「何もムーンから聞かされてないようだから、教えてあげる。この世界はね、生まれた時に二つの陣営どちらかに所属させられる。ムーン側かディスガイア側か。貴方はムーン側かしら?」


…どうだろうな。この姿にムーンが関わっているのなら、確実にムーン側だろう。

話から推測するに、涙王はディスガイア側なのだろうな。あんなのしか居ないの? あっち。


「さて、本題に入りましょう。貴方には二つの権利がある。一つ目は私に一つ要求する権利、そして質問する権利よ」

「随分サッと言いますね」

「耳を立てていたのだから、これもさっき聞こえていたでしょう?」


分かってたか。という事は、聞こえるように話していたということ。意外と曲者だな。取引には律儀と思っていたが、変なところを見せると、足元をすくわれそうだ。


「私の要求は、ここにあるペテルギウスという剣が欲しいです」

「えぇ、渡してあげるわ。勝者にふさわしいからね。質問は?」

「質問は――」


正直無いんだよねー。あるあるだけど、質問していいと言う時は、大して思い浮かばず、終わった後閃くんだよなー。これが。

ただ、ここで変な質問したら、また聞き返されて泥沼にハマりたくない。であれば、適当でも真面目に聞くか。


「――貴方は、どちら側ですか?」

「…どちら側でも無いわ。私は選択するのが遅かったの」


カオリはその質問に、目を細めて横にそらす。相手の顔を見たくなく、相手に瞳を見せたくない様に。

…失敗したかな? 変な質問しちゃったから、変な雰囲気になってしまった。カオリも俺も黙っちゃって、何も喋らなくなってしまった。


「えっと、じゃあ質問を変えます。私が困ったら、助けてくれますか?」

「…!? ………えぇ、助けてあげるわ」


目を見開いたカオリは、その後聖母のように笑う。

確証は無い。証拠も無い。ただ信じてみようと思う。カオリが味方だと、あの笑顔が真実であると。


話し合いは終わり、俺達は合流する。そして最後の挨拶が始まった。


「アルミシアさんは?」

「私はブレインに帰るのです。目的の物は…まぁ、手に入ったと言って過言では無いのです。じゃあ部屋に戻るのです――」


不器用な人だ。最後まで、自分の本意が気づかれないと思っている。アルピスが無ければ、一緒について行きたかったけど、終わってからだな。行くとしても。こうして俺は、彼女が扉を閉めるまで、見ているしか無かった。


「エドさん」

「分かっているさ。ここからが戦いだ。俺もお前も、来週は生きているか分からんな」

「逃げます?」

「馬鹿言え」


そう、もう逃走なんて選択肢は残っていない。ここで俺達が逃げれば、アルピスの人間は全滅するだろう。

まだ、戦う理由は確実に固まっていない。最後の1ピースが足りない気がする。近くにある気がするのだか。


「クスノキ」

「カオリさん…その剣は」

「ご所望の品よ。「滅剣(めっけん)、ペテルギウス」どうぞ」


渡されたのは、柄は黒く、刀身の赤い少し大きい太刀のような感じだった。

俺の体では、少し扱いずらいが、まぁ慣れるだろう。意外と、センスあるっぽいし。


「エド、クスノキ。次の目的地をアルピスに変更したわ。だけど、最高速で行っても、着くのは祭り当日になるでしょうね。それまで、寛ぎなさい」


◇◇◇◇


「アルミシアさーん!」

「…クスノキ。あの別れから、追うのです? 普通」


忘れ物があった。渡さなければいけないものがある。ここまで彼女には、頼りっぱなしだった。

だから――


「これを渡そうと思って」

「何を…正気なのです? これは【フォールアウト】なのですよ?」

「えぇ、助けてくれたお礼です」


アルミシアは口を噤む。

勿論受け取りたい。フォールアウト無しでは、彼女は戦えない。例えブレインがこの世界とは全く違う物理法則だとしても、あると無いとでは、全く難易度が変わる。

ホワイトハウスからの援護あっても、彼女の革命はそれほど不利な盤面の上にあった。

だが、手が伸びない。「受け取れ」という心の中に、ほんの小さな「いいのか?」と言う声がある。

フォールアウトは見ていた。今であれば、主と認めてくれるだろう。

だが、アルミシアもここで成長をした。今気にかけているのは、革命の事では無く、目の前の小さな勇者の事。

彼女はこの剣無しでいけるのか? 戦えるのだろうか? アルミシアには、アルピスの戦いの規模が分からない。だが、勝ちに来たのなら、激戦になるのだろう。

目の前の勇者からは、瞳の奥に覚悟が見えた。であれば、自分の番はその後でいい。


「必要無いのです」

「え?」

「勘違いするな。なのです。ただ預けておくのです! 終わった後届けに来い。その剣をもらって、お前が死ぬのは、夢見が悪いのです」

「……そうですか」

「何笑っているのですか!!」


いや何、少し素直になったな。って感じただけ。ただそれを言うと、ビンタされそうなので黙っておく。

という訳で、もう少し力を貸してくれ。フォールアウトよ、最後の戦いだ。


「クスノキ」

「はい?」

「死ぬな。ブレインで待っているのです。それから…………ありがとう……ございました」

「……ふふっ。こちらこそありがとうございました。また会いましょう。では」


こうして、誇る俺と照れるアルミシアは、互いに振り返り別れていく。ほんの少しの小さな別れ。

戦いが始まる。アルピスの明日を分ける最後の戦いだ。魔族と人間。どちらが勝つか。それは、次の朝日が決めることだった。


次回【アルピス編。終幕 涙花赤銅編(るいかしゃくどうへん)


◇◇◇◇


「怪我の具合はどう? オオカミさん」

「知るか。俺抜きで話をしやがってよ」

「そう言わないで、モルト。貴方の話は彼等には余計だもの」

「…何の話だか。それで? 答えは?」

「YESよ。ホワイトハウスから、情報を提供しましょう。そろそろ涙王には、退場してもらわないとね」

「……テイキョクは、どんな感じかね?」

「きっと天国よ。色々な意味でね」


【黄金変容編 ~完~】

読んでいただき本当にありがとうございます!


次回より、バトルメインになります。年明けになりそうですね


星を増やしてくれるとありがたいです。


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感想やレビューもお待ちしております!


星ももちろん大歓迎!


具体的には広告下の☆☆☆☆☆を★★★★★にね。


そうするとロリのやる気が上がります。

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