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永劫回帰は夢を見ない  作者: ユナ
黄金変容編

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221/277

なんでもないそんな日

「は?」


ここはテイキョク。涙王の本体がいる間。和室ときらびやかな装飾、少し黒いお茶を飲む着物姿の酔王がそこに居た。

彼女は感じ取った。ホワイトハウスに行った分身が死んだ事を。命令を完遂できず、無様にカオリに負けた事を。

彼女の持っていたコップが割れる。握りつぶし破片が畳にまう。お茶のこぼれは、彼女の怒りを表すように中々吸収されていない。

太陽が輝く。


「申し訳ありません。ディスガイア…様」


彼女の目から涙が一滴流れる。ガラスのように小さく冷たい涙滴。


「クスノキ…何なのですか? お前は」


その問いに答える者はいない。涙王の間に居るのは彼女一人。彼女が見る青空は、自分の沈んだ気持ちとは正反対に、何もかもを爽やかに見せていた。


◇◇◇◇


「初めまして…と。言うべきでしょう。クスノキ」


「貴方は?」


場所は変わり、オーナー室。まず初めにここには何も無い。比喩ではなく、文字通り椅子と少しの机しか無い。

正確に言えば、カオリの固有魔法によってテクスチャが貼られるまでは、無人の部屋なのだ。

逆に言えば――


「ここは窮屈ね」


――カオリが足を踏み鳴らす。ヒールの甲だかい音が小さな部屋で反響する。すると世界が置き換わる。何も無い白い部屋が、一瞬で幻想的な春の草原に変わる。

春の温かさも、草の匂いも、心地よい風も、たまに鳴く小鳥の声も全てリアルに感じられる。


…異常だ。そう思わざるを得ない。俺は唾を飲む。明らかな異質。アリスやムーンとは違う。人を傷付けない圧倒的力。

と言うか、これって固有反転じゃね? という疑問は話をややこしくしそうなのでスキップで。

カオリは指をさす。そこにはふたつの席と机。上には大きい傘が。貴族のお茶会のような場所だった。


「勝者の権利よ。これからあなた達の要望を聞くわ。ただし、一人づつね」


俺、エド、アルミシアは顔を合わせる。どうするか、と。決まりそうにないのでジャンケンで決めた。


◇◇◇


「こんにちは。アルミシア」


「よろしくなのです」


まず始まる面談はカオリとアルミシア。二人は当たり前に初対面。椅子に座り、ただ沈黙が訪れる。

アルミシアはこういうのになれていない。なので目を下にそらしてしまう。


「一応、ルールを伝えるわね。まず勝者の権限として、貴方には【二つ】の権利が与えられた

一・私に一つ質問をする権利

二・私に一つ要望をする権利の二つよ。慎重に選びなさい」


「…要望はどのレベルまで可能なのです?」


「無いわ。要望にレベルは無い。ありとあらゆる手段を使い、ホワイトハウスが全力で叶える。例えば――貴方の要望が、クスノキのフォールアウトだとしてもね?」


「知ってるのですね。何もかも」


悪魔のような小さな笑顔をするカオリ。机をトンと叩くと、何かが出てくる。小さな小瓶、青紫の以下にも――


「毒なのですか?」


「えぇ。あなたが望むのなら、クスノキと話す時に、彼女のお茶にこれを入れてあげるわ。そうすれば毒で死ぬ。そうすればフォールアウトは貴方のものよ」


「――結構なのです。あの女がそんな簡単に死ぬとは思えないし、それに毒殺したところでフォールアウトは私を主の認めないのです」


…そう。とカオリは瓶を消す。ここからはアルミシアのターン。とは行ってもすぐに終わる。


「カオリ。貴方への要望は、私の【革命】の手助け。電王を倒す資金と方法を要求するのです」



「いいわ」


「質問としては……今のブレインはどうなっているのですか? 私が最後に知った情報は、何年も前なのです」


「そうね、多分あなたが知っている情報とそこまで変わってないわ。あの国は今は大人しい。ただあなたが懸念している【計画】が、いつ始まってもおかしくないわね」


その言葉に、アルミシアの顔が強ばる。急がなくては…。と。彼女の戦いが始まるのはもう少しあと。だがそこで、彼女の旗は大きくはためくことになる。


◇◇◇◇


エドの話し合いを見ている俺とアルミシア。結局俺は最後でしたか。まぁ運がいいのか悪いのか。とりあえずどうしようかね。


「あのー、アルミシアさん。できれば」


「――カオリと何を話したとかは、言わないのです」


ですよねー。過去問聞くじゃないけど、ここで知れたら楽だったんだけどね。

因みにその後アルミシアは何も答えなかった。ただ何かを凝視している。あるのは草だが、見ていない。まるで()()()()()()を見ているように。


「終わったぞ。クスノキ」


「――早くないですか!? まだ二分経ってないですよね!」


「まぁ、直ぐに終わったしな。早く行け、アルピスの祭りまで時間が無い」


はいはい。という訳でアルミシアとエドをバックに俺はカオリ居るテーブルにつく。

別にどうでもいいが、少し日本のような香水の匂いがした。いや何、オシャレなんかした事無いなと思ってね。


「初めまして、クスノキ」


「あぁ、どうも。初めまして」


これから始まる話し合いにしては、穏やかな最初の挨拶だった。



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