少しだけ前へ
「屍」
「猫」
「昆布」
「豚」
「太鼓」
…終わらん。てかそうじゃん、日本でもしりとりで終わるのって稀だぞ。ん負けなんかほぼ無い。大体時間で終わってしまう。
言葉責めをすれば簡単なんだろうけど、俺の次アルミシアなんだよなぁ…そしてアルミシアはそれができるほど語彙がある訳じゃないか。
どうしたものかね? このままじゃ平行線だ。アルピスに帰る為にも――
「随分とアルピスが好きですわね。クスノキさんは」
「…何の話ですか?」
アルミシアが言葉を考え、それが存在しなくてペケをくらい続け二分。痺れを切らしたのか、アルギュワは俺に話しかけてくる。その瞳は好奇心に瞳孔を細くする猫のよう。
答えを最初に言っておこう。俺はこの問いに答えるべきじゃなかった。
「何の話って、何故あなたがアルピスを救うのかしら? 故郷でも大切な人がいる訳でもない、ただ【そこに来た】人が、どうしてそこまでこの国に同情を持てるのかしら?」
「…あなたには関係ありません。それに、どうしようと私の勝手です」
「勝手…ですか。当ててあげますわ、貴方本当は【なぜ救うのか】自分でも分かって無いのでしょう? ただ前の国の行いの繰り返し。そこに明確な意図も、信念もない独り善がりな英雄気取りが貴方でしょう? 」
「…違います」
「であれば言ったみて欲しいわ。なぜ貴方は【アルビス】を救うの?」
言葉が出ない。ずっと目を逸らし、逃げてきた問いに押し潰されそうになる。答えなど最初から持ってはいない。
傍から見ればそうだろう。記憶を持ってしても、置き土産までは分からない。だからこそ答えは最初から得てる。なぜ救うか…そんなの一つしかない。
「呪われたからです」
「呪われた? 誰に?」
「誰と言われれば、オオカミです。泣かないでと言われました。止まるなと」
今でも覚えている。シロの命が閉ざされた時の黒い瞳孔。虚無であり、深海を思わす冷たい瞳。
俺は、あの瞳から呪われた。被害者と言ってもいい。
自分からいえる。俺は【アルピスを救う】動機を持っていない。ただ、救わなきゃ行けない気がするから、救っているだけ。理由はその場しのぎでしかない紛い物。
俺はどうすれば…
「…話になりませんわね」
「…え?」
アルギュワは、俺に手をかざす。遠い場所にいるはずなのに、握りつぶされそうと錯覚するほどだった。
「ゲームを一時中断しますわ」
一瞬で空間が消える。支配者権限と言うやつだろう。
何をする気だ? …ひとつ言えるのは、アルギュワは俺を見ている。そしてその瞳は怒りを覚えているということ。
「クスノキさん。貴方はつまらないですわ。自分の道すら分からない人に、勝利などありえない。懺悔なさい! 固有魔法」
アルギュワは俺の額にデコピンをする。景色が広がる。その景色は昔の故郷。彼女の固有魔法で昔の世界が脳に入り込んでくる。
それは…目を逸らしていた別の世界だった。
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