故郷なんてただの土地
「他人が出来ることは、貴方もできる」
俺は昔からこの言葉が大嫌いだった。この言葉も嫌だし、言う人間も距離を置きたいレベル。
例えば対岸に行きたいとする。遮るの大きな川。前の人間が翼で空を飛び渡った時、何故か俺も翼で空を飛ぶことを強制される。
別に泳ごうが橋をかけようが、色々な方法があるのに【他人がやった】と言う理由だけで、全てを却下される。
そもそも筋力差や性別、色々な障害…もういいや。要は昔から社会不適合者でしたよ、俺は。って事。
そして、そんな故郷に俺はまた帰ってきた。最悪な形で。デジタル看板で目が眩む、そんな現代社会。東京だ。
「あら」
「…え? ここは一体」
正直、これは成功しないで欲しかった。別にやりようなど沢山ある。ただ一番勝つのに楽な方法がこれだっただけ。
戦略的には楽だが、個人的には最悪の手だ。ではなぜ使ったか? …思いつきで行動しない方がいいということだ。
俺は動揺して開いた口が塞がらないアルミシアを横目に、アルギュワに話しかける。
「アルギュワさん。降参して下さい」
「あら? 何故」
「この世界はあなたの常識が通じません。魔力も無い出来損ない。だから――」
「…梅干しとかありますよね?」
俺は目を見開く。なぜ知っている? この世界にあるのか? いや見た事も無いし、聞いたことも無い。まさかアルギュワは――
「ふふ、クスノキさん。そんなに考え込まないように。私は完璧なこの世界の人間わす。日本人ではありません。ただ――」
アルギュワは右手を見せる。特に種も仕掛けもないただの手の平。あの手に何か? いや別にただ触られただけ――
「気づきましたか? わたくしことアルギュワの固有魔法は――【記憶摘出】ですわ。私の手が相手の体に触れると相手の記憶を隅々まで読むことが出来ますわ。まぁそれなりに時間が掛かりますけどね」
「そんな力…」
「無いと思います? では証拠を見せましょう。アルミシアさん。次の言葉を埋立地にして下さい」
次のアルミシアはその通り埋立地と言った。その次はアルギュワのターン。次の言葉は「ち」である。…ち? おい待てまさか!
「さぁ、始めますわよ! クスノキさん! 家に帰りましょうか! 【千葉県 勝浦市!】 」
その瞬間また世界が変わる。やられた、記憶を読み取れるのならば、こうなるのか!
「さてと、クスノキさん。故郷に帰ってきた感想は?」
「…殺したいですよ。本当に」
余裕のアルギュワ、イライラしている俺。そしてまたもや開いた口が塞がらないアルミシアだった。
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