格の差
「所でおふたりは、姉妹か何かですか?」
「…違うのです(ギロ)」
「あはは」
俺とアルミシアは、ギラリス、いや白王と出会い、奴隷ルームまで案内してくれることになった。
本来なら、奴隷に落ちなければ、入室不可能だが特別に、と言うことだとさ。
構造は、同じ船か? というレベルで文字通り世界が違う。通常やVIPルームが、華やかな天国だとすれば、奴隷ルームは、地獄をそのまま落とした様な姿だ。
見た限り、未来の工事現場のようだ。そう、廃れた時代の大きな陰謀持ってそうな、工場みたいな感じね。
「…ねぇ、アルミシアさん」
「なんです?」
「なんで、同じ船なのにこんなに構造が違うんですかね?」
「知りませんよ。なんかほら、雰囲気じゃないのです?」
え? なーにその態度。わかった。それなら。
「アルミシアさん、ちょっと白王さんに聞いてみて貰ってもいいですか?」
「はぁ!? なんで私が、、自分で聞けばいいのです!(正論)」
「いやー、私はちょっと恥ずかしいので、ほら親しみありそうですし(暴論)」
「嫌なのです! 自分で聞けなのです! 変な所でシャイなのですね!」
うっさいわ! と言いたいが、空気を察して、ギラリスか話してくれましたとさ。
「この奴隷ルームのコーディネートは、オーナーが決めております。別にここまでする必要は無いはずですが"奴隷には、奴隷のような感じでいないとダメですわ!"と、聞かなくてですね。お恥ずかしい限りです」
…えーと、どれから突っ込めばいい? まずはこのおじさんが苦労人だったという事か? それともお嬢様口調の新キャラが出たことか? それともその人が――
「白王、良かったのです? 今貴方は私達の前で、このホワイトハウスの支配者である、二人いる内の一人のオーナーが奴隷ルームにいると話しているのですが?」
言っちゃったよ。どうすんの? これで"この秘密を知ったからには、お前らも奴隷だぁぁ!"って言われたらさ。
だが、その予想とは裏目に、少しだけギラリスは、目を見開く。
「おや、知っていると思っておりましたが? その為に奴隷ルームに来たのでは?」
「えぇ、そこまでは本当なのです。ですが確証はなかった。憶測なのです。先程の発言は、貴方の立場からは大丈夫なのです?」
「それは【お嬢様の下につくものでありながら、その情報を話した】を失言と捉えているのであれば、ご安心を。お嬢様は、それで怒るほど子供ではありません」
「…そうなのですね」
…なんか不貞腐れてる。まぁアルミシアもお嬢様だもんな。同じお嬢様として格の違いを見せられたか? 随分と遅い成長だな。
「…(平手一発)」
「痛ぁ!? 何をするんですか! アルミシアさん! いきなりビンタするなんて!」
「…別に? なんかムカついただけなのです」
「子供ですね――」
「…(イラァ…からの平手一発)」
「痛ぁ!?」
アルミシアから、謎の平手を二発受けたあと、ふと横を見ると先程見た鍋があった。
横目で見るとわかる。あれめちゃくちゃでかい。普通に、東京のタワマンぐらいはあるんじゃない?
鍋を見ると奴隷らしき人達が、具材? を入れている。やはりあれは鍋で、何かを煮込んでいるので正解なのか?
「あの鍋にご興味が?」
…どうなってる? 確かに俺はあの鍋を、少しだけ見ていた。だがだからと言って、ギラリスに注目してなかった訳じゃない。彼は一度もこちらを振り向いていないはずだ。何故、俺が鍋を見ていることがバレた? まぁ、それを考えるのは後だな。とりあえず返事しとこ。
「えぇ、お恥ずかしながら、見た事ないんですよね」
「えぇ。それはそうでしょう。クスノキ様は、このホワイトハウスに来てから日が浅いはず。仕方ないでしょう」
「えぇ(俺が最近来たことすら知ってんのか…)聞きますが、あの鍋は一体?」
「うむ、申し訳ありませんが、私も存じ上げないのですよ」
え? 白王も知らないの? って聞こうとしたら、すぐに訂正をされた。
「あぁすいません。誤解を招く言い方でしたね。私は、あの鍋で何を作っているかは知っていますが、名前を知らないんですよ」
「…それはどういう?」
ギラリスは、俺達の方に振り返って、人差し指を立て、少し微笑み話し出す。
「あの大きい鍋で作っているのは――お嬢様のお茶菓子です」
一瞬、時が止まる。多すぎる情報量に脳がショートした。だがそれも、すぐにまとまってインプットされる。そして――
「「えぇぇ!!?」」
初めて心の底から、俺とアルミシアのリアクションが一致したタイミングだった。
てか、お嬢様って何者?
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