勇者の終わりと臆するあなた
500ポイント突発! いつも見てくれている方々、本当にあざます!
その昔、ホタルを潰した事がある。
文字通り、手で一撃で握り潰した。痛かっただろう。怖かっただろう。でも分からない――俺は潰されたことなどないのだから。
"アルピス"
この国では争いが起きている。プリスとディスガイアの、この世界すら滅ぼしかねない戦争だ。
プリスは、戦いの時、人々の命を最優先する。落ちてくる瓦礫を切り刻み、怪我は治し、敵は自分に引きつける。
「これに乗れ!」
プリスの固有魔法は、【聖王の道】 効果は至ってシンプル、天の川のような白い絨毯が出来るだけ。
だが数も長さも無限、だからこそほとんどの人々を中心街から逃がすことが出来た。
「ほう、我との戦いで無垢な命まで心配するか。舐められたものだ」
「…別に舐めてないさ。ただこちとら【聖王】なもんでねぇ!」
プリスの剣、ディスガイアの拳がぶつかる。その衝撃は周りの家のガラスを叩き越し、ガラスの雨を降らす。
プリスの足が地面にめり込む。上から叩き込まれた、ディスガイアの拳のせいで、ギリギリと押し込まれていく。
プリスは、ほんの少しため息をつく。たとえ自身が生き残る選択だとしても【邪王と話す事に】なるとは、と――
「…邪王…お前は…なんの為に…アルピスに」
「何のためにだと? もちろん超白星祭の為だ。それ以外にあるまいよ」
「…お前と…その祭りに…なんの関係が」
「フム…関係か。そういう意味では【無いな】。我からすればこの祭りは約束の日という認識しかないのだよ」
いきなりディスガイアの拳が軽くなる。隕石が綿菓子になったレベルでだ。瞬間プリスの力が上にあがり剣がディスガイアにスレスレで通る。
「しまった!」と思う頃には遅い。軽くなると言うことは、その分移動速度も早くなる。プリスの顔面に拳が入る。容赦ない一撃か。その力でプリスは大きく吹き飛び奥の家を数々吹き飛ばす。
ディスガイアがそっぽを向き、王宮に足を進めようとすると。
「聖王の道 罠!」
ディスガイアの足元が大きく光り、その後大爆発を引き起こす。これは、プリスの能力の応用だ。絨毯を加工して爆弾性能を付与しただけ。
プリスの能力は、至ってシンプルで、これといって強みは無い。だが、それだからこそ【自由】な発想のプリスとは相性がいい。
能力バトルとは、応用の応用の戦いだ。誰も最初に授かった力で戦うやつなど居ない。
「必死だな。トラップを仕掛けてまで、我を止めるとは、お前らしくもない」
「…ごほっ。どういう事だ?」
頭から流れる血を受止め、傷を癒し、顎が揺れて脳震盪起こすプリスは、それでも話しかける。
「忘れたとは言わせるよ。お前の弟子【勇者サタン】あの者が魔王アリスを殺し、封印した。そこまではいい」
「……黙れ」
「――そこまではな。その後、貴様は何をしていた? 一度でもサタンに会ったか? 褒めてやったか? 否、否、否!!! 貴様はサタンにあうことを恐れ、ただずっと辺境で――」
最後のセリフを言う前に、プリスの剣がディスガイアの脳に直撃する。ただ感触が弱い。なぜだ? 答えはすぐに分かる。
――プリスが刺したのは、逃げ遅れた住人だった。この近辺に住んでいる殆どは、逃げれる事が出来たが、それでも【殆ど】が限界だった。数字にして一%。
それを引き起こす程、プリスは耄碌していない。視線はディスガイアに移る。
(今のは…幻覚か? では、本物は何処に)
プリスは、ハッとして上を見る。何故かは分からない。ただ勘が、上だと働いた気がした。
ただ、いつまで経ってもディスガイアは来ない。その時――
「残念、下だ」
プリスの目線が下に動く。そこには、今にも陥没しそうなほど、ヒビの入った地面がある。だが彼女も先程で学んでいた。回避しては、逃げられない。であれば。
【聖王の道 放出】
プリスは剣を下に突き刺す。大きな音と共に、可視化できる光が、水を落とした土のように、少しづつ枝分かれをしながら、地下に浸透していく。
【聖王の道 連鎖!!】
プリスの次の技で、下に浸透した光が大きな爆発を伴いながら、ディスガイアを攻撃する。
急激な地下の地盤変化で、所々街の建物が、沈没や隆起を行った。
プリスには手応えを感じだ。ただダメージ的には、かすり傷程度だろう。運がよくクリティカルしないかな…と祈るが、それは簡単に踏みくだかれる。
「小賢しい」
少しだけ頭から血を流し、それを拭って髪を整えるディスガイアがそこに居た。
プリスの手応え通り、殆ど無傷でピンピンしている。あの技は、普通の人間がくらえば、跡形も無くなるレベルなのだが…という嫉妬は、胸の中にしまって、聞きたいことを聞く。
「そういえば、聞いてなかったが。邪王、お前は何のためにアルピスに来た?」
「もう忘れたのか? 祭りの為だと――」
「知ってるよ。だからこそ聞きたい、【祭りで何をする】気だ?」
「…あぁそういうことか。まず一番の目的は【クスノキ】を殺す事だな」
その瞬間、プリスの目が変わる。殺されても仕方ない、という諦めの目から、子供を守るような強い目に。
剣をしまう。そして両手を合わして、指を組み形を作る。
「…正気か?」
そのディスガイアの時にプリスは、ニヤッと笑う。当たり前だ。プリスがやろうとしているのは、聖王の名とは、反対の事。1歩間違えればアルピスが滅んでしまうそんな賭けだ。
「正気かだと? 勿論だとも。先程言ったように私は聖王なんだよ!
それにお前は言ったな。サタンに会わなかったと。あぁそうだとも、私はあいつに感謝されるのが怖かった。戦いしか教えられなかった無能に、会う資格なんてないんだよ。でも今は違う。私にも弟子がいる。彼女がお前を殺すまでは、生きたいんだ!」
息を吸う。プリスの周りの空気が変わる。魔力が固まり、準備が満タンだ。
だが少しだけ不安があり、プリスの聖王という称号はほとんど機能しておらず、吹けば飛ぶようなものだ。だからこそ、弱体化したものを使う。
「固有反転!」
フィールドが構築されていく。歪な形で大きくなりながら、少しづつ巨大化していく。
プリスとディスガイアを入れ、逃げ遅れた人々は、入れないように工夫していく。
「さてと、ここからが私のターンだ。邪王!」
「もう一度言おう。小賢しいぞ聖王!」
二人の戦いはもう少し続きそうだ。
超白星祭まで、あと20時間
読んでいただき本当にありがとうございます!
星を増やしてくれるとありがたいです。
面白かったと思ったらブックマーク!
感想やレビューもお待ちしております!
星ももちろん大歓迎!
具体的には広告下の☆☆☆☆☆を★★★★★にね。
そうするとロリのやる気が上がります。