方向音痴は、きっとバフな気がする
「さてと、じゃあ君も自由にしていいよ」
「貴方は?」
先程のギャンブルを終え、次に酔王が放った言葉はそれだった。
しかも接して、冗談という訳じゃなく、本気でこれを言っているようだから困ったものだ。
こちらとしても、一人でいいのなら構わないが、なら何故あの時【ペアを分けた】んだ?
「――あぁ、勘違いしないでくれ。ただ僕はこれから会いにいかなきゃいけない人が居てね。その処理に向かわなきゃ行けない。それが終わったらまた合流しよう」
「なる程、では」
「あぁちょっと待って。君は直ぐに破産しそうだからお小遣いを渡しておくよ。はい一億」
余計なお世話じゃい。それと、その分析は間違ってない。
ヒラヒラと手を振って、酔王は、行ってしまった。はぁ、適当にギャンブルをしますか。さてと、まぁちょっとその前にトイレにでも――
「…迷いましたね。これは」
――勘違いしないで欲しい。俺は元々は方向音痴では無い。ただこの道、装飾品ばっかで覚えにくいと言うか、間違えやすいと言うか…誰に言い訳しているんだ? 私は。
トイレには行けた。そのあと興味本位で色んな所を歩いてたら迷った。「お前のせいじゃねぇか」という言葉は受け付けておりません。サポートセンターにお願いします。
マジでどうしよ。さっきから歩けば歩くほど、迷っている気がする。
ん?
スタスタ。
――今一瞬人影が…。道を聞くか? いや恥ずかしいな。だが、このまま迷っていた所で、状況は変わらない。聞くはいっときの恥って奴だ!
そうと決まれば――
「待ってくださーい! あの道を教えて――」
「あぁ、はい。……はぁ!?」
「――えっ何か…あれ?」
これは単なる偶然。ただこれをどう言えば信じてくれる?
小さい体。緑色の髪。語尾はなのです。もう分かるだろ?
「…アルミシアさん?」
「――最悪なのです。なんであなたが…」
うわー、出だし最悪だな。あっちから見ればストーカーみたいに映っているのか?
どうする? いや、変に誤魔化しても さらなる誤解を産むだけだ。ならば…
「あの、アルミシアさん。ここであったのは本当に偶然なんですよ?」
「んな事信じるわけねぇだろなのです。一人になった所を狙うなんて、最悪なのです」
ダメだ。完全にベクトルがそっちに行ってる。目が鋭すぎて怖いんだけど。ガラスの破片みたいだ。…なる程、和解は無理そうだ、であれば――
「あー、簡単に言えば、道に迷ったんですよ。なので道を教えてくれれば、直ぐに消えますので」
「…はぁ。この一本道でどうやったら迷うのです? まぁ嘘をついている顔じゃないので、信じるしか無いのです」
めちゃくちゃでかいため息をした後、何とか納得してくれた。ごめん。でも、なんか会話が欲しいな。
「アルミシアさんはここで何を?」
「それを言う信頼関係だと思っているのです? 振り返って右に行って、そこから左。そして真っ直ぐなのです」
「ありがとうございます。お礼とか要ります?」
「さっさと消えることが、1番嬉しいのです」
はいはい、可愛くない奴だ。てか、フォールアウトここにあるんだから奪えばいいのに。まぁ、さっさと消えろって言ったから、消えますよ。
「ここを、右。そして左。そこから真っ直ぐ……あれ?」
「ん? なんでまた来たのです!? 何か忘れ物ですか?」
「いいえ。あの教えてもらった通りに歩いたんですが…」
こんなアニメみたいなことある? マジでナビに従ったら、出発地点に到着したのだが? ある意味凄いよ。これ。
「はぁ? そんな訳ないのです。ほら一緒に行くのです」
「面倒見がいいですね。フフ」
「…殴られたいのです? 歩いて」
俺はアルミシアと一緒に、右に行って左に行って、そこなら真っ直ぐ…
「ほら、着いた…のです」
「確かに着きましたね。出発地点に」
そこからアルミシアがフリーズした。嫌な予感がする。嘘だろ? まさか…
「あの、もしかしてアルミシアさんも、道が分からない?」
「そ、そんな訳ねぇのです! あれ? も、もう一度行くのです!」
右! 左! 真っ直ぐ! はい出発地点!
「クスノキ」
「…はい?」
「――どうするのです?」
「えっと…」
誰か、タスケテーー!!!!!
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