その他の視点
少し短めです
「うちのが世話になったな…」
「いきなりなんだ?」
一方その頃、エドとモルトは、黙々とトランプをやっていた。黙々とは言っても、一発で一千万消える、デスゲームではあるのだが。
それでも、エドは会話をする為に、モルトに話しかける。会話の最初は、比喩でも何でもなく本音である。
「――なんだと言われても、それ以外に意味は無い。クスノキが世話になったな」
「…世話をした覚えはねぇぞ? それに俺はあいつと戦ったんだ。どちらかと言えば敵だぞ?」
「それは、お前の主観での話だ。俺から見れば、お前とクスノキは悪友だよ」
モルトは頬をかいて、少し目をそらす。そんな訳ない、と必死に自分に訴えているように。
それを見て、エドは少し鼻で笑う。その音は、コインや人々の声でかき消されるが、それでもその表情は穏やかだった。
一枚のトランプが、エドに渡される。それはエドの運命を指しているようだった。
「JOKER」
その絵は、鎌を持った死神のようなやつが、ただひたすらにエドの目をずっと見ていた。
エドはそれを手札に入れる。死すらも手懐けてやろうと、エドは大きくニヤケて、ゲームを再開する。
「――お前がオーナーか?」
「■■■■■■?」
「あぁそうだ。俺の願いは――」
「■■■■■■!!」
「…なんだと?」
エドは少しだけ思い出した。一人目のオーナーとの会話を。そして知らされる、このギャンブルの代償を。それをクスノキに知らせるかは、彼次第だ。
◇◇◇◆
「オーナーを探せって、どうしろというのです」
そのすこし先のテーブルで、イライラしている一人の女性がいた。
下の階で、自分を助けようとした偽善者を裏切って、VIPルームに行ったハイエナ。
ただ彼女は、そんな環境でもすぐに順応をして、大勢を味方につけた。
名をアルミシアだ。彼女の手の力が強くなり、持っていたコインが少し凹む。係に言って、交換をしてもらったが、その冷たいコインでも彼女の怒りは冷めはしなかった。
(…やはり、VIPルームに行くまでは、バカを演じるのが良かったか? せっかくフォールアウトの所有者を見つけたと言うのに。今からでも接触を…いやダメだ。彼女一人だけならいい。だがモルト…そして酔王がいる! 恐らく私の素性は既に知らされているはずだ)
ギャンブルという熱狂の中、一人だけ熱さの方向が違う彼女。クスノキのフォールアウトを奪う。字で書けば簡単だが、成功難易度は、星を掴むようなものと彼女は理解している。
だからこそ、彼女はクスノキをモルトに当てて、共倒れの中を漁夫の利で、取ろうとしたのだが計画は失敗。それどころか、二人が共闘するという最悪の展開だ。
(――こうならば【最後の手段を】。いやまだ耐えるんだ。アルミシア、私の固有魔法は、ここで使っていいものじゃない。でもじゃあどうすれば?)
その後彼女は、方針を決める。ただ待つ。それだけ、彼女はハイエナだ。獲物を殺す事は無い。ただ利益を横取りするだけ。
一枚のコインを入れて、スロットを回す。何故か一回目で当たりが来た。7を揃える。その絵には――
「物騒なのです」
GUILTY! と書かれた悪魔の顔が描かれていた。
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