行動開始
最近モチベが上がってきています。まぁすぐに消火されるとは思いますが
「あのー?」
「はい? どうしました? クスノキ様」
うん、状況を整理しよう。俺はあの後、助けたバニーガールのギャンブルに行ったはずだ。
さっきまで笑ってなかったのに、俺の顔を見た瞬間、めちゃくちゃ笑顔になりやがった。
嫌な予感がしたんだけどさ、もう遅いんだよね。
そしてこれが俺の今の状況だ。
「あのー」
「どうしました? クスノキ様?」
「いや、どうしました? じゃなくて、あなたの膝の上に乗る必要ありますかね!?」
さながら俺は、テーマパークで遊ぶ子供のように見えているだろう。いきなりバニーガールに引っ張られて、何されるかと思ったら、この状況です。膝からの体温が凄い伝わってくる。降りてぇ。
「――はは。確かに理由が必要ですね。クスノキ様。ですが、聞く所によると、貴方は今日、VIPルームに来たんですよね?」
「? えぇ。それはそうですが?」
「では私目線から見ていてください。これを助けてくれたお礼として、献上します」
…私目線って言ったって、ただのルーレットじゃん。四人座っているな。右からAからDで、A結構勝ってて、Bがチップがもう無くなりそうだ。
「クスノキ様、今この状況では、誰が勝ってますか?」
「え? そりゃあ1番右の人では?」
バニーガールが口を近づけて、耳元で囁いてきた。Aは、まだ余裕の表情だし、Bなんてイライラから、貧乏ゆすりをしているぞ。
「――そうですね。では【ディーラー。Aが勝ちすぎです。全部絞り採れ】」
…今、搾り取れって言った? よく見ると、バニーガールの耳には、通信機のようなものがついており、今はディーラーに指示をしたのだろう。
酔王も言っていた。"このVIPルームの支配者はバニーガール"だと。だが、これじゃあただの茶番じゃないか。
一瞬ディーラーの目が泳ぐ。通信がそちらに届いたのだろう。彼はほんの少し頷いて、ギャンブルを再開する。周りを見ると、どのギャンブル席にもバニーガールが居る。しかも決して客では届かない、ディーラーの後ろに陣取っている。
「クスノキ様。よそ見はダメですよ。さぁあの勝者が一気にどん底に落ちる所を、一緒に見ましょうか」
先程の余裕顔だった、Aが落ちていく。表情は墨汁を落としたように、暗くなる。心拍は上がっていき、そしてチップが無くなりそのまま気絶した。
反対に先程まで、どん底だったBは、どんどん勝ち続けいつの間にか立場が逆転していた。そしてギャンブルは終わり、当初の予想とは真反対、イカサマなんてものじゃないブーイング確定の喜劇だ。
「どうでした? クスノキ様」
「…何でこんなことを、、」
「あぁ勘違いしないでください、貴方が来たから、あの人をどん底に落としたんじゃありません。たとえ貴方が来なくても、私はあれを地獄に落としてましたよ」
…彼は知っているのか? 今までの好転も、堕落も全てこの女が操作していると、あの絶望からして、失ったのは少しとかじゃない。
「あぁ、そういえばクスノキ様の、【何でこんなことを】という疑問に、答えていませんでしたね。結論から言えば【面白くないから】です。気に食わないんですよ。このままギャンブルを続けても、彼が勝って終わりでしたし」
「…負けた人の末路は?」
「さぁ? 奴隷になれる体じゃなさそうですし、豚のエサになるのがオチですかね?」
そう、そうなんだ。ここも監獄か。まぁならば、やる事も分かる。遠慮はいらないと。
そのあとも少し、バニーガールの茶番を見て解散した。そして集合地点の、バーに行く。偶然にも合流して。
「あっ、モルトさん」
「お、おう」
どんよりとした、二人はそのままバーの扉を開けてる。そこにはまだ酒を飲んでいる二人がいた。
酔王が、こちらにヒラヒラと手を振ってきた。
「おー、来た来た。さてどうだった?」
どうだったって? そんなの――と。二人は大声で叫ぶ。
「どうやって勝てと!?」
「――あははだよねー。同意見。さて座って座って。作戦会議をしようか」
エドは何も言わず、酔王が一人で話を進める。その表情はいつも同じペラペラで。
「君達も知っている通り、ホワイトハウスのVIPルームは異常この上無い。下はディーラーが全ての結果を決めていた。勝つか負けるか、稼ぐか落とすかもね。
だが、ここはバニーガールが全てを決める。つまりここで勝つには【運】でも【イカサマ】でも無く、いかにバニーガールに好かれるかに掛かっているんだ」
あれに好かれろと? あのサディストにー。無理よ、多分倫理観が違うもん。てか、どうやったらこのギャンブルはクリアになる? ゴールはあるのか?
聞いてみよう。
「――あぁ、なる程ね。最初のバニーガールが言っていたんだが、クスノキ君はバニーガールを助けてて、聞いてなかったよね。
では改めて、ここで目当ての物を手に入れるには【このホワイトハウスのオーナー】を見つける事だよ。オーナーはバニーガールの誰かになっている」
見つける? ウォ〇リーのような感じか。ん? さっきエドはオーナーを知っているような話してなかったか?
「…エドさんは、オーナーを知っているのでは?」
「知らん。いや正確には一人しか知らない。オーナーは二人いるんだ。そしてその二人を見つけなければゲームクリアにはならない」
めんどっちいな。そして酔王曰く、そのオーナーを一番手っ取り早く見つける方法が、ギャンブルで勝つ。そしてバニーガールに好かれるという事か。
無理ゲーにも程がないか? 俺はいいよ? 浄化もあるし、でもさ――
「これモルトさん無理じゃないですか? ただでさえ顔が、悪魔の代表みたいな顔しているのに」
「…死にたいのか? クスノキてめぇ」
睨んでくるけど、無視無視。だけどこの懸念は本物だ。モルトがバニーガールに好かれるとは思わない。変な所で、直ぐに全財産失って消えちゃうよ。
その問いに酔王は、酒をカラント鳴らす。その目は少し閉じて、何を見ているのかは分からなかった。
「だろうね。モルト君はこのギャンブルとは抜群に相性が悪い。だからチームをふたつにしよう。エドとモルトチーム。そして僕とクスノキ君チームだ。」
…え? お前と組むの? 俺、いちばん胡散臭いじゃん。味方だ思ってたのに、ラスボス前に裏切る奴じゃん。
「なんか、変な誤解を受けているように見えるが、よろしくね。クスノキ君?」
「えぇ、よろしくお願いします。…エドさん?(エド助けて!)」
「もうちょい酒を飲みたい(一人で何とかしろ)」
こうして、俺と酔王という誰得なペアによる行動が始まった。そしてこの酔王が、バニーガールの何倍も厄介な曲者だとは思いもしなかったんだよな…
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