VIPルームにようこそ
黄金の部屋、回るルーレット。その代償は金と命。ある者は夢を見て、あるものは現実を見る。世界が明日を欲するのなら、我々は喜んで明日をチップに変えましょう。ここはそんな場所――
ホワイトハウス《VIPルーム編》
「相変わらず豪勢ですね」
「あぁ…だな」
俺とモルトは、生まれて初めて見る光景に目を奪われた。これ程、豪華と絢爛が一緒になることはあるだろうか?
上を見れば、黄金と光で目がくらむ巨大なシャンデリア。下は大理石のようなツルツルの床。
そしてギャンブルをする連中は、通常ルームより、何倍も歓喜と悲劇で満ちている。
思わず俺は、息を飲む。決別だ。先程の甘い戦場は無いと知る。ここからが地獄だ。だがそれをするまえに、俺にとって身近なやつの声が聞こえた――
「よう。やっと来たか。クスノキ」
「! …えぇ。本当に待たせましたね。エド!」
初めてあったととは違い、ちゃんと正装をしている彼。いやなんで? まずそこからだろ。聞かせろい。
「あの、なんで下で私を置いていったんですか?」
「いやだって、お前ギャンブルにやる気無さそうだったし、急ぎたかったからさ」
「"急ぎたかったからさ"じゃないですよ! それなら私に言えばよかったじゃないですか! そのせいで私は、必要のない綱渡りを!」
「…楽しかったろ?」
殴っていいか? こいつを。…あれ? なんか後ろに誰かいない? そいつも見た事あるぞ!!
「で? なんでエドさんの後ろに隠れているんですか? 酔王」
「ん? ありゃ見つかったかー。ちぇちぇ。いやーお二人が楽しそうに話してたからさ。ヒック。それに――」
顔が赤い…酔ってる。酔王だからいいのか? エドが言うには、"こいつは、酔っていた方が扱いやすい"そうだ。まぁそうならいいんだがね、視線からして、もうモルトにちょっかいかけそうだけど。
「――まさか、宿敵と一緒に上がってくるとは思わなかったよー。なぁモルト君。どんな心変わりがあったんだーい?」
「あ? 酔王に言う必要は――おい待て! 酒をこぼすな! てめぇ、服にかかったろうが!!」
右手に持っている酒瓶が、勝手に暴走をして服にかかってます。何? そういう能力? それともわざと?
まぁあの短気と酔っぱらいの喧嘩は、まだ終わりそうにないので、こちらはエドに少し近況を報告した。
「――なるほど。お前の目的ができたか。それはいいな。ペテルギウスか、随分と高価なものだ。ハードルは高いぞ?」
「分かってますよ。でも、こちらとしても【そうしたい】理由があるので」
「? まぁいい。そしてアルミシア――ハイエナのアルミシアは、確かにVIPルームに最近来たな。酔王が、注目していたから覚えている。それにホワイトハウスのオーナーもな」
こいつ、オーナーとも知り合いなのか。ならさっさと話をつけてくれればいいものを。段々と腹がってきたな。
だが、もう既にエドは、俺を見ていない。見ているのは後ろ? ん? 何か――
「こんにちは、クスノキ様。モルト様。VIPルームにようこそ。このルームの説明をお聞きになりますか?」
後ろから来たのは、日本で言うバニーガールだ。だいたい察したぞ。この世界にギャンブル。そしてスロット、このホワイトハウスのオーナーは【転生者】だな、恐らく。
そしてバニーガールが、話しかけてきた。VIPルームの説明か…別に聞く必要も無いか。
「いえ特に必要は――」
「いや聞かせてくれないか? 頼む」
俺の理をさえぎって、さっきまで話をしていたモルトが、話を聞こうした。大方バニーガールに釣られたか? と思ったが、どうやらそうでも無いらしい。目は真剣だった。
「クスノキ様はどうなさいます?」
少し目を細くして、バニーガールは聞いてきた。意地悪なバニーガールだな。まぁ俺も急ぐ理由はない。話程度は聞いていいか。
「――ではお願いします」
バニーガールは笑って、話を始める。思えばここが分岐点だ。そう、そのルームは、こんな些細なルートを間違えるだけで、全てを失うデストピアなのだから。
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