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永劫回帰は夢を見ない  作者: ユナ
黄金変容編

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182/278

そして彼等は上に行く

目を開ける。そこには見知ったカジノの天井。

帰ってきたのか、と俺は輝くシャンデリアを見ながら、思った。

起き上がる。シズクがこちらを見て、目を見開いた。アルミシアは…いない。先に上に上がったか。


「シズクさん。彼女は?」

「彼女――アルミシアは、先にVIPルームに行ったでありんす。誠に言い難い事でありんすが…」


その事はいいと、分かっていると伝えた。シズクは1つの頷きをして、こちらを見ている。罪悪感からか、少し目を逸らしていた。

俺も行かなきゃいけない。上へと。プロメテウスの事もある。だがそれよりも――


「行きます? モルトさん」

「そうだな。行こう」


モルトも起き上がっていた。その目は少し悲しい、落ち込んだ眼差しで。

そう、俺達は第二の試練を突破して、"ある記憶"を見た。それが真実か否か。それとも、何か他の意味が…どちらにしろ、上に行かなきゃ話が進まない。


「あ、、貴方たち、和解したでありんす?」


シズクが、変なものを見る目で、見てきた。そういえば喧嘩してたっけ?

別に仲が良くなったとか、許したとかじゃない。ただ目的が同じだけ。どうせ二人とも上に行くんだ。であれば――


「シズクさん。VIPルームに上がる条件ってなんですか?」

「…え、、あぁ! そ、そうでありんす。VIPルームに上がるには、わっちに運と、実績を見せてくれるのが条件でありんす。

運は、ブラックスワンで、みせてくれたでありんす」

「…実績は?」

「資金でありんす。金額にして、四千万。わっちにみせてほしいでありんす。クスノキ殿は、現在モルトの財産。八千万を持っているでありんす 」


八千万…そして、VIPルームに行く為には、四千万と。茶番だ。神もそうしろって言っているんだな。

それがお望みなら、そうしてやるさ。


「では、私の八千万の半分。つまり、四千万をモルトさんに、上げてください」

「…は?」


シズクが、めちゃくちゃ困惑している。そりゃさっきまで争っていたヤツに、資金の半分を渡しているんだ。変なやつと思われても仕方ないか。


「慈悲のつもりか? クスノキ」

「…何を言っているんですか? モルトさん。私はこれから地獄に行くんです。か弱い女の子一人に、行かせるつもりですか?」

「…何処にいるんだ? そいつは」


…後でしばこ。まぁいいや、ちゃっちゃっと済ませて、エドの顔を拝みに行こう。


「はぁ、分かったでありんす。特例中の特例では、ありんすが認めましょう。そこの階段を上がっていくでありんす。あとこれ――」


渡されたのは、カードキー。金で装飾された高級そうな、VIPルームへの鍵。これを見貼りに見せれば辿り着くそうだ。


「…じゃあ、行きます?」

「おう」


俺と、モルトの足を進めようとすると、止める声がひとつある。


「クスノキさん。最後にひとつ忠告でありんす」

「忠告?」

「えぇ、貴方の資金は今四千万。見た目は大きいでありんすが、VIPルームではそれが()()()()()()()()()()でありんす。そんな戦場でありんす。ご武運を」


シズクの目は、決して俺を怖がらせるとかでは無く、心配の慈愛の目をしていた。そして、その戦場の先に、目的の物があると。やるしか無い。


「じゃあ今度こそ、お別れでありんす。さようなら、次会う時は、勝負をしたいでありんす」

「えぇ、さようなら。また会いましょう」


そうして、別れを終えた俺達は、階段をあがり、カードキーを見せて、先に進む。

大きいドアの先には、VIPルームがあると思ったらあるのは【エレベーター】

「ここから少しの間乗って、VIPルームに辿り着きます」ですと。めんどくさい仕様だな。


「……」

「……」


気まずい! 適当にエレベーターに二人でのって、一分ぐらいで着くと思ったら、めちゃくちゃ長ぇ! いつまで続くの? マジで気まずい――


「おいクスノキ」


――と思ったら、モルトが話しかけて来た。彼も流石に耐え兼ねたらしい。


「なんです?」

「お前は"あの記憶"が真実だ思うか?」

「…どうでしょうね。ただ、真実の場合、私は貴方を()()()()()()()()()()()()()()()しれません」

「そりゃ楽しみだ」


ケラケラと笑っている。他人事じゃないんだぞ? 貴方の…いいや。それを言ったところで「それで?」って言われるのが、目に見えている。

こちらからも、質問するか。気まずいし。


「モルトさん、こちらからもひとつ聞いても?」

「なんだ?」

「何故、資金が八千万もあって、VIPルームに行かなかったんです?」

「……別に大した理由じゃない。【怖かった】だけだ」

「…怖い?」


モルトは、少し目を閉じている。まるで見たくない思い出を見ないように、蓋をするように。音はエレベーターが下る音しか聞こえない。


「俺は所詮井の中の蛙だ。生死統一教を沈めたくても、こちらは何も知らない。そして、あのVIPルームの親玉としている自分に、甘えてもいた。お前のおかげでやっと勇気を出せた。ありがとな」

「…えぇ、それはどうも」


意外だった。モルトが俺にお礼を言ってくる日が来るとは。明日は槍でも降るか?

その時、エレベーターが止まる。どうやら終着駅に着いたようだ。


「止まりましたね」

「あぁ、着いたようだ戦場に」


ドアが空く。そこには――先程のカジノの何倍? いや何十倍もの、熱狂と悲劇に満ちた、享楽の宴が行われていた。


「ここがVIPルーム…なんて、美しい」


~黄金変容変 後編開幕~


とあるバー。


「ねぇ聞いた? エド。君の仲間VIPルームに来たってさ」

「相変わらず酒臭いな。酔王だからいいのか?」

「まぁまぁ、しかも面白いのが、彼女、モルトと一緒に来ているんだ! どんな喜劇だろう! あぁますます彼女に興味が湧いてきた!!!」

「…そうかい。俺もとりあえず会いに行くか。いい噂も聞けたしな」


とある机。


「やっと来たのです。あれはモルト? なんで一緒にいるのです!? まさか和解? いやあの確執が一瞬で? 二人はグル? 最初から…いや、考えすぎなのです。とりあえずまだ会わないでおくのです。でも次会った時は完璧に打ち負かして、サメの餌にしてやるのです!!」


ここから始まるのは、運だけが味方の勝負。隣の席もディーラーも、勝利の女神すらも信用できない神聖な戦い。ギャンブルという言葉通りの物事が始まる。

読んでいただき本当にありがとうございます!


星を増やしてくれるとありがたいです。

やっと後編…


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そうするとロリのやる気が上がります。

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