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永劫回帰は夢を見ない  作者: ユナ
黄金変容編
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アシュトニング

弱い。それが感想。それしか無い。


「モルトさん、そちらは!?」

「こっちの心配なんかすんな! 行ける!」


それが真実だろう。だが何かが違う気がした。違和感と言うか、不信感だ。()()は、敵の手の中にある。

モルトの声が少し遠いが聞こえてくる。


「さ…るな!」


よく聞こえない。だが、手にはひとつの光が見えた。あれは注射器だ。


(夢の中だから、注射器を刺されても問題ないはず…)


そう思う。自分の胸に近づく針を見る。夢のはずだ、なのに背中には青い汗が吹き出てくる。

これを刺されたらまずいと、本能が警告をだす。


「クッ! 吹き飛べ!」


咄嗟に足で針ごと人を蹴り飛ばす。吹き飛んだ奴は、後ろのやつを巻き込んで大きく吹き飛んで行った。


(今の感覚は?…夢のはずなのに)


そんなことを考えていると、モルトがこちらに駆け寄ってくる。

彼の顔は少し焦った顔をしていた。


「クスノキ、気づいたか!? あの針に」

「えぇ、偽物のはずなのになんで」

「違う。あの注射器だけ【本物】だ! あれに打たれたら廃人化するぞ!」


嫌なもんだ。一発でも刺されたらゲームオーバーとかクソゲーにも程があるぞ!

それに、問題は注射器だけじゃない――


「モルトさん、これは」

「なんだ? この()は!?」


ありとあらゆる家から、何十、何百という敵が出てくる。手には全員注射器を持っている。

戦いにおいて、数は実力差があればひっくり返せる。だがこれは――


「クスノキ、撤退するぞ! この数は無理だ!」

「同意です。ですが逃げ道などあるんですか!?」

「分かんねぇよ! でも走れ!」


そうして俺達は路地を走る。道じゃない場所を走り、屋根を伝って安全な場所まで走っていく。

だが安全な場所などありはしない。屋根の上だろうと、天井を突破って敵が上に現れる。数は二人。


(この数なら!)


右手で一人を突き落とし、そのままもう一人をタックルで突き飛ばす。向かい側のモルトもちゃんと前に進めている。

だが結局はジリ貧だ。どうすれば――


「クスノキ! あの家だ! あそこに走れ!」


モルトが指さすのは、少し大きい三階建ての家。確かに三階に立てこもれば、少しの間時間を稼ぐ事ができるはず! でもどうやってあの後ろの敵を振り切れば…


「クスノキ! 先にいけ!」

「え? 貴方は!?」

「何とかする! 先に行って窓を開けとけ!」


一歩踏み締めて、そのまま三階にジャンプする。自覚なかったけど、こんなに身体能力あったのか!?

近づいてくる家の手すりに手をかけて俺は、三階に到達する。さてモルトは、、


「モルトさん着きました!」

「それでいい! いいかクスノキ覚えとけ! ここにはここの戦い方があるんだよ! おら!」


モルトは近くに立っている家の大黒柱を折る。すると徐々に家は傾いていき、倒れ敵は生き埋めになった。それだけじゃなく、家の倒壊は連鎖的に起こり広範囲の敵が石に埋もれた。

何とか少しだけの隙が生まれた瞬間だった。


「それで? どうする? クスノキ」

「私に聞かれても…どうしましょう?」


息が荒い二人を運命は待ってくれない。息を整えながら、この状況を打破する計画を立てなくちゃいけない。


「てかお前さ、剣持ってるじゃん。なんか無いのか? 【斬!】みたいなやつとか」

「あったら使ってますよ。ただ、ただ、私がそれを習得する前に全部終わってしまうんですよ」


これは本当にそう。ユーロといい、アルグワといい、英雄はちゃんといるのだ。そして彼らと俺の成長スピードが一緒な訳が無い。俺はどこまでいっても凡人なんだ。


「はは、愛されてんだな。ひとつ聞くがクスノキ、それは()()()だ?」

「どっちとは?」

「その剣じゃそういう技が出せないのか、それともその技をだす術を知らないのか、どちらだ?」

「…後者だと思います」


モルトはニヤリと笑う。その目は逆転を見すえるギャンブラーのようだった。


「であれば方法が無いわけじゃない。俺が知る唯一の技を教えてやる。とはいえ、この技自体は初歩の初歩だ。威力自体は本人の才能次第だがな」

「凡人でもいけますか?」

「(はっ、お前が凡人? )いけるさ、何とかなる。教えてやるその技を!」


◆◆◆◇◇


「これ大丈夫ですかね?」

「大丈夫だ、何とかなる。さぁ飛び降りろ!」

「ええぇ」


モルトの言葉にちょっと引きながら、俺は飛び降りる。確かに技は教えてもらった。やり方も手応えもある。だが肝心の内容が【魔力を込めて斬る!】だけだったのだ。


「えーと、こうでいいんですかね?」

「そうだ魔力を込めて、そのまま剣を振り降ろせ!」


ありったけの魔力を剣に込める。聖なる力で何とか魔力を生み出し、フォールアウトに込めていく。

刀身が大きくなり、魔力に触れた外気が震え高音を響かせる。そして魔力の光が街を照らし出す!


「やれクスノキ、その技はその昔勇者サタンが教えたという剣術の初歩の初歩。これができるかで戦えるかが決まるほどだ。その技の名は――」


そして俺は剣を振る。魔力の塊が下の敵を襲う。建物、人、全て関係なくありとあらゆる物を吹き飛ばした。


次元断層斬(アシュトニング)!!」


俺の新技。実にシンプルで破壊力の高い、結局は脳筋の斬撃だった。

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