面倒事は他人に押し付けない方がいい
あらすじ、街に到着。
俺が入った冒険者ギルドはお通夜のように重く静かだった。
随分と重苦しいですね。何があったのか。聞きたくないな、面倒事には関わらない主義でいたい。
「つっかえてますので早く行きましょう」
後ろからナイフが背中を押してきた。あーホントに行くの? ここ以外ないの?えー?
「いらっしゃい」
受付の人がドスの効いた声で迎えてきた。居酒屋のテンションなのよ。ウザイ客を迎えるときのテンションなんだよ。
よく見ると、椅子や机もヒビだらけだ。他に座ってる人もベテラン感が凄いけど、視線が品定めみたいで嫌だ。帰りたい。これだから健康ランドは、やれやれ
「何の用だ?ガキ共」
「冒険者登録をしに来ました。俺達は─────」
ナイフが交渉してくれているので俺とユーロは暇。と言ってもユーロはさっきからずっと視線を下にしている。だから来るかどうか聞いたのに。
下には何も無いよ?木目しか──────
「ガハハハハハハ!!!」
──────うぉ!なに?いきなり受付の人が笑いだしたよ。ナイフってそんなにトークスキルあるの?まじか。凄いね!
「エッグケイブを突破してきたって?寝言は寝て言え!お前らごときに行けるわけねぇだろうが!」
あっ違うわ。ただこっちを舐めていただけでした。まぁ、確かに分からなくもない。入ってきたのは子供とパリピと盗賊。冷やかしと思われても可笑しくは無い。
まぁ、だからこその証拠なんだけどね。
「─────これがエッグケイブでの中間地点の壁の石です。これが俺達が通ってきた証になるかと」
あれ?ナイフは賢者の石出さないんだ?なんで?まぁ、別にいいけど交渉は最初のインパクトが大事よ?
俺にはそのノウハウは分からないけど切り札は最後まで取っておく的なあれか?
ん?客席から2人こっちに来てるな?あれ?もしかしてこれってあれか?
「ガキ共怪我しねぇうちに帰りな?ここは危ないんだ。特にその金髪のガキは家に帰ってママのミルクでも飲みな!ハハハハ!!」
来たのは飲んだくれの2人、服はボロボロで右手に酒を持ったおじさんだ。典型的なかませ犬だ。
絡まれたー!異世界あるあるだ!最初のギルドで絡まれて主人公が成敗するあれだ!腕がなるね!
さぁどっからでも─────
「今クスッチの事バカにした?」
あれ?ユーロさん?ここは俺がやるべきところでは?
「あ?なんだてめぇは。どいてろ。痛い思いしたくねぇならって!?は!?」
その瞬間ユーロは、男の目の前に移動して足を掬いそのまま柔道のように背負い投げをした。
動きが滑らかすぎて男は理解ができていない。あちらから見れば話しかけたら体がいきなりひっくり返った感じなのだろう。
まぁ、ユーロの運動神経が凄いのはわかっていた。盗賊との戦いでもシロの最高スピードにしがみついて耐えていたり、テンペストの時もちゃんと戦えていた。
やはり王族のお習いごと的な感じなのか。それは一朝一夕で覚えた様なものではなく努力を重ねた非才の戦い方だった。
「まだやる?諦めたのならクスッチをバカにしたのを謝って?」
「このガキ!タダじゃおかねぇ!」
おっと、剣を出したか、それはまずい。まぁ、理由は酒の飲み過ぎでいいだろう。お仕置だ!
*
「このガキィ、、」
「そこまでです。剣を抜くのはやりすぎなので」
俺は飲んだくれの腹に正拳をいれた。どうやら冒険者というのは伊達じゃないらしい、木も吹き飛ばした拳だか震えて耐えている。タフじゃん。
まぁ、それは見栄ということなんだろうけど。
俺の目の前で飲んだくれは倒れた。白目を向いたので気絶でね。流石に命までは取らない。
イキリとかそういうのじゃない。確かに強い方が生殺与奪の権は持っている。でもだからこそ、生きて欲しい。少しは酒をやめてくれるとありがたいな。
「おい、嘘だろ、あのモブaが一撃で、、」
ザワザワと客席で声が走っている。どうやらこの男は相当な実力者だったらしい。まぁ、じゃなかったら喧嘩なんか売ってこないか。悪目立ちしちゃったかな?
あっナイフがこっちを見ている。手を振っとこ、
「すいません。お騒がせして、ただこれで俺達の実力を見てくれましたね?そして、エッグケイブを攻略した証を見せます。お納めください『賢者の石』を」
ナイフはついに賢者の石を取り出した。うん、やっぱり美しいね。まだまだプラズマが球の中で走っている。
受付の人から冷や汗が出てくる。どうやら今わかったらしい。俺達がバカにしていたやつは正真正銘の化け物だったと。
「す、す、すいませんでしたー!!」
受付の人含めギルドの全員が土下座した。俺らが悪者みたいになってない? 違うよね? 俺何もしてないよ?酒はいらない。
そこからの手続きは非常にスムーズだった。賢者の石を出した事により俺達の功績が認められすぐに冒険者になれた。本来はテストや面接があるらしいがパスでいいとの事。やっぱり賢者の石って凄いんだな。ナイフが居てよかったよ。
そして、もう一つの難関が襲ってきた。
「ここに名前を書いてください」
そう、冒険者の名前登録だ。本名はダメなので、違う名前を考える必要があるらしい。だが俺は字が書けないのでどうするか。このギルドの紙に書いてあるやつを適当に繋げるか? いやそれで下ネタになっても嫌だしなー。
女神から言語を翻訳する奴を貰ったがあれは耳であり、書くとなるとやはり練習が必要だ。書ける自信が無い。
「じゃああたしが書いてあげようか?」
ユーロが手を挙げている。顔は晴れている。どうやら谷は超えたのかな? であればお願いしようかな? 別に書くのがめんどくさい訳では無いので、勘違いしないように。
この選択を俺は一生公開することになるとは思いもしなかったんだけどね。
ユーロがルンルンでこちらに来た。どうやら決まったらしい、へーどれどれって、、え!?
「あの、ユーロ? これって?」
「ん? クスッチ女の子じゃん! だから可愛い名前にしといたよ!」
冒険者名 クッキー
えっ拷問? 俺これからこの名前を誇っていくの? 嘘でしょ?
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