■■■祭
「あいつは誰だ?」
少し俺の思考が停止する。予想外にも程がある回答だ。
モルトの顔を見る限り冗談で言ってる訳じゃなさそうで、むしろ真剣に見ている。
知らないはずが無いだろうに、だって髪の色も、瞳の色も同じなんだぞ?
「モルトさん、本当にあの人が誰かわからないんですか?」
「――そう言ってるだろ?」
「そうですか。私はてっきり、貴方の【母親】と思っていましたが」
「…なるほどな。俺に母親の記憶は無い。俺を置いてどっかに行っちまったからな。まあ別段興味も無い」
親子とは両者に関係がある。子を見れば親がわかるし、親を見れば子がわかるように、あれがモルトの母親と直感でわかった。だからこそ、鍵はあの人だと思うんだが――あれ?
「消えました?」
「消えたな。煙のようにサッと」
「どうします?」
「――歩くぞ。止まるよりマシだ」
そして俺達はまた足を進める。
砂を踏み、風をきって奥に進む。周りを見れば今にも倒れそうな痩せこけた子供。親を探して泣いている子供。
ヨボヨボで動けない老人、ここは国として機能していないことが分かる。
「そういえばクスノキ」
「何ですか?」
「お前なんで【ここに来たんだ?】」
「あぁそれは――」
特に何も話すことがなかったので、適当に話す。アルピスでもうすぐ祭りが行われることや、それについてなど。
「アルピスねぇ…あそこは随分きな臭い場所だな」
「貴方はアルビスについて知ってます?」
「そこまでは知らん。ただ昔、ある友人からアルピスは【罪】を犯したと聞いた事がある」
「罪?」
「その友人曰く『アルピスが水中に潜るのは、何かから逃げているから』ってな」
…その逃げている原因が罪? アルピスは何かを犯した。
そのための祭り? ムーンは何も言わなかったけど…あいつ自分の国について把握してるのか?
「モルトさん。もう少し情報を」
「んな事言っても、知らん。俺も調べてないからな。それでお前はアルピスで何をしたいんだ?」
「もうすぐアルピスで祭りが開かれます。その祭りを阻止、、まだ名前すらわかっていないんです」
そう、この祭りの名はアルピスで生まれた人間にしか聞こえないし、触れられない。
事実俺もエドも名前を聞こうが、文字で見ようが■■■祭になってしまっていた。どうすればいいのだろう?
「…」
「――モルトさん?」
その時モルトの足が止まる。そして振り返り、少し目をそらす。そして決心したかのように、こちらをもう一度見る。そして口を開くのだ。
「――超白星祭」
「え?」
「アルピスの祭りの名は超白星祭だ。その昔、アルピスに住み着いた最悪を滅ぼした日を祝福する為の。【邪王】ディスガイアを排斥する為の祭りだ」
「…超白星祭」
ピースが揃っていく。少しづつ真相に近づいているのを本能的に感じる。だが一つの矛盾がそれを邪魔していた。
「あなたは何故その名を知っているんですか? アルピスの人間で無ければ、分からないはず。アルピス出身でもないでしょうに」
「別に、名前を知る方法なんていくらでもある。この祭りの名は本人がそれを教えようとした時、自動的に認識阻害が掛けられる。つまり、【教えようとしなければそれは掛からない】んだよ。例えばトランプとかでな?」
つまりイカサマをしたと。なんだ意外と調べてるじゃん。
だがやっと前に進めた。
後の鍵は――
1.アルピスの罪
2.ディスガイアとは?
3.超白星祭とは?
の三つだな。先を急ぎたいんだが――
「これは?」
「あぁ、どうやら【敵襲】の様だ。試練ってやつかもな」
大量の人間が、家中から出てくる。明確にこちらへと殺気を向けた敵が現れる。
だが残念。俺らはここで止まれないんだ。通らせてもらうぞ!
「モルトさん。あなたって戦えますか?」
「馬鹿言え、俺一人で充分だ」
「じゃあ二人で楽勝ですね」
「――冗談が言えるなら、助けねぇぞ。さて先に進ませてもらおうか!!」
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