過去への扉
砂煙が流れる。ふと目に入るのは、行方不明の張り紙。でもそれも全て読む前に風に流され消えてしまった。
ここがダスト、彼――モルトの故郷だ。
◇◇◇◆
「んで? この気色悪い場所を作ってくれたのはお前ってことでいいんだな? クスノキ」
「作ってくれたって――私だって作りたかった訳じゃありません。そもそも何故あなたの故郷を…」
「て事はお前も帰り方知らないのか…使えねぇな」
「悪かったですね」
俺とモルトはダストの中を歩く。最初は夢かと思ったが、人間が腐敗する匂い、砂煙の感触、すれ違う人々の会話の内容から夢でないと分かる。
これも浄化の効果なのだろうか? ムーンは何も言ってなかったがな。まぁあいつに期待する方が馬鹿か。
「おい」
いきなりモルトが足を止めて話しかけて来る。眼差しはこちらを睨んでいるのではなく、どちらかと言えば観察をしているようだった。
「――何ですか?」
「お前、なんで俺に勝負を挑んできたんだ?」
「…言う必要あります?」
「あの女の為か? だとしたらお前は救いようの無い偽善者だな」
「…そうなんでしょうね」
疑念はあった。信じたくは無かったが、それでも【そうなんだろうな】と思った。だが確信したのは――
「んで? クスノキ、【何処までが計画】だ?」
「何処までとは?」
「とぼけんなよ。お前も知っているんだろ? 【黒幕】を」「まぁ、彼女からすれば、厄介な私とあなたを共倒れにするチャンスでしょうし」
確信はフォールアウトの剣。彼女はあれを知らないと言っていた。だが探し物、それも聖剣となるのに姿形を知らない物か?
だが、それにはひとつの矛盾が存在する。
「――ですが、目的が分かりません。なぜ彼女はこんな事を?」
「そりゃあ、【無いんだろ。目的なんて】」
「と言うと?」
「あいつは俺に負けた時点で、お前が来ると知っていた。だからこそ利用したんだろ。あいつの運じゃどう頑張ってもVIPルームに行けなかっただろうし。それに――」
「ホワイトハウスが、彼女のお金をイカサマで取っていたのは、【VIPルームに行かせない為】。そんなに危険なんですか? 彼女――【アルミシア】さんは?」
「知らねぇのか?――まぁ、もう動き出しているだろ。【ハイエナのアルミシア】、クソみてぇな名前だろ?」
モルトの言う通りだ。恐らくアルミシアは動き出している。その前に止めなければ。
その為にはここから出ないといけないんだけど。あっいた。
「いましたね、子供の時のあなたが」
「くたばって欲しいがな。全くなんでこんな黒歴史を見なきゃ行けないんだか」
「――この空間は貴方を辿れば出られそうですね。テンプレです」
そして、子供のモルトに話しかける人がいる。女性だ、見た感じ母親だろうか? 横にいるやつも子供の頃はあんな純粋な笑みを浮かべてたんだな。
「モルトさん。あの人は?」
「あいつは――」
「…」
「――誰だ?」
「え?」
「ん?」
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