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永劫回帰は夢を見ない  作者: ユナ
黄金変容編
164/274

砂時計は回る

トランプは人生に似ている。誰かも分からないやつからカードを渡されて、競いたくもない相手と同じ席に座る。

知りたくもない手札を見ながら、自分の手札を見て苦虫を噛む。手札を交換して、時に捨て、時に引く、そうして自分の理想の手札を作る。


···何が違う? 生まれの環境を最初の手札とするのなら、今の自分の手札はレイズをする程だろうか?

そうして初めて自分は、今持つ手札を見る。少なく、そして汚れている、まさに反面教師の手札だった。

だが一枚のジョーカーが来た。

これはムーン? アリス? それとも自分? 否否否、いつか知るジョーカーは、クスノキの心をエグるのにさほど時間はかからなかった。


◇◇◇◇


「おめでとうございます、クスノキ様」


勝った、勝った。ブラックジャックで勝った俺は生まれて初めて、脳からアドレナリンが出ることを感じる。

たった一度の勝利がここまで高揚感を与えるのか、こりゃギャンブル中毒が生まれるわけだ。

まぁでも俺はそこまで中毒になりそうにない。

何故かって? 隣がうっさすぎるんだよ。


「オイラが何故負けるんだー!! どうびでー!!」


···うるさい、耳に響く。ユーロと言いカウノと言い、この世界の人間は何故こんなに声が大きいんだ?

見たところ、全チップをかけて大爆死という所か? なぜ全賭けした? こんな運とディーラーの気分で勝敗が変わる茶番に。


ケモ耳がある狐のような少女。服はオンボロだが技でピカピカにしている。

茶髪の中身長は───────


「ディーラーさん! オイラにどうかご慈悲を!」


「アルミシオ様、回収させていただきます」


「なんでー!!」


···本当に全部もっていかれたな。お悔やみ申し上げます、と。さて一勝負勝ったことだし部屋に帰りますか。どこかわかんないけど···さすがにあるよね?


「あのー···ちょっといいですかね? クスノキさん、いや! クスノキさま!」


何? 金無しが話しかけてきたな。


「何ですか?」

「お金を貸して貰えませんかね?」

「お断りします(即答)では私は部屋に帰りますので」

「待ってーー!! 少しだけ! はなしをきいてー」


五分後、まだついてくる。俺の姿が幼女だからか、それとも素人だから借りやすいと思っているのか。

···本当にこいつは()()が悪いな。普通やるかね? まぁいいや、その度胸に免じて話だけでも聞いてあげよう。


「···あの、さっきからなんで着いてくるんですか? 部屋違いますよね?」

「いやー、でも私たちって同じギャンブルをした仲間、いや親友じゃないですか! まずは握手を!」


君達も嫌いな食べ物ってあるだろ? あれは大体食べてすぐに分かるものだ。

俺も本能的に分かる。俺はこいつが大嫌いだ。

言葉が軽い、いや軽いというか無い。こいつは今話した事、全部嘘。自覚がある虚言癖だ。


嘘を嘘で塗り固めて真実よりも分厚い壁にする。実に簡単な嘘の付き方だ。いけない···少し油断すると殺気が漏れてしまいそうだ。本音は顔に出るって言うしな。

もうひとつ、俺がこいつを嫌う理由がある。それは───


「えっと、アルミシオさんですよね?」

「はい、どうしました? 握手しましょ?」

「そうやって、握手させている間に財布を抜き取るのが、貴方の世界の親友なんですか?」

「···は?」


彼女の顔が固まる。少しづつ冷や汗をかいていく。気づかないと思っていたのか? 握手をして居るうちにもう一つの手でポケットから財布を盗む。姿からも分かる通り狐のような奴だな。


「···オイラは」

「あぁもういいです。どうせ『やるつもりは無かった』とか『言い掛かりだ』とでも言うつもりでしょ? そんな空気よりも軽い言葉を吐きながら、貴方がここでどれだけ甘い汁をすすって来たか知りませんが、イライラするんですよ。見てて吐き気がする。そうだろ?」


この時、ある現象が起きた。あまりの嫌悪か、イライラかは分からないが、ムーンが付けた喋る言葉が敬語になる呪いから少しだけ開放された。

もちろん、この時俺は知らなかったが、久しぶりに思い通りに言葉が出ると気持ちの良いものだった。


「───消えろ! 俺の視線に入るな!」


それが俺の本音。これ以上二人がいても何も無い、ただその近くに『あいつらやばくね?』って言う空気を出すだけだった。

アルミシオはとぼとぼとその場を離れていく。これで良かったのだろう、少しはこれで懲りてくれると良いのだがね。


読んでいただき本当にありがとうございます!


星を増やしてくれるとありがたいです。


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そうするとロリのやる気が上がります。

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