キリエ・エレイソン
死ねと言われた気がする。
神に死ねなど、月を手で地上に落とせと言っている様なもの。普通に不可能だ、神はたとえ死んでもまた復活する。意思など関係なく、世界が死なせてくれない。
何年、何十年、何百年と生きていると、少しづつ生きているとこに鈍性を覚える。
一度目は感動する映画ももう一度見ると涙が出ないように、あの時の感情は何処かに消えてしまった。
【それで、何故あなたがここに居たんですか? シャイミール】
「···言う必要あります? えへへ」
ムーンは彼女を問いつめる。普通に不法侵入だ。だが相手は王の称号を持つ『涙王 シャイミール・アクアマリン』。彼女か暴れればアルピスもタダでは済まない。
彼女が居ること自体、この国からすれば緊急事態なのだ。
【では質問を変えましょう。シャイミール、貴方は国の内部で何を見ました?】
「見た? 何を? 見ちゃいけないものでもありました? 私が見たのは貴方の────」
その時、ムーンの持っていたグラスにヒビが入る。
彼女は見てはいけないものを見た。勿論クスノキが見たものじゃない。隠していたムーンの切り札。
【もういいです、貴方は国に帰りなさい】
「は? 私だけが答えて終わりです? 違いますよね? 私からも聞きます。貴方は世界の味方ですか?」
【どういう意味──────】
「分かりやすく言いますよ? 貴方”この世界の神じゃないですよね?”」
ムーンは自らでもわかっている。この世界の真なる神はディスガイアという事。ムーンはこの世界を作っただけ、創造主と管理人は違う者であるべきだ。
それでも──────
【もういいです。帰りなさい、シャイミール】
「えへへ、嫌です。私もクスノキさんとお話を···は?」
【って言うと思いました。ならもういいです、死ね。どうせあなたは分身でしょう? 貴方が死んでも本体は痛くも痒くもないのですから、さようなら】
ムーンは右手の人差し指を天にあげて魔力を込める。天地が少しづつ振動していく。耐えられないのだ、ムーンが出す魔力に、地面にヒビが生え雲が消えていく。
「あらら、これはやばいですね。···まぁもう逃げるのは無理でしょうから、本体に情報を共有してっと、これでもいいでしょう」
シャイミールは既に覚悟を決めていた。分身だからはあるが、それでも、彼女の自我は分身固有の物。彼女が死ねば、同じ個体は二度と現れない。
「···最後にお話したかったのですがね」
ムーンの魔力が最高地点に達する。雲がうずまき、近くの湖が氾濫する。神の意思が世界を動かし、滅ぼしていく。
”白亜の城よ 創成を見よ 破壊を見よ 我が手に赤銅の叢雲があり 世界を滅ぼすは我が力 創造を得て破壊あり 告げよ ムーンを崇めよ 大地の傷を我が涙で潤すと我が身に誓う 全ては既に虚空 故に姿なき神座に代わり全能神が裁きを下す 固有魔法 神の罪”
ムーンの力が、純白で全てを滅ぼす虹色の光がシャイミールを包み込む。触れた時点でそこから分子崩壊を引き起こす破壊の光は、最後に彼女の言葉を出すことも無く消し去って言った。
【全く、時間の無駄でしたね。さてさて、あちらは上手くやっているといいのですが、急いでくださいね。クスノキさん。時間はあなたが思ってるよりもずっと少ないですよ?】
読んでいただき本当にありがとうございます!
星を増やしてくれるとありがたいです。
面白かったと思ったらブックマーク!
感想やレビューもお待ちしております!
星ももちろん大歓迎!
具体的には広告下の☆☆☆☆☆を★★★★★にね。
そうするとロリのやる気が上がります。