ブラックジャック(人じゃないよ?)
「お客様ー大当たりですー!」
「嘘だー! 大富豪のワシがこのような結末を!!」
「や⋯やった。見たか! ホームレスが一気に億万長者だー! バカにしてたやつに吠えずらかかしてやる!」
良くも悪くもうるさい場所。ホワイトハウスは今日も喜怒哀楽で溢れている。
知りたくは無いが、ここは大人の一面が良く見えるな。
レッドカーペットを足で踏みながら、俺達は戦場に足を踏み入れる。
すると俺達を見た受付嬢がこちらに歩いてきた。
「こんにちは、今日から来た人達ですね? ここはホワイトハウス、良ければ説明致しますが?」
俺はエドの目を見る。目線からは「勝手にしろ」と取れた。まぁ、時間が無い訳じゃないし、聞いてみるか。
「ではお願いします」
「はい了解しました。
”このホワイトハウスは、通称【アントワネット号】という豪華客船をそのまま国として運営しております。なのでこの国ではお使いの貨幣は使えません。その代わりこの国だけで使える貨幣があります。それを使って食事や宿泊やギャンブルなど全てにおいて使われますので、使い過ぎにはご注意を。
そしてこの国では臆病者を必要とはしていません。一日一回必ず勝利をする。それが出来なければあのように───”」
俺がその方向を見ると、痩せたガリガリの人間が連れていかれようとしている。思うに食事を撮っていないのだろう。
それこそさっき受付嬢が言った通り金がなくなりギャンブルをする金が消えてしまったんだろうな。
「────ですが、気に病む必要はありません。あの者は海に落とされるか、この船で奴隷として服従するかの二択がありますので···ね?」
はいはい、他人事じゃねぇぞ? って事ね。お前らもああなりたくないだろってこちらに言ってきてるわ。
そういえばランクについても聞きたいな。
「すいません。私はランクがGなのですが、これは」
「はい、ホワイトハウスではランクと言ういわゆる階級が存在します。Gから始まりAで終わる七段階で示されクスノキ様は最低ランクのGからスタートです」
「···このランクの基準は?」
「担保と言えば分かりますか?」
なる程ね。このランクは運営から見た俺達の信用度、つまり【どれだけ金を貸せるか】ということか。
俺は外見が子供だし、いい意味で言えば発展途上だが、それを理由に金を貸すやつなんて居ない。···闇金を相手にしているようだな。
ん? 待てよ。それなら────
「私のパートナーのエドさんはなぜランクEなのでしょうか?」
「それは【昼のバーで全ての手続きをエド様が行った】と報告がありましたので」
「────は?」
俺はエドを睨む。彼は「悪いな」と少し舌を出していた。可愛くねぇぞ。この野郎。
~ここからはアイコンタクトによる会話~
クスノキ(エドさん! どういうことですか!?)
エド(仕方ねぇだろ? 俺だっていい部屋に泊まりたいんだよ。最下層とかシャワーすらないんだぜ? お前はいいよな浄化あるし)
ク(貴方はだからあの時「何もするな」って言ったんですか?)
エ(扱いやすかったよ、もう一度言おう「悪いな」)
※この間一秒フラット
「あの···大丈夫ですか? 質問がなければ私はこれで」
「あっ! こちらには質問はありません! ありがとうございました!」
慌てて質問を切ってしまった。スリーサイズとか聞いておけばよかったか?
「スリーサイズでも聞いとけばよかったか? クスノキ」
「···何も言ってませんが?」
「俺もお前なんて言ってねぇぞ?」
「────グ!」
エドが歩いていったので俺も歩く。少し歩いていると、一個の机で一つの勝負をやっている。···待って────
「クスノキ、今ポーカーをやっていた奴を見ていたが気づいたか?」
「···えぇ、まぁ」
「フォールスシャッフル、セカンドディール、他には何個あったかな?」
「ボトムディール、袖隠し、それぐらいでしょうか?」
エドは確かにホワイトハウスは暴力行為以外が全て合法と言っていた。つまりイカサマも何でもありか、いや、それだとゲームが成立しないからバレたらアウトタイプかな?
純粋に運で勝てると思っていたが、どうやらそんなに甘くないな。純粋な気持ちであそこの席に座るなんて、自殺もいい所だ。
「クスノキ、ついたぞここが【換金所】だ。王金貨あったろ? 一枚でいい、換金しておけ。俺も換金しておこう」
エドもポケットから一枚の王金貨を出す。同じ手順、同じ方法でお金を出した、出したはずだ。
「貴方の方がお金出てませんか? 同じ王金貨ですよね?」
「さっきも言ったろ? ランクが低いやつに金を渡す奴がいるか? ってな。
という事で、ここからは別行動だ。とりあえずお前もランクEまで上がってこい、簡単な勝負をやってたら直ぐに上がるよ。待ってるからな」
そう言ってエドは行ってしまった。俺も少し船を歩きたいが、一勝負やってみようかな。
「という事でお願いします」
来たのはブラックジャック。ポーカーやハイアンドローはルールがめんどいのでまずはココから。
一応四人で座るがブラックジャックに他人は関係なのでね。
さて俺が王金貨から換金できたコイン。これはチップと言うべきだろうか? それは五百枚になる。
王金貨を一枚百万としたのなら、コインは一枚二万という認識でいいだろう。
ブラックジャック【手順一】
”掛け金を決める”
「プレイスユアベット」と言うディラーの声から始まる。
ブラックジャックは非常にシンプルでイカサマをしにくいメリットがある。逆にイカサマがバレにくいという事だが、最初の一勝負からいかさまを指摘するつもりは無い。こう言うのは楽しまなくちゃ。俺もディラーのバイトをやっていたのでね。(一ヶ月) やかましい!
「とりあえず五枚で。ディラー、このコインは一枚二万換算程でよろしいですか?」
「問題ないかと」
なる程ね。つまり俺がかけたのは十万円。これがどう俺の元に帰ってくるか、それは俺の実力次第だな。
「ノーモアベット」
ディーラーの一言で終わる。カードが二枚配られて、俺の手札がその目に映る。あるのはハートの8とダイヤのクイーン。ディラーはフォールスシャッフルでイカサマをして手札を知っているはず。これは挑戦状だな、俺が逃げるか勝負をするか見たいのだろう。
言い忘れていたが、ブラックジャックは手札の数字で【21】を作るゲームだ。
2から9はそのままの数字で扱われる。だが問題はエースとジャックとクイーン、キングの二桁の数字。
Aは11か1として扱われ二桁の数字は10として扱われる。
俺の手札は8のクイーンだが10として扱われるので合計18、悪くない数字だ。だがこれでは負ける。
それはディーラーの条件によるものだ。ブラックジャックの勝利条件は21を作り、ディラーの手札の数字に勝つ事。
21を超えればバーストで失格。なのでどうするか、そこでさっきの【ディーラーの条件】がさらにややこしくする。
ディーラーは数字を作る時必ず”18”以上出なくてはならない。つまりいまディーラーの手札は二枚だが、合計が17の場合必ず一枚引かなくちゃいけない。
さて話を戻そう。俺の数字は18。ディーラーが18以上を作らなきゃいけないので、一見俺の数字は高そうだが、正直心もとない。
だがカードを引く場合、21を超えてはいけないのでAか1か2か3を引かなくちゃいけない。リスクが高すぎる。
もちろん、ディーラーがバーストする可能性もあるが、フォールスシャッフルをしている以上、山札も把握しているだろうから、バーストする確率は低いだろう。
であれば俺がやることは一つ。”笑え”余裕を見せろ。ディーラーに乗れ、恐らくこれは歓迎だ。であれば─────「ヒット」と俺は机を軽く叩く。これがカードを引く合図。
そう、俺は引くことを選んだ。渡されたカードには【ようこそ】と書かれているかのように俺の感覚を刺激した。
「おめでとうございます。クスノキ様 8とクイーンと3でブラックジャック成立です」
勝った。ディーラーの手札は20。俺以外は負けで一人勝ちだな。十万円が二十万になって帰ってきた。
俺の技術が使えるようでよかったよ。
「んあー! なんでまた負けたんだー! オイラの手札は完璧だったはずなのにー!!」
···隣のヤツ、うるさいな。
読んでいただき本当にありがとうございます!
小説でアラビア数字はNGですが、トランプの数字はご容赦していただけるとありがたいです。ややこしいので。
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