黒幕が現れる
⋯⋯手遅れ? どう意味だろうか?
「手遅れってどういう意味ですか? エドさん」
「だってそうだろ? これを魔法固定したってことは、この主は死んでいる。てか、これを書いたから殺されたのかもな。魔法固定が発動するのも、織り込み済みで」
⋯まさか、俺が殺したやつがこれを書いた? いやシャイミールの言葉を信じるのならこの文字は彼女が来る前からあった。
じゃあ、俺が戦ったやつは対ムーンの人造人間? いやそれは無い。あいつはコンクリートを知っていた。転生者だろう。
待て⋯⋯それはおかしい。だってそうだろ? あいつが転生者で被害者なら、なぜパイプ室にいなかった?
俺達はもしかして根本的な勘違いをしているのか? あれがもしも【ただの実験で生まれた副産物】なら成功体がいたはず。まさか──────
「長考しているところ悪いが時間切れだ」
「は?」
「あ?」
俺とエドの背後に何かがいた。ジジイだ。歳的には50半ばか?
ありえない、俺だけじゃなくエドの背後もとっただと?
なんだコイツは⋯⋯
「クスノキ! ハクア達を連れてこい! 俺が少しでも時間を─────」
「何度も言わせるな、時間切れだ」
こいつの拳がエドの腹に直撃する。エドの口から血が出る。そして大きく後ろに吹き飛び、周りの機械を吹き飛ばした。
「わ! なんなのです⋯⋯えっ? 先生! 先生!!」
⋯⋯嘘だろ? 全く見えなかった。勘弁してくれ、どれだけインフレが続けば気が済む?
だが、ハクアが来たのは運がいい。エドが回復してくれるかもしれない。
「ハクアさん! 私がこいつをひきつけます! なので貴方はエドさんを回復───」
「⋯⋯⋯え?」
ハクアの顔は青ざめていた。まるで初めてホラーを見た子供のように。
「───あの⋯どうしました? 早く回復を」
「⋯⋯クスノキさん⋯⋯何を言っているのです? 貴方の前には⋯⋯誰もいませんよ?」
⋯は? 嘘だ、こいつはこんなに目の前に、あれ、居ない?
「全く、私の姿が見えるヤツがこんなにも増えるとは、時とは残酷だな」
!!? いつの間に!
「いつの間に後ろに─────」
「お前で最後か? 死ね」
ジジイは俺の顔をつかみ、腹に蹴りを一発。そして顔面に思いっきり拳を入れられた。
こいつ容赦ねぇ、とかそういう次元じゃねぇ。対話なんかしてたら殺される! こういう時に使うんだよな、これは─────
「浄化!!」
「ん? なんだそれは」
俺の浄化がジジイに当たる。はは、たまに忘れるがこれは元を辿ればムーン「神」の力。一人間が絶えれるやつじゃ─────
「あぁ済まない。私に浄化は無用だ。それにしてもその力見覚えがあるな。あの神はまだ生きているのか。
つまり貴様はムーンの眷属ということか? こんなガキを選ぶとは随分と遊んでいるんだな」
「⋯⋯貴方は何者ですか、ムーンの力が効かないなんて」
「こらこら、眷属が軽々しく主の名前を呼ぶな。やはり収まりが効かないか、あの神は。
⋯眷属の名前に興味もクソもない。ただこちらも【神】だ。挨拶ぐらいはしておこう。
私の名前は【ディスガイア】この世界の真の神だ。そして死ね、我が世界に転生者は必要ない」
⋯あっこれはやばい。不味い不味い、あの時だ。魔王アリスと戦った時と同じ、【負けが前提の戦い】だ。
今際の際なんてもんじゃない。つぎの一秒後には俺が生きているか分からない。
「さぁ死ね、転生者。魔王アリスも【舞王】も我が殺して─────」
その瞬間、飛び蹴りがディスガイアを吹き飛ばす。やったのはエドだ。
「クスノキ! こいつの言葉を真に受けんじゃねぇ! てめぇがやってきたことに誇りをもて! お前のおかげで、この世界に生きる人間がどれだけ救われたと思っている!」
エドの目からは、憤怒と諦めるな! という声がする。そうだ、諦めるな。まだ俺はシロの死を無駄にする時じゃない!
「⋯まだ立つか、転生者よ。なぜお前らはこの世界を我がもので扱う? 恥ずかしいと思わんのか? お前ら程の傲慢を我はほかに知らん」
「⋯⋯そうかい。それで、この世界は誰のものなんだ? あんたの物か? 証拠は? 借用書でも持ってんのか?」
「⋯⋯死ね」
「来るぞ、クスノキ!」とエドが注意してくる。分かってんだよ。んな事は、ただ──────
「味方の心配か? 舐められたものだ─────」
「チッ、クソが! 早すぎんだろ!」
エドの顔をディスガイアが掴んで地面に叩き付ける。
「───そして、頭が高い」
ディスガイアがエドの頭を足で叩きわろうとしていた時、俺が参入して何とかエドを救う。
遊びでもなく、本気で大人気なく殺しに来やがった。
「⋯クスノキ、アイツ相手に何分稼げる?」
「五分ほどなら可能かもしれません」
「十分だ、頼む!!」
エドはハクアの元に向かう。それは彼女を守る為じゃなく、全員で【逃げる為】
「ハクア! 「固有魔法」を使え! 逃走するぞ!」
「は、はいなのです! あの、何がいるんですか? 先生」
「今は無理だ! 後で話す! 早くしろ、クスノキが死ぬぞ!」
ハクアは急いで固有魔法の準備をする。そしてその時間を稼ぐのは俺の役目か。
任せろ!
「貴様ら何をやって────」
「貴方の相手は私です!!」
そう、俺の拳はまだ一発残っている。体崩拳で一発度肝を抜かしてやる!
そして、ディスガイアがそっぽを向いている今がチャンス! 神だかなんだか知らないが、人間の強さを思い知れ!!
「貴様のなんだその拳、危険だ。その拳は存在してはならない─────」
「知りませんよ、そんな事。くらえ!”体崩拳”!」
俺の拳がディスガイアに当たる。衝撃と一緒に浄化がディスガイアの体に染み込んでいく。
恐らくノーダメージ。だが衝撃は消せないはず。つまりはこういう事だ。
「吹き飛んでください! 地平の彼方まで!」
ディスガイアは大きく吹き飛ぶ。それこそ姿が見えなくなるまでに。
そして五分がたって、ハクアの準備が整った。
”固有魔法 跳躍する者”
能力は瞬間移動。そして俺達は直ぐにアルピスへと帰ろうとしていた。
「それじゃあ私もエヘへ」
は? 俺の手を掴んでいたのはシャイミール。そして五人ではなく六人はそのまま空間転移した。
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